米国市場:9/25週の振返りと10/2週の予定
市場概況
先週のS&P500指数は、4,288.05と前週比-0.74%で終了しました。NASDAQは13,219.32と前週比+0.06%で終了しました。
先週で9月の取引を終了しました。9月一杯を通してダウントレンドが継続しておりS&P500指数は-4.87%、NASDAQは-5.81%下落して取引を終了しました。今四半期を振り返っても、7月の高値からは、S&P500指数は3ヵ月間で4%近く下落し、NASDAQは4%以上、小型株比率の高いラッセル2000指数は5%以上下落しました。
振り返って見ると、今年3月から7月までは好調な上昇気流に乗って推移していました。FRBの金利引き締めが早々に終了し、年内もしくは24年早々に利下げが始まるのではないかという観測から株価が上昇してきました。しかし、7月以降はインフレに対する懸念が再燃し、経済が予想以上に好調であるとの指標を受けて、FRBの引き締めがまだ続くのではないかという懸念が再燃しています。8月の指標では、コア・インフレには進展がみられたものの、原油価格の高騰によりCPIの数字自体は再上昇の気配を見せています。先週の原油価格はWTI指数で95ドル近くまで値上がりしました。現在は90ドル台で落ち着いてはいるものの、原油価格の上昇によって、インフレ自体は再度上昇の気配をしばらくは示してくると思います。またこの原油価格の高騰は、航空会社の収益見通しの引き下げにもつながっており、他の産業にも影響してくると思います。
賃金インフレも、8月の発表では落ち着きつつある気配を見せていましたが、このところの労働組合の動きを見ていると、先延ばしになりそうな気配を感じています。UPS社においてもストライキの懸念がありましたが、チームスターズとの交渉においてストライキは回避されましたが、チームスターズはUPSから大幅な譲歩を勝ち取っています。先週末(29日)には、ユナイテッド航空(UAL)は「業界をリードする賃上げ」を含む合意にパイロットと達しています。UAWはストライキを実施し、金曜日にはデトロイト3社に対する取り組みの拡大を選択しています。22のカジノに影響を与える可能性のあるラスベガスのホスピタリティ労働者を含む他のストライキの動きも活発になっています。さらに、組合とカイザー社が土曜日までに合意に達しなければ、全米のカイザー社施設で働く7万5000人の医療労働者が来週ストライキに突入する可能性もありましたが、10月1日時点では4日にはストライキの実行は回避されています。
連邦政府の閉鎖については、土壇場でつなぎ予算案が可決され11月17日までの執行が可能となりました。年中行事ではありますが、可決がされなかった場合はムーディーズの格付けが現在のトリプルAから下方修正されるかどうかも注目され、もし、ダウングレードされた場合は8月にフィッチ・レーティングスが米国のトリプルA格付けを引き下げたときのように、株式への圧力が再燃する可能性があります。
10年債利回りは9月27日に4.626%の高値をつけ、四半期中の3.819%から大幅に上昇しています。9月のFRBの会合を受けて、利下げの時期が後ろ倒しになる観測が強くなっていることを示していると思います。実際、FedwatchToolもしばらく据え置かれる予想が高くなっています。その結果、ドルが年初来の高水準まで上昇しており、23年の第3四半期、第4四半期にもドル高の影響を受けることが予想され、今後のEPS予想にも3Qの決算発表が進むと共にEPS予想にも反映されてくると思います。
現状として、米国市場は売られすぎで安くはなっていますが先週に買い手がいなかったのはこのためだと考えています。正直なところ、先週は市場にとって厳しい材料が多かったです。
今週は、月初めであり、かつ新しい四半期の開始時期にもなります。週末に債務上限問題がいったん可決されたこともあり週前半は反発を試みるかもしれません。ただ、今週、来週は経済指標が多く発表されます。この結果によっては、経済への期待感、10月中旬より本格化する企業の決算発表の内容にも影響があると思います。
株式
S&P500種構成企業の第3四半期の業績見通しは、今期も前年同期比-0.1%の減益(前年同期比)を予想されています。仮に-0.1%であれば、S&P500種指数は4四半期連続で減益となります。この場合、4四半期連続の減益になるが、この間の減益幅(前年同期比)は最小となります。
S&P500構成企業のうち、2023年第3四半期のEPSガイダンスがマイナスの企業の割合は10年平均と同じです。この116社のうち、74社がマイナスのEPSガイダンスを、42社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。S&P500構成企業のうち、2023年第3四半期のEPSガイダンスがマイナスとなることを発表している企業の割合は64%(116社中74社)で、5年平均の59%を上回っているが、10年平均の64%と同水準となっています。
収益面では、S&P500種指数は1.6%の(前年比)増収が予想されています。仮に1.6%が実際の増収率であれば、S&P500種指数は11四半期連続の増収となります。
今後の見通しとして、アナリストは2023年第4四半期の収益成長率(前年同期比)を8.3%と予想しています。CY2023については、アナリストは(前年比)1.1%の増益を予想しています。CY2024については、アナリストは(前年比)12.2%の利益成長を予想しています。
来週の主な決算発表(予定)
10/2(月):-
10/3(火):
<寄付き前>McCormick & Co. (MKC)
<引け後>-
10/4(水):-
10/5(木):
<寄付き前>Conagra (CAG), Constellation Brands (STZ), Lamb Weston (LW)
<引け後>Levi Strauss (LEVI)
10/6(金):-
米国の主な経済指標
10/2(月):ISM製造業景気指数
10/3(火):
10/4(水):ADP雇用者数、製造業新規受注、耐久財受注、ISM非製造業景気指数
10/5(木):新規失業保険申請件数
10/6(金):失業率、非農業部門雇用者数
今週の着目点
11月のFOMCに向けて、10月第1週には9月の景気ペース、インフレ率、賃金上昇率などを示すいくつかのデータが発表される。製造業およびサービス業PMIの新規受注データも、今年最終四半期をどのようにスタートさせるかを示唆することになると思います。先週発表された8月の個人所得・支出統計では、個人消費が所得を上回るペースで増加していることが明らかになっています。このような結果が出れば出るほど、毎月の負債返済額の増加の影響を受け、消費者が買い控えをする可能性が高くなります。結果として、ペプシコ(PEP)、マクドナルド(MCD)、コストコ(COST)は、こうした消費シフトの恩恵を受ける可能性が高いです。
10月4日にはOPEC+が理事会を開催する予定です。加盟国による原油減産が昨今の原油上昇の要因となっています。会合では、政策変更が行われるかどうかが注目されますが、その可能性は低いとの報道がすでに出ています。OPEC+が今後も、供給量を増やすのではなく、原油価格を下支えする方針を示した場合、原油価格とエネルギー・セクターの株価は上昇する可能性が高いです。
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