米国市場:10/2週の振返りと10/9週の予定
市場概況
先週のS&P500指数は、4,308.50と前週比+0.48%で終了しました。NASDAQは13,431.34と前週比+ 1.60%で終了しました。
先週の株価は、4日水曜日までは下げ基調でしたが、5日に原油価格が大きく下がり長期金利の上昇が止まった気配を見せると反発を始めました。6日の雇用統計の結果を受けて大きく反発して終了しました。その結果、ダウとラッセル2000は前週比マイナスで終了していますが、S&P500、NASDAQ指数は前週比プラスで終了しました。
これまでの7月の後半に今年のピークを株式市場がつけていますが、それ以降の10年債利回り、ドル、原油の動きをみると、金利は上昇、ドル高、原油高の動きが数週間にわたって続いており、株式市場に打撃を与えてきました。特に、公共事業、小売業は売られすぎの領域まで落ち込んでいます。先週は原油価格が90ドル台から80ドル台前半まで大きく下落し、3日火曜日に4.8%をつけた10年債金利が上昇が止まった気配を見せると株式市場は反発を始めました。6日発表された雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が33.6万人と予想16.6万人を大きく上回る強い結果になったことを受けて、10年債利回りは上昇を再開し、日中の最高値と52週間ぶりの高値4.887%をつけました。その後、注目されていた平均時給が+7¢と予想より低い値で入っていたことがわかるにつれ、反落し、4.78%付近で引けています。その結果、S&P500指数は200日移動平均線(4,208)を割らずに反発しました。
金曜日のS&P500の反発により、同市場のベンチマークは上昇して週を終えたが、それでも過去1ヵ月で3%以上下落しており、下落基調から底入れいれとなったかどうかはもうしばらく観察が必要かなと思います。ただ、CNNのGreed&Fear指数は3日には大きく下がっており、こちらからは株式市場は一旦の底をつけたかなとも考えています。週明けも連騰してくるようであれば、雰囲気は変わったとみても良いかもしれません。
ただし、経済が予想以上に堅調であること、インフレが持続していること、賃金インフレが期待されたほど急速に後退しない見込みであることを示すデータが発表されています。また、今年の第3四半期の決算シーズンに向けて、ネガティブな事前発表やコンセンサス予想を下回る決算を発表する企業が増え始めています。また、今週はCPI、PPIとインフレに関する2つの新たな指標が発表されます。これらは、小幅な進展しか示さない可能性が高いと見ていますが、経済とインフレ圧力状況をより明確に把握するため、先週と今週のデータの発表を受けてをまとめて評価するのが賢明かと考えています。
FRBがFFレートを大きく動かさなくなっており、短期金利の上昇は止まりましたが、長期金利は短期金利を下回ったままです。今後発表されるインフレの状況によっては、長期金利の変動はあるかと思いますが、インフレが加速してから2年近く経過し落ち着きを取り戻しつつありますので、今後はインフレ率がゆっくりと低下し年末には3%を下回った状態で落ち着くのではないかなと考えています。それに合わせて、長期金利の上昇もおちついて来るのではないかなと考えています。
先週末の7日にハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けるというNewsが流れました。ガザ地区の限定的な紛争で、かつ原油産地でもないことから、株式市場に大きな影響はないと思います。ロケット弾が数百発打ち込まれるなど組織的な動きであるため、今後の事態の推移は観察していきたいです。
株式
先週と比較して、S&P500種構成企業の第3四半期の業績見通しは、少し下方修正されています。
S&P500種構成企業の第3四半期の業績見通しは、今期も前年同期比-0.3%の減益(前年同期比)を予想されています。仮に-0.3%であれば、S&P500種指数は4四半期連続で減益となります。この場合、4四半期連続の減益になるが、この間の減益幅(前年同期比)は最小となります。
S&P500構成企業のうち、2023年第3四半期のEPSガイダンスがマイナスの企業の割合は10年平均と同じです。この116社のうち、74社がマイナスのEPSガイダンスを、42社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。S&P500構成企業のうち、2023年第3四半期のEPSガイダンスがマイナスとなることを発表している企業の割合は64%(116社中74社)で、5年平均の59%を上回っているが、10年平均の64%と同水準となっています。
収益面では、S&P500種指数は1.7%の(前年比)増収が予想されています。仮に1.7%が実際の増収率であれば、S&P500種指数は11四半期連続の増収となります。
今後の見通しとして、アナリストは2023年第4四半期の収益成長率(前年同期比)を7.8%と予想しています。CY2023については、アナリストは(前年比)0.9%の増益を予想しています。CY2024については、アナリストは(前年比)12.2%の利益成長を予想しています。
12ヵ月予想PERは17.7で、5年平均(18.7)を下回っていますが、10年平均(17.5)を上回っています。また、第2四半期末(6月30日)の予想PER19.1を下回っています。
来週はS&P500種構成企業12社(ダウ30種構成企業3社を含む)の第3四半期決算発表が予定されています。(ファクトセットより)
来週の主な決算発表(予定)
10/9(月):-
10/10(火):
<寄付き前>PepsiCo (PEP)
10/11(水):-
10/12(木):
<寄付き前>Delta Air Lines (DAL), Domino's Pizza (DPZ), Fastenal (FAST), Walgreens Boots Alliance (WBA)
10/13(金):
<寄付き前>Blackrock (BLK), Citigroup (C), JPMorgan Chase (JPM), UnitedHealth (UNH), Wells Fargo (WFC)
米国の主な経済指標
10/9(月):
10/10(火):
10/11(水):生産者物価指数(PPI)
10/12(木):消費者物価指数(CPI)、新規失業保険申請件数
10/13(金):ミシガン大学消費者信頼感指数
今週の着目点
アトランタ連銀のGDPモデルは先週、今四半期のGDPを+4.9%に据え置いています。週初めのデータ不足を考えると、9月の雇用統計がこの予想を押し上げる可能性が高いです。
週明け、11日(水)と12日(木)にはCPIとPPIの最新データが発表されます。コアCPIを含むインフレのペースについて、これらのデータから、FRBが11月のFOMCでFFレートをもう1度引き上げるかどうかがはっきりとしてくると思います。
クリーブランド連銀のインフレ・ナウキャスティング・モデルでは、9月のヘッドラインCPIは前年比3.69%(8月は3.7%)、コアCPIは4.17%(8月は4.3%)と小幅に低下すると予想されています。S&Pグローバル(SPGI)とISMが発表した9月のサービス業PMIに関するコメントでは、物価が上昇し、値上げを転嫁しようとする企業の動きが再び活発化していることが指摘されてもいます。
9月の雇用統計が予想を大きく上回りましたが、賃金上昇の圧力がすこし低減されてきていることが示されていました。原油・ガス価格の下落が9月末に始まったばかりであることを考慮すると、来週のインフレ・データは、大きな進展はないと考えています。その結果、11月の利上げ観測はさらに強くなるかもしれませんが、微調整の域であると考えています。CMEフェド・ウォッチ・ツールの利上げ確率は先週の18%から26%強に上昇しています。
2つのインフレ統計の間に、水曜日の午後にはFRBの9月FOMC議事録が発表されます。この議事録では、FRBがインフレについてどのように考えているのか、そしてFRBが今年中にもう1回FFレートを引き上げる要因が何なのかを読み込んで行きたいです。9月の議事録を読み込む際には、FRBがチームスター・UPS(UPS)のストライキの影響や、UAWを含む他の現行ストライキの和解の可能性、2024年の最低賃金引き上げを織り込み、賃金インフレを検討しているかどうかも確認したいです。ただ、議事録の発表と同じ時期にCPI、PPIの発表されるため、注目度はそれほど高くないかもしれません。
また、イスラエルの紛争についても市場がどのように反応するかも観察していきたいです。
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