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米国市場:9/11週の振返りと9/18週の予定

 先週のS&P500指数は、4450.32と前週比-0.16%で終了しました。NASDAQは10,386.99と前週比-0.39%で終了しました。
 先週の株価はまちまちの展開となりました。DOWは先週比で小幅に上昇しましたが、S&P500指数はほとんど変わらず、NASDAQは3週連続の下落となりました。7月下旬にピークを着けた後、ダウンサイドのトレンドからまだ抜け出せていないということがわかる週でした。その一つの要因として、10年債利回りが4.3%台までまたあがってきており、このことは市場にとってのマイナス要因となっていると思います。また、原油価格も90ドル台に入り高騰が続きインフレ懸念も再燃したことも上げられます。ただし、VIX指数は低いままでまだ市場が極度な不安状態になっているわけではないと思います。
 エネルギー・コストの上昇は、8月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、小売売上高にも反映されています。PPIは2ヵ月連続で上昇し前年比1.6%となり、CPIも同様に前年比+3.7%に上昇していました。コア・インフレ・データは前年比+4.3%と前月の4.7%から減少し、8月に改善を示していますが9月のFOMCは特に動きはないと思っております。また原油価格の上昇は、航空業界にも影響を及ぼしています。航空需要は続いていますが、いくつかの航空会社の業績予想引き下げの要因になっています。エネルギーセクターは元気で、エネルギー・セレクト・セクターSPDRファンドの株価にはプラスとなっています。ただ、USのガソリン価格に目を向けると、上昇基調にありますが原油価格のスピードには追いついておらず、また、中国の減速感が強いことから原油価格が高止まりするのは難しいかもしれません。
 来週後半にはUAW(全米自動車労組)がストライキに突入し、中国がロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンを含む米国の防衛関連企業を台湾への武器販売でブラックリストに載せるなど、地政学的緊張が高まっています。UAWのストライキによる潜在的な影響については、経済や、マーヴェルやクアルコムのように自動車会社に製品を供給している企業への実際の影響を左右するのは、ストライキの期間が重要になります。
 来週にはFOMCがありますが、特にサプライズはないと考えています。コメントにおいても市場を揺さぶるようなことは言わないと考えています。おそらくパウエル議長は、ヘッドラインCPIとPPIの上昇について言及し、FRBにとってこれが異常なのか、それともそれ以上のものなのかを見極めるため、さらにデータを精査することを示唆することに終始することになると思います。

株式

 S&P500種構成企業の第3四半期の業績見通しは、ここ数四半期と比べ、よりポジティブなものとなっています。ネガティブな業績見通しを発表した企業の割合は10年平均と同水準ですが、アナリストの業績見通しは約2年ぶりに上昇しました。その結果、S&P500種指数は第3四半期の業績予想を期初予想より若干上方修正となりました。また、同指数は2022年第3四半期以来の前年同期比増益となる見込みです。予想修正に関しては、アナリストは2023年第3四半期の業績予想を2021年第4四半期以来初めて上方修正となりました。
 1株当たりでは、第3四半期の推定利益は6月30日以降0.4%増加しており、この増加率は5年平均の-3.6%、10年平均の-3.4%を上回っています。
 ガイダンスに関しては、S&P500構成企業のうち、2023年第3四半期のEPSガイダンスがマイナスである企業の割合は10年平均と同じである。この116社のうち、74社がマイナスのEPSガイダンスを、42社がプラスのEPSガイダンスを発表している。S&P500構成企業のうち、2023年第3四半期のEPSガイダンスがマイナスの企業は64%(116社中74社)で、これは5年平均の59%を上回っているが、10年平均の64%に等しいです。
 業績予想の正味上方修正により、2023年第3四半期の推定(前年同期比)利益成長率は、第3四半期の開始時点と比較して今日若干高くなっています。S&P500種指数は、6月30日時点では横ばい(前年同期比0.0%)と予想されていたのに対し、本日時点では0.2%の増益と予想されています。
 仮に0.2%の増益となった場合、同指数が前年同期比で増益となるのは2022年第3四半期(2.3%)以来となる。
 11セクター中8セクターが前年同期比で増益となる見通しで、通信サービスセクターと一般消費財セクターが牽引する予想です。一方、前年同期比で減益となるセクターは、エネルギーと素材セクターを筆頭に3セクターと予測されています。
 収益の面でも、アナリストは当四半期中に予想を引き上げています。S&P500種指数は、6月30日時点では1.2%の増収予想だったのに対し、本日時点では1.5%の増収予想となっています。
 前年同期比で増収が見込まれるセクターは9つで、その筆頭は一般消費財セクターである。一方、前年比減収が予想されるのは2セクターであり、 エネルギーと素材と予想されています。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年第4四半期の収益成長率(前年同期比)を8.2%と予想している。CY2023については、アナリストは(前年比)1.2%の増益を予想している。12ヵ月先PERは18.8で、5年平均(18.7)を上回り、10年平均(17.5)も上回っています。

来週の主な決算発表(予定)

9/18(月):-
9/19(火):
<寄付き前>AutoZone (AZO)
<引け後>-
9/20(水):
<寄付き前>General Mills (GIS)
<引け後>FedEx (FDX), KB Home (KBH)
9/21(木):
<寄付き前>Darden Restaurants (DRI)
<引け後>-
9/22(金):-

米国の主な経済指標

9/18(月):
9/19(火):住宅建築許可件数・許可件数
9/20(水):FOMC
9/21(木):フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数
9/22(金):

今週の着目点

 今週は3つの重要なイベントがあります。8月住宅着工件数、米連邦準備制度理事会(FRB)の9月金融政策声明、そしてPMI速報である。
 30年固定住宅ローンは10年債の利回りを参考にしながら作られていますので、この10年債がするすると上昇してきている中、個人では住宅を購入しにくくなってきています。この結果、住宅市場にも影響を及ぼしているはずであり、指標がどのように変化してきているかを確認する必要があると思います。特に中古住宅は、住宅ローンの条件が悪化する中で新しいものが出回りにくくなっており、在庫がどのように変化しているかについても確認をしておきたいと思います。
 20日の水曜日には、FOMCがあり、パウエルFRB議長の記者会見は東部標準時の2時30分頃に始まる予定となっております。FRBは金利を据え置いたまま会合を終えるというのがコンセンサスであり、ここに変更はないものの、8月のCPI、PPI等のインフレが若干再燃しつつある状況を鑑みて何かトーンに変調があるかと考えてしましますが、いままで通りデータ依存の姿勢を崩さずのトーンになると予想しており。無風であれば良いと考えております。 FRBは政策声明と並行して、最新の経済予測も発表します。FRBが2023年のGDP見通しを上方修正することに疑いの余地はないのですが、焦点は今年と来年のFFレートがいつ利下げになりそうなのかということに焦点が集まると思います。また、FRBが金融政策をどの程度積極的に縮小させるのか、あるいは縮小させないのかにも着目しておきたいです。
 3つ目は、来週末に発表される9月フラッシュPMIです。日本とユーロ圏のPMIも検証が必要となりますが、米国のPMIが特に重要となります。製造業とサービス業経済のスピードだけでなく、インフレ圧力、雇用活動、新規受注の伸びについても、この結果から精査しておく必要があります。9月中に経済がどのように変化したのか、インフレ圧力は緩和しているのか、雇用創出の方向性はどうなのか。何が明らかになるのかで、9月の雇用とインフレ・データへの期待の方向性が出てくると思います。11月のFRB政策決定会合を前に、9月と10月のデータが投資家にとって焦点となるため、10月中旬までは株価はBOXで動くのではないかなと考えています。

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