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米国市場:7/24週の振返りと7/31週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4582.23と前週比+1.01%で終了しました。NASDAQは14316.66と前週比+2.02%で終了しました。
 先週は、多くの企業の決算発表があり、またFOMCも開催されました。FOMCでは、大方の市場の見方どおり、FFレートを更に0.25%引き上げることが決定されました。他にも様々な経済データが発表され盛りだくさんの1週間となりました。第2四半期国内総生産(GDP)の初回確報値は2.4%とコンセンサス予想を上回り、第1四半期の最終確報値2.0%と比較すると、インフレのさらなる進展と実質成長の証拠とともに、米国経済に対する市場のシナリオをソフトランディングからゴルディロックスへと変化してきているようです。
 「ゴルディロックス経済」とは、景気後退を防ぐのに十分な暖かさと着実な経済成長、しかしインフレを押し上げるほどの高成長はないという、経済の理想的な状態のことです。
 6月末の四半期決算シーズンは、全体として予想されているよりは好調でした。これまでのところ、S&P500種構成企業の約半数が決算を発表しており、ファクトセットの集計によれば、そのうちの80%が一株当たり利益に、64%が売上高にプラスのサプライズを報告しているとのことです。ただし、これは悪い予想に対してのサプライズであり、企業の業績としては、前年割れを示していることには注意しておく必要があります。
 S&P500種株価指数が2023年の予想EPSの20倍以上で取引されており、若干買われすぎの状態になりつつあります。2023年自体もこの2四半期は減益の発表が相次いでおり、23年後半の業績が大事になるのですが、この予想数字も若干低くなってきています。そのためか、S&P500も4600のラインを抵抗線としてなかなか上がりにくい状況になってきています。また、アメリカも夏休みシーズンですので今後は取引量も少なくなるため、ウダウダの状態が続くのではないかなと思います。
 FOMCは、FFレートの引き上げは予想通りの0.25%の引き上げとなりましたが、市場へのメッセージに若干の変更がありました。これまでは、金利の引き上げを行い、その後一定期間のレートの維持の旨を伝えていましたが、2024年のどこかで利下げがあるという市場予想に対して、違和感がない発言もしており利下げの可能性も出てきていることは今後の市場戦略を考えるうえで大事なことかなと思います。

株式

 S&P500構成企業の51%が2023年第2四半期の決算を発表しています。このうち80%の企業が予想EPSを上回り、5年平均の77%、10年平均の73%を上回っている状況です。EPSの結果としては、予想を5.9%上回っていますが、これは5年平均の8.4%、10年平均の6.4%を下回っている状況です。
 先週は、通信サービスおよび情報技術セクターを筆頭に、複数のセクターで好業績サプライズが発生し、この期間の指数全体の減益幅を縮小させています。その結果、同指数は先週末に比べ7月28日時点の第2四半期の利益は上方修正されていますが、四半期末に比べては引き続きまだ低い状況となっています。先週は-9.1%の減益、第2四半期末(6月30日)は-7.0%の減益であったのに対し、第2四半期のブレンド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合算したもの)の減益率は-7.3%となっています。仮に-7.3%が今四半期の実際の減益率であれば、2020年第2四半期(-31.6%)以来の大幅な減益となる。また、同指数が3四半期連続で減益を記録することになります。
 11セクター中6セクターが前年比増益で、その筆頭は消費者一任部門と通信サービス部門ですが、一方、前年同期比で減益となったセクターは、エネルギー、素材、ヘルスケアを筆頭に5つとなっています。
 売上高に関しては、S&P500構成企業の64%が予想売上高を上回り、5年平均の69%を下回ったものの、10年平均の63%を上回っています。売上高の伸び率は5年平均の2.0%を下回るが、10年平均の1.3%を上回る。
この1週間、複数のセクター(消費者裁量、産業、通信サービスセクターが牽引)の企業が発表したポジティブ・サプライズは、この期間の指数全体の収益増加の要因となっています。その結果、先週末および前四半期末と比較して、本日、上方修正されています。先週は-0.4%の減収、全四半期末(6月30日)は-0.3%の減収であったのに対し、第2四半期の混合増収率は本日0.1%である。仮に0.1%が今四半期の実際の成長率であった場合、同指標が報告した前年同期比売上成長率は2020年第3四半期(-1.1%)以来の低水準となる。
 前年同期比で増収となったのは7セクターで、消費者裁量セクターと金融セクターが牽引しています。一方、前年同期比で売上が減少したセクターは、エネルギー・セクターと素材セクターを筆頭に4セクターとなっています。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年下半期も収益の伸びを予想しています。2023年第3四半期は0.2%、第4四半期は7.5%の増益を予想しています。CY2023全体では、アナリストは0.4%の成長を予測しています。
 今週はS&P500種構成企業170社(ダウ30種構成企業4社を含む)の第2四半期決算発表が予定されている。


来週の主な決算発表(予定)

7/31(月):
<寄付き前>Loews(L), On Semiconductor (ON)
<引け後>Avis Budget (CAR), Diamondback Energy (FANG), Monolithic Power (MPWR), Rambus (RMBS), Trex (TREX), ZoomInfo (ZI)
8/1(火):
<寄付き前>Altria (MO), Caterpillar (CAT), Eaton (ETN), Illinois Tool (ITW), Marriott (MAR), Molson Coors (TAP), Pfizer (PFE), Rockwell Automation (ROK), Sysco (SYY), Uber (UBER)
<引け後>Advanced Micro (AMD), Caesars Entertainment (CZR), Electronic Arts (EA), Match (MTCH),Peycom (PAYC), Pinterest (PINS), Pioneer Natural Resource (PXD), Starbucks (SBUX), Vertex (VRTX), VF Corp. (VFC).
8/2(水):
<寄付き前>Builders FirstSource (BLDR), CVS Health (CVS), DuPont (DD), Emerson (EMR), Ferrari (RACE), Kraft Heinz (KHC), Robinhood (HOOD), Yum! Brands (YUM).
<引け後>APA (APA), CF Industries (CF), Cheesecake Factory (CAKE), DoorDash (DASH), Equinix (EQIX), Etsy (ETSY), Nutrien (NTR), PayPal (PYPL), Qorvo (QRVO), Qualcomm (QCOM), Shopify (SHOP), Zillow (ZG)
8/3(木):
<寄付き前>Kellogg (K), Vulcan Materials (VMC)
<引け後>Amazon (AMZN), Amgen (AMGN), Apple (AAPL), Block (SQ), Cloudflare (NET), DrftKings (DKNG), Fortinet (FTNT),
8/4(金):
<寄付き前> Cboe Global Markets (CBOE)

米国の主な経済指標

7/31(月):
8/1(火):ISM製造業景気指数
8/2(水):ADP雇用者数
8/3(木):製造業新規受注、新規失業保険申請件数、耐久財受注、ISM非製造業景気指数
8/4(金):失業率・非農業部門雇用者数(NFP)

今週の着目点

 7月も残すところあと1日となり、すぐに8月となります。8月は月初めの恒例データだけでなく、6月期決算シーズンの後半部分が始まります。2023年第2四半期のGDP成長率は速報値で+2.4%であり、今後は国内経済と世界の主要経済国の経済成長率を見極めることに焦点が移ってくると思います。
 7月のPMIデータが製造業とサービス業について何を示すかによってわかってくると思います。7月の新規受注統計から8月の景気動向を見極めていきたいです。7月のPMIデータから、投入価格と生産価格の両方のインフレに関するコメントも確認しておきます。8月7日に発表される7月消費者物価指数と生産者物価指数を前に、さらなるインフレ改善の兆しを探ることになります。
 7月雇用統計とADPの7月雇用変動報告から、雇用創出のペースと賃金に関する新たな見識が得られてきます。


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