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米国市場:2/13週の振返りと2/20週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は4079.09(前週比-0.28%)、NASDAQは11,787.27(前週比+0.59%)と小幅な動きで終了しました。長期金利は3.828と1月末時点の3.529から上昇しました。
 先週は消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)が発表され、どちらもダウントレンドを維持していますが、市場予想を上回る結果となり市場の考えているインフレの方向性と終息までのスピードに疑問を投げかけるものでした。ただ、労働市場のひっ迫は続いているため、市場はFRBの動きにまた注目しているように伺えます。
 インフレが市場が期待したほどには、後退していないことから市場はFRBが6月までは0.25%の利上げを継続し、FFレートが5.25~5.5%に引き上げるとの予想が増えてきています。そして、その後はしばらくこのレートが維持されると見込んでいるようです。
 実際にこのようにFRBが動くかどうかは次回3月22日予定のFOMCの終了までに、いくつかの経済データが発表されるためそれらの結果を確認してから判断しても遅くはないと思います。
 先週も多くのS&P500を構成する企業の発表がありましたが全体的にEPS、売上の成長率ともにあまり芳しくなく、今後の成長のドライバがどこのセクターになるかはまだ見通せません。ただ、今年に入り割安だという理由で上がってきたハイテク株については、決算の様子から見ていると上はあまり期待できないかなと思います。

米国経済

2/14(火):消費者物価指数(CPI)
 1月の消費者物価指数(CPI)(前年比)は6.4%と予想6.2%を上回りました。前回は6.5%でした。前月比は0.5%と予想0.5%と一致しました。前回修正値は0.1%でした。(修正前-0.1%)
 総合・コア(除く食品・エネルギー)ともに12月より鈍化しており、全体としての下げ基調は継続していますが、市場予測を上回る結果となりました。ただ、個々にみると一部の特殊要因を除くとそれほど悪くないように思えます。

2/15(水):小売売上高、設備稼働率、鉱工業生産指数
 小売売上高は、前月比+3%と予想1.7%を上回りました。前月は-1.1%でした。すべての主要項目が上向きとなっており、全般的に強い消費がみられまています。その要因としては、先週の労働市場の強さが上げられると思います。解雇のニュースに事欠きませんが、多くは高給のハイテク産業が約半数となっており、サービス産業の雇用は強いことからすそ野が広がってきているのではないかと思います。もう1つの要因は社会保障給付金が、昨年インフレ率が大幅に上昇したことを受け、給付額が1月に8.7%増加したことも考えられます。
 1月に最も伸びたのは飲食店で、前月比7.2%増加していました。

 設備稼働率は78.3%と予想79%を下回りました。前回修正値は78.4%でした。(修正前:78.8%)
 鉱工業指数は±0.0%と予想0.4%を下回りました。前回修正値は-1.0%でした。(修正前:-0.7%)

2/16(木):住宅建築許可件数、住宅着工件数、生産者物価指数(PPI)、新規失業保険申請件数
 住宅建築許可件数は133.9万件と予想132万件を上回りました。前回修正値は133.7万件と下方修正されました(修正前133万件)。
 住宅着工件数は130.9万件と予想133.5万件を下回りました。前回修正値は137.1万件と下方修正されました(修正前138.2万件)。
 生産者物価指数は6.0%と予想5.4%を上回りました。前回修正値は6.5%と上方修正されました(修正前6.2%)。前月比は0.7%と予想0.4%を上回りました。前回修正値も-0.2%と上方修正されました(修正前:-0.5%)

2/17(金):

株式

となっています。S&P500種構成企業のうち、ポジティブな収益サプライズを報告した企業の割合は過去1週間で減少しましたが、この間、収益サプライズの大きさは増加しました。しかし、どちらの指標も5年および10年の平均を下回っています。
その結果、第4四半期の収益の落ち込みは先週末に比べれば今日は小さくなっていますが、四半期末に比べればまだ大きくなっています。もし、同指標が2022年第4四半期の実際の収益減少を報告した場合、2020年第3四半期以来、初の前年同期比の収益減少を記録することになります。

第4四半期決算シーズンにおけるS&P 500種構成企業の業績は、引き続き低調なもの
全体として、
 先週はS&P500を構成する企業のうち82%までが、2月17日までに2022年4Qの決算発表をしています。このうち68%の企業が予想を上回るEPSを発表しています。この結果は、先週末の69%、5年平均の77%、10年平均の73%を下回っている状況となっています。サプライズ幅も1.3%と先週末の1.1%を上回ったものの、5年平均の8.6%、10年平均の6.4%を大きく下回っています。仮に1.3%が今四半期の実際のサプライズ率となった場合、同指標が報告したサプライズ率の中で2008年以降2番目に低い数値となります。
 第4四半期のブレンド(報告済みの企業の実績と未報告の企業の推定結果を組み合わせたもの)減益率は-4.7%と、先週末の減益率-5.0%を上回りましたが、第4四半期末(12月31日)の減益率-3.3%に対しては引き続き下回っています。仮に-4.7%が今期の実際の減少率であれば、指数が前年同期比で減益となるのは2020年第3四半期(-5.7%)以来となります。
 第4四半期の決算期におけるS&P企業の65%が売上予想を上回った結果を報告しています。これは5年平均の69%を下回っていますが、10年平均の63%は上回っています。また、売上予想を1.9%上回る結果を報告しており、これは5年平均の1.9%と同等で、10年平均の1.3%を上回ります。
 第4四半期の混合売上成長率は、5.1%と先週の売上成長率4.6%、第4四半期末(12月31日)の売上成長率3.9%に対しを上回っています。5.1%が今期の実際の成長率であれば、同指標が報告した収益成長率としては2020年第4四半期(3.2%)以来の低さを記録することになります。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年上半期の売上は減少するが、下半期は売上が増加すると予想していますが、先週よりも若干増収幅が下方修正されております。2023年第1四半期と第2四半期については、アナリストはそれぞれ-5.4%と-3.4%の減益を予測しています。2023 年第 3 四半期と第 4 四半期については、アナリストはそれぞれ 3.3%と 9.7%の増益を予想しています。2023年通期では、アナリストは2.3%の増益を予測しています。
 フォワード12ヶ月PERは18.0であり、5年平均(18.5)を下回るが、10年平均(17.2)を上回る。また、第4四半期末(12月31日)に記録したフォワードPER16.7を上回っています。

来週の主な決算発表(予定)

2/20(月):祝日(Washington's Birthday)
2/21(火):
<寄付き前>Deere (DE), Home Depot (HD), Ingersoll Rand (IR), Molson Coors Beverage (TAP), Walmart (WMT)
<引け後>Coinbase (COIN), CoStar Group (CSGP), Diamondback (FANG), Keysight Technologies (KEYS), Palo Alto Networks (PANW), Realty Income (O), 
2/22(水):
<寄付き前>Driven Brands (DRVN), Etsy (ETSY), NiSource (NI), Stellantis  (STLA), TJX (TJX)
<引け後>Cheesecake Factory (CAKE), eBay Inc (EBAY), Five9 (FIVN), 
NVIDIA (NVDA), Pioneer Natural Resources (PXD), Teladoc Health (TDOC), Unity Software (U)
2/23(木):
<寄付き前>American Tower (AMT), Domino's Pizza (DPZ), Keurig Dr Pepper (KDP), Nikola Corp. (NKLA), Papa John's (PZZA), Stericycle (SRCL), Steve Madden (SHOO).
<引け後>Block (SQ), Carvana (CVNA), Farfetch (FTCH), Insulet (PODD), Navitas Semiconductor (NVTS), Rocket Companies (RKT), Universal Display (OLED), Warner Bros. Discovery (WBD).
2/24(金):
<寄付き前>

米国の主な経済指標

2/20(月):祝日(Washington's Birthday)
2/21(火):中古住宅販売件数
2/22(水):FOMC議事録
2/23(木):GDP、新規失業保険申請件数
2/24(金):個人所得・支出、PCEコアデフレータ、新築住宅販売件数

今週の着目点

 今週は月曜日が祝日で市場は休場となります。取引日は一日短いですが、経済指標の発表や決算報告が多い週となります。
 世界経済がどのような結果だったのか、また新規受注活動、インフレ圧力、労働市場に関するコメントなどを知るために、発表されるレポートを引き続き注意深く観察しておく必要があります。特に注目すべきデータとしては、1月の個人所得と個人消費となります。この指標はFRBがより注視するインフレ指標の一つであり、引き続き注視しておく必要があります。特に、これらのデータが1月のCPIの結果をどの程度合致しており裏付けとなるのかということに注目していきたいです。
 今週はまた、1月の金融政策決定会合の議事録が発表されます。1月の会議録を確認し、インフレが長引くと見なされつつある状況にFRBがどのように動く可能性があるかどうかを今後も注目したいです。最後に、FRBのブレイナード副議長がバイデン大統領の国家経済会議に入るため、2月20日頃にFRBを退任する予定です。ブレイナード副議長は委員会の中でハト派的な発言を行っていると広く報じられており、FRBの運営への影響も注目していきたいです。

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