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古典マラソン

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古典作品(文学、哲学、思想書)を読み、キーポイントと感想をまとめています。
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『ガリバー旅行記』スウィフト 読書リストvol.2

青空文庫で無料で読めたので、ざっと一読。 童話として有名な作品だが、原作は18世紀に書かれた社会風刺本。 作品は4つのパートで構成されている。 ・小人の国、大人の国、ラピュタの国、(日本)、馬の国 主人公ガリバーがそれぞれの国に漂流して、生活するというお話。一般的に有名なのは一つ目の小人の国。ただ、作品としてはこの小人の国は、物語のフックでしかなく、国ごとの違いが相対化されていくところが作品の醍醐味。 小人の国で、巨人として比較的自由に生活したガリバーだが、次の大人の国

【書評】カラマーゾフの兄弟/ドストエフスキー

定期的に良書を読み、その学びを共有するシリーズ。今回は、有名なドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟。 本の背景この作品は19世紀末、ロシア帝国末期にロシアの文豪ドストエフスキーによって執筆された本。『罪と罰』に並ぶ最高傑作とされ、『白痴』、『悪霊』、『未成年』と合わせて五大作品として有名。長編小説で今回読んだ、光文社古典新訳文庫で、5巻にもおよぶ作品。取り扱われているテーマは、キリスト教信仰へのアンチテーゼ、経済格差、恋愛、貧困、正義など幅広く、読み手によって感じるメッセー

『人生論ノート』 成功と幸福は別物

三木清『人生論ノート』1949年 西田幾太郎等の影響を受け、戦前に活躍した哲学者。反体制的な発言も多く、治安維持法違反で投獄され、獄中死した人物。本作は死後発表され、ベストセラーになったもの。人間中心主義(ヒューマニズム)の思想が詰まっており、幸福について、怒りについてなどの人生における哲学的テーマで構成されている。 <個人的キーポイント> ・幸福と成功は違う。幸福はアリストテレス曰く、観照的生活から生まれ、中庸であること。成功は、社会の価値基準でいう量が多いこと。月な