コラム・住職の方丈記21 ~ 大般若法要と西遊記 2023.4.30

明日5月1日は、当山で「転読大般若(てんどくだいはんにゃ)」の法要が行われます。
 
うちではずいぶん前から5月1日に行われていたこの法要、そもそもは月遅れの「お花まつり」といっしょに開催したのが始まりなのでしょう。
 
大般若(だいはんにゃ)と聞いて、般若心経(はんにゃしんぎょう)が思い浮かんだ方はなかなかツウですね。
 
実は、どちらも空(くう)の思想を説いた般若経典なのです。
 
といっても…般若心経は漢字262文字のコンパクトなお経ですが、一方の大般若は“大”とつくように膨大なお経でして…全部で600巻もあります。
 
ふつうに読んでいたのでは、読了するまでに途方もなく時間がかかるので、この法要の時は転読(てんどく)という特別な読み方をします。
 
それで「転読大般若」というのですが、さて、このお経、実はみなさんもよく知っている三蔵法師(さんぞうほうし)が翻訳したものなのです。
 
この三蔵法師、名は玄奘(げんじょう)といい三蔵は尊称、西暦629年に陸路シルクロードでインドに向かい、16年後の645年に中国に帰還。唐の時代に活躍したお坊さんです。
 
ちなみに、当時の日本は飛鳥時代、大化の改新の頃でした。
 
そんなクルマも電車もない時代に、中国からインドまではるばる陸路を旅し、ナーランダ僧院など彼の地で修学の後、たくさんの経典を中国に持ち帰り、その後生涯をかけて漢訳。
 
それらの経典は後に日本にも伝わって現在にいたり、そして明日は当山でも大般若の法要が営まれることとなりました。
 
さて、三蔵法師といえば『西遊記』を思い浮かべる方も多いと思いますが、これは玄奘三蔵の旅の記録、『大唐西域記』をもとに、後の明の時代に創作されたお話。
 
調べてみると、駒澤大学仏教学部・吉村教授の、玄奘三蔵(三蔵法師)と『西遊記』についての解説がありました。孫悟空や沙悟浄のモデルやルーツなど、興味深いお話です。

 
 
そういえば…『西遊記』のことを書いていて思い出したのは、夏目雅子演じる三蔵法師が、堺正章演じる孫悟空たちとインドまで旅するテレビドラマ。
 
「モンキーマジック」や「ガンダ~ラ」など、ゴダイゴの楽曲も懐かしいですね。
 
♪ モンキーマジック ♪

 
♫ ガンダーラ ♫

 
 
こんなことを書いていたらドリフの人形劇のことも思い出したのですが…明日の法要の準備もあるので、今回はこの辺で。
 


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