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米国市場:11/6週の振返りと11/13週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4,415.24と前週比+1.31%で終了しました。NASDAQは13,798.11と前週比+2.37%で終了しました。
 先週の株価は、先々週の大きな動きの影響で小幅範囲での値動きとなりましたが10日金曜日に大きく動いたことで、米国市場が11月~2月にかけて強いことを彷彿させるような動きでした。今週もこれをフォローするような動きがあれば、今後3か月間は上を見て強気でいけると思わせるようなチャートの形になってきています。
 先週は経済データの発表は多くありませんでした。主なイベントとして、9日にIMFの討論会にパウエルが出席し、「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」と発言し、さらなる引き締めがある可能性があることを意味する発言をしています。これは、11月1日の会合後、市場はこれ以上の金利上昇はないと見込んで、長期金利は低下し、株式市場は上昇したため、市場への意識付けの意味合いが強いと考えています。今週は、CPI、PPIが発表されるためインフレに対する最新のデータが出てきますので、その結果によって動きが変わる可能性はあります。しかし、サプライチェーンは正常化し、エネルギー価格も下がってきているため、これらの経済データに大きなサプライズはないと考えており、インフレ率の低下に併せて長期金利は下、株価は上を考えています。
 11月17日につなぎ予算が失効するため、連邦政府を閉鎖回避のための法案提出期限が迫ってきていますが、まだ合意には達しておらず今後ニュースになる可能性はありますが市場にとっていちど織り込んだニュースであり大きなインパクトはないと考えています。
 11月も中旬に入り、S&P500種構成企業も大方の企業が決算発表を終えています。23年3Qの決算は、Fact Set社の調べによると予想よりもよく、前年同期比がプラスでこの4半期を終了する見込みとなっています。24年も増益になると見込まれており、23年は220.74、24年は245.85となっています。仮にこの数字が今後の予想だとすると、株価にとっては上げ幅の余地がまだあることとになります。2月まではその上げ幅のターゲットがどのように変化するかを引続き観察していくことになるかなと思います。

株式

 S&P500種指数は第3四半期決算シーズンのこの時期、好業績サプライズの件数とその規模が10年平均を上回っています。その結果、S&P 500種株価指数は先週末と比べ、また今四半期末と比べ、第3四半期は増益となっています。S&P500種指数が前年同期比で増益となるのは、2022年第3四半期以来のことです。
 全体として、S&P 500構成企業の92%が2023年第3四半期の実績値を現在までに決算発表を終えています。このうち81%の企業が予想EPSを上回る結果を発表しており、これは5年平均の77%、10年平均の74%を上回っています。仮に81%が今四半期の最終的な数字であれば、S&P500構成銘柄のうちEPSのポジティブ・サプライズを報告した企業の割合は2021年第3四半期(82%)以来最高となります。EPS全体では、予想を7.1%上回る業績を報告しており、これは5年平均の8.5%を下回るものの、10年平均の6.6%を上回っています。
 同指数の第3四半期決算は、先週末比および四半期末比では増益となりました。第3四半期のブレンデッド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合算したもの)増益率は、先週の増益率3.7%、第3四半期末(9月30日)の減益率-0.3%に対し、現時点では4.1%となりました。仮に4.1%が今四半期の実際の増益率であれば、2022年第3四半期以来の前年同期比増益となる。
 売上高に関しては、S&P500構成企業の61%が予想売上高を上回り、これは5年平均の68%、10年平均の64%を下回っています。仮に61%が今四半期の最終的な数字であれば、S&P500構成企業のうち収益がプラスとなるサプライズを報告した企業の割合は2020年第1四半期(56%)以来最低となります。企業全体では、売上高は予想を0.7%上回り、5年平均の2.0%、10年平均の1.3%を下回っています。仮に0.7%が当四半期の最終数字となった場合、当インデックスが報告した収益のサプライズ率は2020年第1四半期(0.9%)以来最低となります。過去1週間、S&P500種構成企業による売上高のプラス・サプライズとマイナス・サプライズはほぼ相殺され、この期間のS&P500種構成企業の売上高はほとんど変化しませんでした。
 その結果、第3四半期の混合増収成長率は2.3%となり、先週の増収率2.3%、第3四半期末(9月30日)の増収率1.6%でした。仮に2.3%が第3四半期の実際の増収率であれば、11四半期連続の増収となります。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年第4四半期の利益成長率(前年同期比)を3.2%と予想しており、これは9月30日時点の予想8.0%を下回っています。CY2023については、アナリストは(前年比)0.6%の増益を予想しており、9月30日時点の予想0.8%を下回っている。CY2024については、アナリストは(前年比)11.6%の増益を予想しています。

来週の主な決算発表(予定)

11/13(月):
<寄付き前>Henry Schein (HSIC), Monday.com (MNDY), Tower Semiconductor (TSEM), Tyson Foods (TSN)
<引け後>
11/14(火):
<寄付き前>Canadian Solar (CSIQ), Energizer (ENR), Home Depot (HD), On Holding AG (ONON)
<引け後>
11/15(水):
<寄付き前>Advance Auto (AAP), Target (TGT) TJX Companies (TJX)
<引け後>Cisco (CSCO), Kulicke & Soffa (KLIC), Maximus (MMS), Palo Alto Networks (PANW)
11/16(木):
<寄付き前> Alibaba (BABA), Bath & Body Works (BBWI), Macy's (M), Walmart (WMT), Warner Music Group (WMG)
<引け後>Applied Materials (AMAT), Gap (GPS), Ross Stores (ROST)
11/17(金):
<寄付き前>BJ's Wholesale (BJ)

米国の主な経済指標

11/13(月):
11/14(火):消費者物価指数(CPI)
11/15(水):小売売上高、生産者物価指数(PPI)
11/16(木):フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数、設備稼働率、鉱工業生産指数
11/17(金):住宅建築許可件数・着工件数

今週の着目点

 今週は10月消費者物価指数(CPI)、10月消費者物価指数(PPI)、そして小売売上高と住宅着工件数が発表される。上述したように、10月消費者物価指数(CPI)とそのコアCPIに関するデータは、市場の思惑と同じ方向にインフレが動いているかを測るうえで重要なデータになると思います。10月PPIからは別の視点からも見えてくるものがあるかと思いますが、FRBは、CPIに重点を置いていますので、前月比、前年比がどのような数字で入ってくるかは観察が必要です。この結果で先週のフォロースルーの風が吹くかもしれません。
 10月の小売売上高は、アマゾンのプライム・ショッピング・イベントや、ターゲット、ベスト・バイ、ウォルマートなどの競合他社による取り組みを受け、デジタル・ショッピングの大幅な伸びを示すと予想されています。10月中のガソリン価格の下落は、同月のガソリンスタンド売上高が報告書の中で弱く示される可能性が高いことを意味し、全体としては伸び率は低いと予想されています。10月の食料品・外食売上高にも注目しておきたいです。
 金利の上昇によって、中古住宅の市場があまり動いていないことから、10月新規住宅件数は上振れする可能性はあります。ただ、住宅価格も高く、住宅ローン金利も高止まりしていることから購入できる層の一巡してしまうと、今後は下がってくる可能性がありその見極めを行う必要があると考えております。
 懸念事項はあるものの、FRBが慌てて金利をさらに引上げなくてはなならないような結果が出てくることは低いと考えており、先週の上げに伴って下降トレンドを脱した相場に対してフォロースルーがあるかという点に注目して今週は観察を続けていきたいです。


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