見出し画像

米国市場:10/17週の振返りと10/24週の予定

市場概況

今週も不安定な展開でしたが、S&P500とナスダック総合指数の四半期累計リターンがプラスに転じ、好調のうちに終了しました。
 金曜日に発行されたウォール・ストリート・ジャーナル紙は、FRBが12月の会合ではFF金利を半ポイントしか引き上げないかもしれないとし、「一方で新しい経済予測を用いて、2023年には先月の予測よりもいくらか金利を引き上げるかもしれない」という記事を掲載しています。
 11月1日2日の会合ではFRBがFF金利を0.75%の引き上げをするという予想については、変更はありません。FRBの政策変更はいずれも経済界に浸透するのに時間がかかるため、すぐには結果が出てきません。インフレが6月のピークから9.1%、8.5%、8.3%、8.2%と減少傾向にあるため、この傾向が続くとなるとFRBは今後の利上げ幅を縮小する可能性があります。つまり、FRBが11月2日に2日間の政策会議を終える前に発表されるインフレデータが、市場へのメッセージとその文言を決定することになると思われます。

 企業業績の悪化、レイオフや企業の経費削減の報道、英国の指導者層の不安、米国による新たな技術禁止措置の可能性、ドルの逆風、個人消費に対する懸念は残っているものの、今後の金利の引締めへの一定の筋道が見えてきて緩まる可能性が高くなったことで今後は大きく市場が上昇する可能性が出てきています。

米国経済

10月18日:設備稼働率、鉱工業生産指数
設備稼働率は80.3%と予想79.9%を上回りました。前回修正値は80.1%でした。
鉱工業生産指数は0.4%と予想0.0%を上回りました。前回修正値は‐0.1%でした。
9月の鉱工業生産は、消費財の生産高が年率0.6%減となり、6月期の同3.1%減から大幅に改善されてきております。

10月19日:住宅建築許可件数、住宅着工件数
住宅建築許可件数は156.4万件と予想153.2万件を上回りました。前回修正値は154.2万件(修正前:151.7万件)でした。
住宅着工件数は143.9万件と予想146.5万件を下回りました。前回修正値は156.6万件(修正前:157.5万件)でした。
30年物住宅ローン金利の上昇が収まっておらず、2か月前に5.46%だったものが現時点では7.2%近くになっております。今後も需要が引き続き減ってくるものと思われます。中古住宅販売、新規住宅販売にも影響が出ているはずでピークを付けるまでもう少しは落ちるかなと予想されます。

10月20日:中古住宅販売件数、新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数
中古住宅販売件数は470万件と予想と一致しました。前回値は480万件でした。上述したように、住宅ローンがまだ上がっており、需要はまだ減退すると思われますので来月も下げる可能性が高いです。

新規失業保険申請件数は21.4万件と予想22.9万件を下回りました。前回修正値は22.6万件(修正前:22.8万件)でした。
金利が引き上げられていてリセッションだといわれているにもかかわらず、労働市場はまだ逼迫しているようです。コスト増につながることから企業収益への影響も引き続き確認が必要です。

フィラデルフィア連銀景況指数は‐8.7と予想-4.5を下回りました。前回値は‐9.9でした。大きな下げを見せたニューヨーク連銀製造業景気指数と比較すると緩やかに改善はしてます。

株式

 S&P500のうち20%の企業が2022年第3四半期の実績値を現在までに報告しています。これらの企業のうち、72%が予想を上回る実績EPSを発表しており、5年平均の77%、10年平均の73%を下回っている状況です。また、サプライズ幅では予想を2.3%上回るEPSとなっており、これは5年平均の8.7%、10年平均の6.5%を下回っています。
 結果として、第3四半期のブレンド(発表済みの企業の実績と未発表の企業の推定を組み合わせたもの)EPS成長率は、先週のEPS成長率1.3%、第3四半期末(9月末)のEPS成長率2.8%に対し、21日時点では1.5%となりました。
 売上では、S&P 500種構成企業のうち70%が実績売上で予想を上回っており、これは5年平均の69%、10年平均の62%を上回っています。企業全体では、売上高は予想を1.3%上回り、5年平均の1.9%を下回りましたが、10年平均の1.2%は上回りました。
 この結果、第3四半期の混合売上成長率は、先週の売上成長率8.4%、第3四半期末(9月30日)の予想売上成長率8.7%に対し、本日は8.5%となっています。
 今後の見通しとして、アナリストは2022年第4四半期の収益成長率を2.7%、CY2022の収益成長率を6.7%と予想しています。2023年第1四半期と第2四半期については、アナリストは5.1%と3.5%の利益成長を予測しています。2023 年 CY については、アナリストは 7.3%の利益成長を予測している。
フォワード12ヶ月PERは15.6で、5年平均(18.5)、10年平均(17.1)を下回っている。
 来週は、S&P500種構成企業165社(うちダウ30種構成企業12社)が第3四半期の決算を発表する予定です。(FactSet)

来週の主な決算発表(予定)

10/24(月):
<寄付き前>Philips (PHG), Schnitzer Steel (SCHN)
<引け後>Celestica (CLS), Discover Financial Services (DFDS), Logitech International (LOGI).
10/25(火):
<寄付き前>3M (MMM), Biogen (BIIB), Coca-Cola (KO), Corning (GLW), General Electric (GE), General Motors (GM), JetBlue Airways (JBLU), Kimberly Clark (KMB), Paccar (PCAR), Raytheon Technologies (RTX), SAP SE (SAP), Sherwin Williams (SHW), UPS (UPS).
<引け後>Alphabet (GOOGL), Chipotle Mexican Grill (CMG), Enphase Energy  (ENPH), F5 Networks (FFIV), Microsoft (MSFT), Texas Instruments (TXN), Visa (V).
10/26(水):
<寄付き前>ADP (ADP), Boeing (BA), CME Group (CME), Driven Brands (DRVN), General Dynamics (GD), Hess (HES), Hilton (HLT), Kraft Heinz (KHC), Norfolk Southern (NSC), Silicon Labs (SLAB), Waste Management (WM), Wingstop (WING).
<引け後>Digital Realty Trust (DLR), Ethan Allen (ETH), Ford Motor (F), KLA Corp. (KLAC), Meta Platforms (META), Teladoc (TDOC), United Rentals (URI), VF Corp. (VFC).
10/27(木):
<寄付き前>Altria (MO), Anheuser-Busch InBev (BUD), Arch Coal (ARCH), Caterpillar (CAT), Check Point Software (CHKP), Comcast (CMCSA), International Paper (IP), Keurig Dr Pepper (KDP), Mastercard (MA), McDonald's (MCD), Merck & Co. (MRK), Northrop Grumman (NOC), Shopify (SHOP), Twitter (TWTR)
<引け後>Amazon (AMZN), Apple (AAPL), Gilead (GILD), Intel (INTC), Roku (ROKU), Pioneer Natural Resources (PXD), Terex (TEX), Vertex Pharmaceuticals  (VRTX).
Friday, October 28
10/28(金):
<寄付き前>AbbVie (ABBV), Chevron (CVX), Church & Dwight (CHD),  Colgate Palmolive (CL), Exxon Mobil (XOM)
<引け後>

米国の主な経済指標

10/24(月):
10/25(火):S&Pケースシラー住宅価格、コンファレンスボード消費者信頼感指数
10/26(水):新築住宅販売件数
10/27(木):GDP(速報)、個人消費、耐久財受注(前月比)、新規失業保険申請件数
10/28(金):個人所得・支出、PCEコアデフレーター、ミシガン大学消費者信頼感指数(確報)

今週の着目点

今週は、決算発表のピークとなり、1000件を超える企業の決算発表があります。そのうえ、10月のPMI速報値や9月の個人所得・支出報告などの経済データも発表されます。今回もPMI速報値からインフレ圧力や2022年の景気動向を占う先行指標である新規受注にからも今後の見通しを類推することができると思います。個人所得・支出報告には、FRBが注目しているであろうインフレ指標の一つであるPCE価格指数が含まれているため、この指数がどのようになるかはしっかりと確認していきたいです。コアPCE価格指数も前月の4.9%から5.2%に上昇すると予想されています。この数字が今週末に確認できると、今後市場が金利の方向性を織り込んでいく一助となるのではないかと考えています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?