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米国市場:12/5週の振返りと12/12週の予定

市場概況

 先週は、主要指数は下落しました。S&P500は3934.38と前週比-3.3%でした。12月に入ってからは主要株価指数はすべてマイナスとなっています。そのため、VIX指数も上昇し、Fear&Greed indexもGreedかNeutralへと変化していますが、極端な状況ではありません。
 前週末に発表された11月の雇用統計が予想を上回る、雇用者数、平均時給でした。また、ISM非製造業景気指数も56.5と予想を上回り、米国景気はサービス業はまだ堅調を示唆する結果となっています。ただし、ユーロ圏は景気の後退を示唆する内容となっており、今後米国にも波及してくるかどうかは引き続き観測する必要があると思います。
 米国のみの結果からすると、FRBは引き続き金利上昇の手を緩めないのではないかと考えてしまいますが、10年債利回りは3.5%前後で落ち着いてきており、さらなる金利上昇は見込んでいないように見受けられます。
 中国のコロナ規制の緩和が示唆されたことからの経済活動の再開、かつロシアからの原油の価格にキャップをかけるなどを行ったため、原油価格の暴騰が懸念されましたが金曜日の終わり時点でWTI先物は71.43ドルと今年の最安値となっています。原油需要が細っていることになりますのでこちらは景気後退を示唆しているように見受けられます。
 11月の中国輸出は急減し、AppleのパートナーであるFoxconnの11月の収益が29%減少したことから、中国経済が再活性化するまでにはもうしばらくかかることなのかもしれません。
 全米のガソリン価格の下落が続いています。AAAによると、全米平均で約3.32ドルと、1ヶ月前の約3.81ドルから低下し、1年前の約3.34ドルを下回りました。生活必需品のガソリン価格の下落によって、人々の懐に余裕が出てきてもいるのではないかと思います。しかし、レイオフの増加、2023年の経済の行方、債務残高の増加、消費者の貯蓄率の低下なども報道されており個人消費への懸念が続きます。実際に、FRBの発表によると、10月の消費者信用総額は271億ドル増加し、予想の260億ドルを大幅に上回り、9月の258億ドルの増加(改定値)を上回っています。
 特に、クレジットカードを中心とするクレジットローンは、前月の8.2%増に続き、10月には10.4%増となっています。FRBがインフレ収束に向けて金利を上昇させていることから、消費者に圧力がかかってきていると考えています。このことは、週明けにウォルマートとノードストロームが発表した消費に対する慎重なコメントが、今後、他の小売企業、特に過剰な在庫水準にも大きな影響が発生すると考えられます。その意味では、今週ルルレモン・アスレティカが報告した前年比85%増の在庫は要注意だと思います。

 11月の生産者物価指数は予想を上回る結果となり、インフレは終息には向かいつつあるものの進捗が遅々としていること示唆する結果となりました。ただ、CMEフェドウォッチツールは、来週のFRB会合で50ベーシスポイントの引き上げが行われる可能性が高いことを示しおり、また、2023年6月期末のFF金利は500-525bpになる可能性が高いことも示しています。来週に発表される11月の消費者物価指数(CPI)がFOMCの結果にも影響するため、来週前半はこちらの数値如何によって相場がギクシャクしそうです。

米国経済

12/6(火):ISM非製造業景気指数、製造業新規受注、耐久財受注
 ISM非製造業指数は56.5と予想53.4を上回りました。前回値は54.4でした。これは市場予想をかなり上回り、前月比でも改善しています。製造業は50を割り込み、景気後退が意識される結果でしたが、非製造業は56.5と強い内容になっています。企業コメントからは、回答者によってまちまちでしたが、製造業に比べるとコメント内容がポジティブでした。
 製造業新規受注は1.0%と0.6%を上回りました。前回値は0.3%でした。こちらも前月比でプラスとなっております。
 耐久財受は、1.1%と予想1.0%を上回りました。前回値は1.0%でした。

12/8(木):新規失業保険申請件数
 新規失業保険申請件数は、23万件と予想22.9万件を上回りました。前回修正値は22.6万件(修正前:22.5万件)でした。
コロナ直前の平均値に近くなってきました。雇用のほうは、ほぼ正常化したとみられます。月次の雇用統計に反映されるのは、来月、再来月になるかもしれません。

12/9(金):生産者物価指数(PPI)、ミシガン大学消費者信頼感指数
 生産者物価指数(PPI)は前年比11月は7.4%と予想7.1%を上回りました。前回値は8.0%でした。前月比は0.3%と予想0.2%を上回りました。前回修正値は0.3%(修正前0.2%)でした。
 10月より上昇率が鈍化したものの、市場予想は上回りました。約1年半ぶりの上昇率の低さで、インフレのピークアウトしダウントレンドに入っていることを示唆する内容でした。

株式

 S&P500構成企業の業績予想について、アナリストは2022年第4四半期の業績予想を前期比で小幅に、5年平均比で大幅に引き下げています。1株当たりで見ると、第4四半期の推定収益は9月30日以降5.7%減少しています。この減少幅は、2022年第3四半期に記録した-6.8%の減少幅よりも小さいのですが、5年平均の-2.5%、10年平均の-3.3%の四半期よりも大きくなっています。
 2022年第3四半期にマイナスのEPSガイダンスを発表したS&P500企業の数は、前四半期の数より少ないが、5年平均より多くなっています。現時点では、インデックスに含まれる97社が2022年第4四半期のEPSガイダンスを発表しており、この97社のうち63社がマイナスのEPSガイダンスを、34社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。2022年第4四半期にネガティブなEPSガイダンスを発表しているS&P500企業の数は、2022年第3四半期(66社)、第2四半期(72社)、第1四半期(68社)の数より少ない状況です。ただし、5年平均の58を上回っています。
 アナリストによる業績予想の下方修正と企業によるEPSガイダンスのマイナス発表により、2022年第4四半期の推定収益は第4四半期の開始時点と比較して現在低くなっています。9月30日の推定(前年同期比)増益率3.7%に対し、本日時点ではS&P500の(前年同期比)減益率は-2.5%と予想されています。仮に-2.5%が今期の実際の減益幅となった場合、同指数が(前年同期比)減益を記録するのは2020年第3四半期(-5.7%)以来のこととなります。   
 売上面では、アナリストが当四半期中に推定値を引き下げました。その結果、2022年第4四半期の推定売上は、9月30日の推定(前年同期比)成長率6.3%に対し、本日現在、S&P500は4.2%の成長率を報告すると予想されています。仮に4.2%が実際の成長率となった場合、同指数が報告した(前年同期比)収益成長率は2020年第4四半期(3.2%)以降で最低となります。
 フォワード12ヶ月PERは17.1であり、5年平均(18.5)を下回るものの、10年平均(17.1)と同程度となっています。

来週の主な決算発表(予定)

12/12(月):
<寄付き前>
<引け後>Coupa Software (COUP), Oracle (ORCL)
12/13(火):
<寄付き前>
<引け後>
12/14(水):
<寄付き前>
<引け後>Lennar (LEN), Trip.com Group (TCOM)
12/15(木):
<寄付き前>Jabil (JBL)
<引け後>Adobe (ADBE)
12/16(金):
<寄付き前>Accenture (ACN), Darden Restaurants (DRI), Winnebago (WGO)

米国の主な経済指標

12/12(月):
12/13(火):消費者物価指数(CPI)
12/14(水):FOMC
12/15(木):小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数、設備稼働率、鉱工業生産指数
12/16(金):

今週の着目点

 今週は月曜日は特に経済発表はありませんが、火曜日以降はインパクトのある発表を控えています。13日(火)は、11月消費者物価指数(CPI)が発表されます。CPIの結果は、FOMCの今後の金利の見通しにも影響を与えるかもしれません。金利の上昇局面はほぼ終点に近づいてきてはいますが、2023年に金利の終値がどこになるかは、市場関係者は気にしてはいると思います。FRBはインフレとの戦いに勝利したと確信するまで、利上げを継続を示唆すると思われ、これに市場が大きく揺れる可能性があります。今のCMEの結果として、2023年後半に利下げが実施される可能性は非常に低いと思われていますが、引き続き指標をみながら観測を続ける必要があります。
 そのイベントが終わると、木曜日には11月の小売売上高が発表されます。Adobe Analytics が発表したサンクスギビングからサイバーマンデーまでのデジタル・ショッピングが好調であったため、好調を維持するものと思われます。また、自宅での食事(食料品)と外食の比較や、コストコの11月のレポートについても注目したいです。

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