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米国市場:9/19週の振返りと9/26週の予定

市場概況

 先週もまた、株式市場は弱含みの1週間になりました。S&P500は4.6%下落し、過去30日間の下落率は9.0%に達しています。さらに6月につけた最安値付近まで下落してきており、最安値を更新するのではないかという弱気筋が目立つようになってきています。Nasdaqも年初来30%以上の下落となっています。先週はFOMCが開催され、FRBから発せられた内容はほぼ市場の予想通りとなっていましたが、インフレに対抗するために今後もCPI等のデータが改善されるまでは、引き続きタカ派色を取り続けるということが明らかになりました。
 先週、FOMCの結果を市場が消化し、今後は経済と企業業績に対する大きな期待の見直しが始まってきています。それに加えて、金利の上昇と今後のさらなる上昇予想から、株式市場と個別銘柄のバリュエーションに重くのしかかってきています。これまでのところ、ゴールドマン・サックスは S&P 500の目標値を 3,600 に引き下げ、バンク・オブ・アメリカは S&P 500 の目標値を 3,300 から 3,500 の間と予想しています。このような修正があっても、今週のグローバル株式ファンドの資金流出78億ドルに対し、現金流入303億ドルという数字が示すように、投資家心理はむしろ軟化しているようです。
 10月から3Qの決算シーズンに移行してきます。が、2022年後半から2023年にかけての業績に対する懸念が高まっていることから、投資家心理はあまり高まらない可能性が高い。今後のEPS見通し期待値が低下し始めてはいますが、まだまだ時間がかかりそうです。また先週は、サプライチェーンの問題、ドルの逆風、インフレ圧力などについても引き続きささやかれており、業績予想を下方修正の要因になると思います。
 今後数週間は、さらに期待値の再調整が進むと思われますので、引き続き慎重な姿勢で、市場の透明性が高まるのを待ちたいと考えています。

米国経済

9月20日:住宅建築許可件数、住宅着工件数
 8月の住宅着工件数は157.5万件と予想145.5万件を上回りました。前回修正値は140.4万件でした。
 8月の建築許可件数は151.7万件と予想161万件を大きく下回りました。7月の修正値168.5万件でした。
住宅着工件数はやや改善しつつありますが、ビジネス的には冬の時代に入っています。

9月21日:FOMC、中古住宅販売件数
 FOMCでは政策金利を0.75%引き上げ、目標値を3%から3.25%に設定し、今後数カ月の間に追加利上げを行う可能性を示唆しています。また、合わせて発表されたドットチャートで2022年、2023年、2024年の国内総生産は縮小するとみています。2022年のGDPは0.2%にとどまり、6月の事前予想である1.7%から低下すると予想しています。2022年上半期のGDPと今期の経済指標が低調であったことを考慮すると、この減少幅は予想通りでありあまり大きな驚きはないかと思います。ただ、疑問点がある点としてはFRBが今年のFF金利を4.4%に設定し、2023年にはさらに4.6%に上昇すると予想していますが、2023年のGDPを1.2%、24年は1.7%に回復させるとしている点です。
 2022年のFF金利が4.4%ということは、11月と12月の金融政策決定会合でさらに1〜1.4%ポイント上乗せされることを示唆しています。9月のFRB会議に向けて、市場は2022年末のFF金利が4%以上になることを織り込んでいましたが、それよりも少し上振れしているように見受けられます。
 FRBは、金融引締めを長く行う可能性が高く、政策声明と経済予測はそれが今後の道筋であることを示唆しています。この結果、今後数日から数週間のうちに、金利、借入コスト、ドル、GDP、企業収益について多くの修正が行われるものと思われます。

 8月の中古住宅販売件数は480万件と予想470万件を上回りました。前回値は480万件でした。住宅販売価格中央値も389,500ドルと400,000ドルを割り込んできています。こちらも少し改善しています。

9月22日:新規失業保険申請件数
 新規失業保険申請件数は、21万3000件と予想21万5000件を下回りました。前回修正値は20万8000千件でした。レイオフを発表する企業多くなってきている中、こちらの件数はあまり動いていないのが気になります。

株式

 アナリスト、企業側も3Qの業績見通しを悲観視しており、最近の平均値と比較しても悲観的になってきています。その結果、S&P 500種構成企業の第3四半期の推定収益は6月30日以降6.3%減少しています。これは、2020年第2四半期以来、四半期の推定EPSの減少幅が最大となります。また、S&P500の(前年同期比)EPS成長率は3.2%と予想されています。
 収益面では、2022年第3四半期の推定(前年同期比)収益成長率は、S&P500の(前年比)収益成長率は8.7%と予想されており、6月30日の(前年比)収益成長率の予想値は9.7%から減少しています。
 今後の見通しとして、アナリストは2022年第4四半期の収益成長率を4.5%、2022年CYの収益成長率を7.7%と予想しています。2023年第1四半期と第2四半期については、アナリストは7.2%と6.0%の収益成長を予測しています。フォワード12ヶ月PERは15.8で、5年平均(18.6)、10年平均(17.0)を下回っています。(FactSet)

来週の主な決算発表(予定)

9/26(月):
<寄付き前>Dentsply Sirona (XRAY)
<引け後>
9/27(火):
<寄付き前>Cracker Barrel (CBRL), Jabil (JBL), United Natural Foods (UNFI)
<引け後>Blackberry (BB), Cal-Maine Foods (CALM), Progress Software (PRGS)
9/28(水):
<寄付き前>Cintas (CTAS), Paychex (PAYX), Thor Industries (THO)
<引け後>Jefferies (JEF), Vail Resorts (MTN)
9/29(木):
<寄付き前>CarMax (KMX), Rite Aid (RAD)
<引け後>Micron (MU), Nike (NKE)
9/30(金):
<寄付き前>
<引け後>

米国の主な経済指標

9/26(月):
9/27(火):耐久財受注、新築住宅販売件数、S&Pケースシラー住宅価格、消費者信頼感
9/28(水):
9/29(木): 新規失業保険申請件数、GDP確報
9/30(金):個人所得、PCE、ミシガン大学消費者信頼感指数

今週の着目点

 今週も、経済指標はそれほど多くなく、投資家向けカンファレンスもほぼないため材料も少ないです。今週、最も注目されるのは、8月の個人所得、支出の状況となります。消費者の状況について知ることができるほか、FRBのインフレ指標のひとつであるPCE価格指数の最新値が発表されるため、注目したいです。


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