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米国市場:5/29週の振返りと6/5週の予定

市場概況

 今週のS&P500指数は、4287.32と前週比+1.83%で終了しました。NASDAQは13240.77と前週比+2.04%で終了しています。
 月曜日がメモリアルデーで祝日であったため、1日短い1週間でしたが多くのデータやニュースが発表され、市場は大きく揺れ動きましたが、金曜日の終値では主要株価指数がすべて上昇し、ナスダックを筆頭に、ほぼ全面高となりました。6月1日(木)は新しい月の始まりとなり、例年通り、市場への資金流入は旺盛でした。S&P500は6月、ナスダックと同様に堅調なスタートを切っております。
 債務上限に関する取り決めが進展したことで、市場にとっての安心感となりその要因もあって、金曜日は買われたと思います。もともとダウンサイドリスクだけが高い問題であったために、それほどの上昇は見込んでいませんでしたが新しい月ということもあり買いが入ったものと考えます。ただ、市場は知ったらおしまいのため、この材料でのこれ以上の上昇は見込めないと思います。
 ここまで好調な指数ですが、一歩下がって市場全体とその構成銘柄を見ると今後の先行きに不安を覚えます。ほとんどの銘柄が50日移動平均線を大きく下回っており、NASDAQとS&P500の指数を上昇させているのは、ほんの一握りの銘柄に過ぎないということです。NASDAQ100のウェイトの24%は6銘柄で占められています。比率が大きすぎるということも問題なのですが、さしあたっては、下位に沈んでいる銘柄が浮上してくるかに引き続き注目しておく必要があると思います。
 6月2日(金)には、雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数は、33万9000人増加し、予想の19万人を大きく上回る形となりました。また、3月、4月の就業者数も併せて9万3000人上方修正されています。失業率が、前月の3.4%から3.7%の上昇したもののこれが、労働市場を原則されているものとは考えにくいです。内訳を確認すると、娯楽・接客業は、4万8000人、ヘルスケアは5万2400人と堅調でした。

米国経済

5/29(月):
5/30(火):S&Pケースシラー住宅価格(20都市)
 S&Pケースシラー住宅価格指数は、-1.15%と予想-1.6%を上回りました。前回値は、+0.35%でした。
5/31(水):
6/1(木):ADP雇用者数、新規失業保険申請件数、ISM製造業景気指数
 ADP雇用者数は、27.8万人と予想16.3万人を上回りました。前回修正値は29.1万人(修正前:29.6万人)でした。
 新規失業保険申請件数は、23.2万件と予想23.4万件を下回りました。前回修正値は23万件(修正前:22.9万件)でした。
 ISM製造業景気指数は46.9と予想47.1を下回りました。前回値は47.1でした。
6/2(金):失業率、非農業部門雇用者数(NFP)
 失業率は、3.7%と予想3.5%を上回りました。前回値は3.4%でした。非農業部門雇用者数は、33.9万人と予想19万人を大きく上回りました。前回修正値は29.4万人(修正前:25.3万人)でした。平均時給は33.44ドルと前年比+4.3%でした。労働参加率は62.6%と4月と同じでした。

株式

 6月2日時点までにS&P500に属する企業のうち99%が2023年第1四半期の決算発表をおウェています。このうち、78%の企業が予想を上回るEPSの結果を報告しており、これは5年平均の77%を上回り、10年平均の73%も上回っています。また、企業は予想を6.5%上回る利益を報告しており、これは5年平均の8.4%を下回りますが、10年平均の6.4%を上回っています。
 この結果、第1四半期のブレンド(報告済み企業の実績と未報告企業の見込みを合算したもの)の減益率は、第1四半期末(3月31日)の減益率-6.7%予想に対し、6月2日時点では-2.1%となりました。仮に-2.1%が当四半期の実際の減益幅となった場合、同指数は2四半期連続で減益を記録することになります。
 売上に関しては、S&P500の75%の企業が予想売上を上回った決算発表を行っており、これは5年平均の69%、10年平均の63%を上回っています。また、企業の売上は予想を2.4%上回る売上となっており、これは5年平均の2.0%を上回り、10年平均の1.3%を上回っています。この結果、第1四半期の混合収益成長率は、第1四半期末(3月31日)の収益成長率予想が1.9%であるのに対し、6月2日時点では4.1%となりました。4.1%が当四半期の実際の成長率であれば、同指標が報告した収益の成長率としては2020年第4四半期(3.2%)以来の低さを記録することになります。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年後半も収益の伸びを予想しています。2023年第2四半期については、アナリストは-6.4%の減益を予測しています。2023年第3四半期と第4四半期については、アナリストはそれぞれ0.9%と8.3%の増益を予想しています。2023年CY全体では、アナリストは1.2%の利益成長を予測しています。
 フォワード12ヶ月PERは18.0であり、5年平均(18.6)を下回っていますが、10年平均(17.3)を上回っています。また、第1四半期末(3月31日)の予想PER18.1倍を下回っています。(Source :FactSet)

来週の主な決算発表(予定)

6/5(月):
<寄付き前>
<引け後>Gitlab (GTLB), Sprinklr (CXM).
6/6(火):
<寄付き前>Thor Industries (THO),
<引け後>Ciena Corporation (CIEN), Dave & Buster's Entertainment Inc (PLAY), J M Smucker Co (SJM), Stitch Fix Inc (SFIX),
6/7(水):
<寄付き前>Campbell Soup (CPB), Ollie's Bargain Outlet Holdings (OLLI), Torrid Holdings (CURV).
<引け後>HashiCorp (HCP), Semtech (SMTC), Smartsheet (SMAR),
6/8(木):
<寄付き前>
<引け後>Braze  (BRZE), Docusign (DOCU), Duckhorn Portfolio (NAPA), Vail Resorts (MTN)
6/9(金):
<寄付き前>
<引け後>

米国の主な経済指標

6/5(月):製造業新規受注、耐久財受注、ISM非製造業景気指数
6/6(火):
6/7(水):
6/8(木):新規失業保険申請件数
6/9(金):

今週の着目点

 今週は、経済指標の発表は少ないことからこの発表によって市場が大きく動くことは少ないと思います。
 企業の決算発表も注目すべきところはそれほど多くはないと思います。
 次週のFOMCの前に、長期金利がどのように推移するかはしっかりと観察したいと思います。次回のFOMCでの利上げの確立は6月2日時点で21.8%と低くなっていますが、この予想を受けて長期金利の10年債の利回りが現在3.6%のレンジを離れて、するするっと上がって4%を目指す展開となる動きがでてくるのかについては注目して行きたいです。


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