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米国市場:6/5週の振返りと6/12週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4298.86と前週比+0.39で終了しました。NASDAQは13259.14と前週比+0.14%で終了しました。
 先週の株価は、小型株のラッセル2000が全面的に強い週でした。ラッセル2000の指数は前週比+1.9%と牽引し、他の市場指数のモメンタムドライバーとなりました。一握りの銘柄だけが上がる相場よりも株式市場全体が幅広く上昇する相場のほうがはるかに健全なため、うれしい動きでもありました。年初からこれまでのラリーについては、一部のNASDAQ銘柄が牽引しました。特に指数への影響が大きいNVDA、META、MSFTなどは年初来大きく上げていることからもわかると思います。市場は現在の状況をすでに織り込んでいると思われますので、6月以降は素直にこれらの銘柄を中心に上がり続けることは難しいと思います。
 また、先週は10年金利が不安定な動きをしていました。来週のFOMCとCPIなどのインフレ状況を示すデータが出る前に、債券保有者が保有債券を売却しましたが、週末には上昇し、3.745%と前週比+で終了しました。一時下げ基調であった金利がBOX内の動きとなっていますが、また上昇の気配を見せているため、若干気を付ける必要があると思います。
 CMEFEDウォッチツールでは、来週のFOMCでの利上げがある可能性が25%となっていますが、こちらはこれまでの動きを見る限り利上げはスキップされる可能性が高いと思います。それ以上に7月の利上げ可能性が50%を超えているポイントに着目する必要があります。エネルギー価格は昨年比で軟調に推移してますが、労働市場が強いため、次週に発表されるCPIも前年比では下げ止まりの停滞感が出てくると予想されます。この状況に対して、FRBがどのように判断しているのか摘目する必要があります。

米国経済

6/5(月):製造業新規受注、耐久財受注、ISM非製造業景気指数
 製造業新規受注(前月比)は、0.4%と予想0.8%を下回りました。前回修正値は0.6%(修正前:0.9%)と下方修正されています。
 耐久財受注(前月比)は、1.1%と予想と一致しました。前回値は1.1%でした。
 ISM非製造業景気指数は、50.3と予想52.5を下回りました。前回値は51.9でした。50を超えているため全体と引き続き好調ではありますが、雇用については、49.2となっており減速がみられつつあるのかもしれません。
6/6(火):
6/7(水):
6/8(木):新規失業保険申請件数
 新規失業保険申請件数は、26.1万件と予想23.5万件を上回りました。前回修正値は23.3万件(修正前:23.2万件)でした。
6/9(金):

株式

 23年の1Qの決算発表シーズンもほぼ終わりましたので、次の2Qの業績見通しに対して興味がシフトしつつあります。アナリストや企業の2Qの業績見通しは、過去の平均と比較して悲観的なものとはなっていませんが、2QのS&P500指数構成企業の推定収益は、四半期開始時の予想に比べ、低くなっています。同指数は現在、2020年第2四半期以降で最大の前年同期比減益を記録すると予想されています。
予想修正に関しては、アナリストは2023年第2四半期の業績予想を小幅に引き下げています。1株当たりで見ると、第2四半期の推定利益は3月31日時点以降2.2%減少しています。この減少幅は、5年平均の-3.4%より小さく、10年平均の-3.4%より小さいです。
 ガイダンスの面では、2023年第2四半期のEPSガイダンスを否定的に発表しているS&P500社の割合は、平均よりも少ないです。現時点では、インデックスに含まれる110社が2023年第2四半期のEPSガイダンスを発表しており、この110社のうち66社がマイナスのEPSガイダンスを、44社がプラスのEPSガイダンスを発表しています。2023年第2四半期にネガティブなEPSガイダンスを発表したS&P500企業の割合は60%(110社中66社)で、5年平均の61%、10年平均の66%を下回っています。
 予想修正とガイダンスのマイナス幅は平均より小さいものの、2023年第2四半期の予想(前年同期比)減益幅は第1四半期の開始時点と比較して大きくなっています。3月31日のS&P500の推定(前年同期比)減益幅-4.8%に対し、9日時点では-6.4%の減益幅が見込まれています。
仮に-6.4%が実際の減益幅となった場合、同指数は2020年第2四半期(-31.6%)以降で最大の減益幅となります。また、同指数が(前年同期比)減益を報告するのは3四半期連続となります。
 収益に関しても、アナリストは当四半期中に予想を引き下げています。3月31日の時点では、S&P500は横ばい(0.0%)の予想だったのに対し、9日時点では(前年同期比)-0.4%の減収と予想されています。
 仮に-0.4%が当四半期の実際の減少額となった場合、同指数が前年同期比で減収となるのは2020年第3四半期(-1.1%)以来のこととなります。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年後半も収益の伸びを予想しています。2023年第3四半期と第4四半期については、アナリストはそれぞれ0.8%と8.2%の利益成長を予測しています。2023年CY全体では、アナリストは1.2%の利益成長を予測しています。
フォワード12ヶ月PERは18.5で、5年平均(18.6)を下回るが、10年平均(17.3)を上回る。また、第1四半期末(3月31日)時点の予想PER18.1倍を上回っています。(FactSet)

来週の主な決算発表(予定)

6/12(月):
<寄付き前>Ecarx Holdings Inc. (ECX)
<引け後>Oracle Corporation (ORCL)
6/13(火):
6/14(水):
<引け後>Lennar Corp (LEN),
6/15(木):
<寄付き前>Kroger Co (KR),
<引け後>Adobe Inc (ADBE),
6/16(金):

米国の主な経済指標

6/12(月):
6/13(火):消費者物価指数(CPI)
6/14(水):FOMC、生産者物価指数(PPI)
6/15(木):小売売上高、新規失業保険申請件数、設備稼働率、鉱工業生産指数、フィラデルフィア連銀景況指数
6/16(金):

今週の着目点

今週は、様々なデータや予想が飛び交う1週間となりそうです。まず一つとして、13日~14日にFOMCが開催され14日午後にはフェデラルファンズレートが発表されます。今まで、市場は年3回程度の利下げがあることを織り込んでいましたが、今は1回程度と利下げ期待が遠のいています。逆に7月にももう1度利上げがあるのではないかとの予想も高まってきています。
 その証拠に労働市場は引き続き強く、賃金上昇の圧力は依然として変わっていません。また火曜日はCPI、水曜日にPPIが発表されますが、前年比較ではこれから苦しい時期に入ります。その結果、インフレの高止まり感が夏から醸成されてくるリスクがあり、FRBの利上げが終盤を迎えているとのコンセンサスにもかかわらずズルズル引き上げられる可能性も出てきます。
 10年債利回りも徐々に上がってきており、新波動の発動まではいかないものの微妙な水準まで来ています。10年債利回りが上昇し続けた場合、ハイテク株は売られ、それに引きずられる格好で指数も軟調になる可能性はあります。今週は、その意味でどちらに転びそうなのか、観察する時期なのかもしれません。

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