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米国市場:1/23週の振返りと1/30週の予定

市場概況

 今週も主要株価指数であるS&P500は2.5%、NASDAQは4.3%上昇して終了しました。年初来で見るとS&P500は6.0%の上昇、NASDAQに至っては11%の上昇と力強い上昇を見せています。S&P500は200日移動平均線を上抜けしましたので、4100を目指す展開となると思いますが、ここ数日のニュースの多くをみていると中身を伴っていない期待先行になりつつあるため、持続性が厳しいかなと思います。。また、NASDAQは上昇のペースが速すぎるのではと考えており、こちらは節分天井にならないか確認していきたいです。
 先週のニュースフローとしては暗いものが多かったです。SPOTIFY(SPOT)、3M(MMM)、Hasbro(HAS)、ラム・リサーチ(LRCX)などがレイオフを発表し、バンク・オブ・アメリカはコスト抑制と潜在的な景気後退に備えるため、最も重要な役割を除いて採用を中止するよう管理職に指示したという報道されています。テキサス・インスツルメンツ(TXN)は、自動車向けを除くすべての最終市場で需要が低迷していると決算で報告しています。また、マイクロソフト(MSFT)はPCの低迷が続いていると指摘し、クラウド需要の強さについて懸念を表明しています。インテル(INTC)は、12月期の業績が悪化し、当四半期の売上が予想を大幅に下回り、最終損益が赤字になるとの見通しを発表していました。
 景気が落ち込んでいることを確認させる内容となっていますが、金利上昇は止まったことが確認されたわけではないので、2月1日に予定されているFOMCの発表次第で、荒れる可能性はあります。

米国経済

1/26(木):新規失業保険申請件数、新築住宅販売件数
新規失業保険申請件数は、18.6万件と予想20.4万件を下回りました。前回修正値は19.2万件でした。
新築住宅販売件数は、61.6万件と予想62万件を下回りました。前回修正値は60.2万件(修正前64万件)でした。
販売価格中央値は$442,100でした。前年同期比+7.8%でした。
住宅販売件数は前年比20%台のマイナスが続いていますが、下げ止まったような動きになってきています。

1/27(金):個人所得・支出、PCEコアデフレータ
 個人所得(前月比)は+0.2%と予想+0.3%を下回りました。前回値は+0.3%でした。
 個人支出(前月比)は-0.2%と予想‐0.1%を下回りました。前回値は‐0.1%でした。
 PCEコアデフレータは4.4%と予想と一致しました。前回値は4.7%でした。

株式(FactSet)

S&P 500種構成企業の第4四半期決算シーズンは、引き続き低調な結果となっています。S&P500に属する企業のうち29%が、先週までに2022年第4四半期の決算を発表しています。このうち69%の企業が予想を上回るEPSを発表しており、先週末の67%を上回りましたが、5年平均の77%、10年平均の73%を下回っています。EPSは予想EPSを1.5%上回っています。しかし、先週末の3.3%、5年平均の8.6%、10年平均の6.4%を下回っています。結果、第4四半期のブレンド減益率は引き下げられ、第4四半期末(12月31日)の減益率-3.2%に対し、先週末は-5.0%となっています。仮に-5.0%が今期の実際の下落率であれば、指数が前年同期比で減益となるのは2020年第3四半期(-5.7%)以来のこととなります。
 売上については、S&P500企業の60%が予想を上回る実収益を報告しておりますが、5年平均の69%、10年平均の63%を下回っています。企業全体では、予想を1.0%上回る収益を報告しており、5年平均の1.9%を下回り、10年平均の1.3%を下回っています。第4四半期の混合売上成長率は、第4四半期末(12月31日)の売上成長率3.9%に対し、同率の3.9%となっています。3.9%が今期の実際の成長率であれば、2020年第4四半期(3.2%)以来の最低値を記録することになります。
 今後の見通しとしてはアナリストは2023年第1四半期と第2四半期については、それぞれ-3.0%と-2.4%の収益減少を予想しています。2023 年第 3 四半期と第 4 四半期については、それぞれ 3.7%と 10.3%の増益を予想しています。2023年通期では、アナリストは3.4%の増益を予測している。
 フォワード12ヶ月PERは17.8で、5年平均(18.5)を下回るが、10年平均(17.2)は上回る。また、第4四半期末(12月31日)に記録したフォワードPER16.7を上回っています。

来週の主な決算発表(予定)

1/30(月):
<寄付き前>GE HealthCare Technologies Inc (GEHC)
<引け後>J & J Snack Foods Corp (JJSF), NXP Semiconductors NV (NXPI), 
Whirlpool Corporation (WHR),
1/31(火):
<寄付き前>Caterpillar Inc. (CAT), Dover (DOV), Exxon Mobil (XOM), General Motors (GM), Juniper Networks, Inc. (JNPR), McDonald's (MCD), Moody's (MCO), Pfizer Inc. (PFE), Phillips 66 (PSX), Snap Inc (SNAP), Spotify (SPOT),  SYSCO (SYY), United Parcel Service (UPS),
<引け後>Advanced Micro Devices (AMD), Amgen (AMGN), Canadian Pacific Railway (CP), Chubb (CB), Electronic Arts (EA), Match Group (MTCH)
2/1(水):
<寄付き前>AFLAC (AFL), Altria (MO), Boston Scientific (BSX), Corteva (CTVA),
GSK (GSK), Johnson Controls International (JCI), Novartis (NVS), Otis (OTIS),  Peloton (PTON), Waste Management (WM)
<引け後>DXC (DXC), McKesson (MCK), Meta (META), Metlife (MET), Qorvo (QRVO), Tetra Tek (TTEK)
2/2(木):
<寄付き前>Atlassian Corp (TEAM), Bill.com (BILL), Bristol-Myers (BMY), Canada Goose (GOOS), Eli Lilly (LLY), Estee Lauder (EL), Ferrari (RACE),
Honeywell (HON), Merck & Co (MRK), Parker-Hannifin (PH), United States Steel (X),
<引け後>Alphabet Inc Class C (GOOG), Amazon (AMZN), Apple (AAPL), Clorox (CLX), Ford Motor (F), Gen Digital (GEN), Gilead Sciences (GILD),
Microchip (MCHP), Qualcomm (QCOM), Starbucks (SBUX),
2/3(金):
<寄付き前>Brookfield Renewable (BEP), Cboe (CBOE), Regeneron (REGN),
Sanofi (SNY), Zimmer Biomet (ZBH),

米国の主な経済指標

1/30(月):
1/31(火):S&Pケースシラー住宅価格、コンファレンスボード消費者信頼感指数
2/1(水):ADP雇用者数、ISM製造業景気指数、FOMC
2/2(木):新規失業保険申請件数、耐久財受注
2/3(金):失業率・非農業部門雇用者数(NFP)、ISM非製造業景気指数

今週の着目点

 今週は23年の開始から1か月が終了し、プラスで終了することは高いため、年間通して上昇する可能性は高くなりました。
 しかし、今週は大きく荒れるかもしれません。景気の状況を示す指標や、ハイテク企業の決算発表が相次ぐ中、FOMCも開催されます。
 パウエル議長が記者会見の場のコメントによって、市場が動く可能性があります。現在のコンセンサスとしてFRBは利上げペースを4分の1ポイントに減速させるとの見方が強く、2月のFOMC以降にあと1回の利上げを見込んでいます。1月27日に発表された12月PCE価格指数からは、FRBの目標である2%のインフレターゲットへまだ遠いく、FRBがインフレ対策を続ける必要性についてFRB高官がコメントしていることから、FFレートの終値の可能性に関するパウエル議長の記者会見での発言が注目を集めると思います。CME FedWatch Toolでは年内利下げをすることが期待が入っており、その期待から市場も上昇していると考えられ、3月で金利上昇が打ち止めにならない旨の発言もあった場合などは要注意かと思います。
 FOMCに注目ですが、1月の経済データもいくつか発表され、アルファベット、アップル、メタプラットフォーム、アマゾンなど550以上の決算発表があります。決算への期待はそれほど高くないのですが、それなりの決算を出せているか確認しておく必要があります。また、1月の経済データとしては雇用統計、および1月のADP雇用変動統計から、12月と1月の雇用創出がより顕著に減速したかどうかを企業の発表している内容に合わせ、確認していきたいです。失業率の変化とともに、インフレ要因の一つとなっている賃金の上昇幅についても注目しています。ハイテク関連の人材は解雇されてもすぐに雇用される可能性があり、失業率が大きく動かない可能性もあるため、賃金が抑えられつつあるかは把握しておく必要があると考えています。

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