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「女友達と俺の家で宅飲みをして」

『うぅん…』
茉里乃は、こたつの上の机に突っ伏したまま、
浅い眠りについている。


茉里乃の横には、ハイボール缶が数本。

「全く…柄にもなくハイボールなんか飲むから…」


酒の弱い茉里乃だが、この日はよほどストレスが溜まっていたのか
ハイペースで酒を煽っていたら、1時間でこの有様だ。


俺はため息をついて、茉里乃に連れられてやってきた陽世に
「なぁ、茉里乃を家まで送ってってくれないか?」

"えーやだよー。まりのんの家、ただでさえ遠いのに、
送ってったら終電なくなるじゃん"


"どうせなら、このまま泊めちゃえば?"

「いやいやいや、特別な関係ならともかく、流石にまずいだろ…」

"大丈夫だよー、まりのん、そういうこと気にしないタイプだし"

「いや、そういう問題じゃなくって」


陽世との長時間の押し問答の末、
結局、茉里乃を泊めることにした。


相変わらず、茉里乃はすやすやと眠ったままだ。

流石に、こたつのままだと風邪を引いてしまうので
ベッドに移動させることにした。

だが、重大な問題が1つ。
茉里乃の体に触れて移動させなければならない。


チキンの俺にとっては、某漫画に出てくる
巨人の侵入を防ぐ壁より高いハードルだ。


なんか、色々と憚られるが
自分の所為で体調を悪くされても困る。


俺は、一大決心をして、茉里乃の体に触れた。
ぎこちないお姫様抱っこで、寝室のベッドに運ぶ。

茉里乃を起こさないように、慎重にベッドに載せる。


『うぅ…ここ、どこ…?』

「あ、ごめん、起こしちゃった?」
「俺の家だよ」


『あぁ…そのまま寝てしまったんかぁ…』
『ごめん』

「ううん、それより体調は?水持ってこようか?」

『いらん』
『優しいなぁ』


「いや、そんなことないよ」


『あのさぁ』




『わざと寝た、って言ったら、どうする?』

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