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米国市場:3/13週の振返りと3/20週の予定

市場概況

 今週のS&P500指数は、3916.64と前週比+1.48%で終了しました。NASDAQは11630.51と前週比+4.41%で終了しています。NASDAQは、先週の下げをほぼ戻した結果となっています。
 VIX指数は大きく動いており、3月上旬時点では19.43だったのが25.51まで上がっております。また、CNNのGREED FEAR指数は今週ずっと極度の恐怖の領域にあり、市場の不安さを示しているものと思います。
 先週から引き続き、シリコンバレー銀行、シグニチャー銀行の破綻と米国の銀行が破綻したことをきっかけに金融不安が広範囲に及ぶとの懸念が広がり全世界的に銀行株が売られました。
 先週と同様、インフレ率のデータが発表されましたが、あまり大きなニュースにならず、最近の銀行閉鎖の影響や、ファースト・リパブリック銀行(FRC)など他の銀行を補強する取り組みに注目が集まっていました。ファースト・リパブリック銀行へは、JPモルガンが音頭を取って、大手銀行によるファースト・リパブリック銀行への300億ドルの救済プランが発表されましたが、市場はあまり反応は示しませんでした。また、クレディスイスの問題については、クレディ・スイスの筆頭株主であるサウジアラビア国立銀行が同行に追加資本を注入しないと述べた後、スイス国立銀行が必要であれば踏み切ると述べ、UBSがCSをかなりのえげつない条件で買収するとありました。この結果を市場がどのように判断したかは、UBS、CSの月曜日の動きに注目していきたいです。
 最近の銀行破綻の動きが続いていることから、他の銀行も破綻する可能性が高いです。このため、他の銀行やその銀行が関わる業界への懸念、また、消費者や企業がこの最新の不安の中では転職等の市場が萎むことが懸念されています。また、シリコンバレー銀行の件から、FRBが中堅銀行に対する規制強化を検討していると報じられていることもあり、当面は銀行の活動がより慎重なものになる可能性があります。つまり、リスクの高い融資を減らし始め、融資を行う場合は金利のスプレッドを拡大することになるため、資金調達が割高になってくる可能性があります。経済にとって新たな逆風となり、他の要因とともに景気後退の可能性を高めるとする意見も多くなっています。
 融資基準と失業率の間には相当強い相関関係があるといわれており、融資基準が厳しくなると、景気拡大や投資を鈍らせるため、雇用市場にとっては良くない兆候になると思います。
 これらのシナリオが仮に正しいとすると、来週開催されるFRBの金融政策決定会合で、水曜日の午後2時(米国東部時間)には金利決定、2時30分ごろからはパウエルFRB議長の記者会見では、金利の上げ幅よりもインフレの進展と、最近の銀行閉鎖とその波及効果をどう見るか、そしてFRBの行動指針に影響を与えるかのコメントに注目が集まると思います。
 過去のケースにおいて、金融危機が起こった後には株を買えでしたので今後はボトムになったことを確認して走りたいと思います。

米国経済

3/14(火):消費者物価指数(CPI)
 消費者物価指数(CPI)は、前年比6.0%と予想と一致しました。前回値は6.4%でした。前月比は0.4%と予想0.3%を上回りました。前回値は0.5%でした。
 昨年6月の9.1%をピークに前年同月比は6.0%まで低下しました。しかし、FRBの目指す2.0%の水準からはまだ遠い状況です。前月比も0.4%と比較的大きな伸びとなっています。

3/15(水):小売売上高、生産者物価指数(PPI)、ニューヨーク連銀製造業景気指数
生産者物価指数(PPI)は4.6%と予想5.4%を下回りました。前回修正値は5.7%(修正前:6.0%)でした。前月比では-0.1%と予想0.4%を下回りました。前回修正値は0.3%(修正前:0.7%)でした。
 2月のPPIは、PPI、コア除くPPIともに良好な結果となり、全体的に大きく低下しました。特に、食品価格とエネルギー価格の下落が大きく、自動車価格の軟化もその要因となっています。
 小売売上高は、-0.4%と予想0.2%を下回りました。前回修正値は3.2%(修正前:3.0%)でした。

3/16(木):住宅建築許可件数、住宅着工件数、フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数
 住宅建築許可件数は152.4万件と予想138万件を上回りました。前回修正は、133.9万件でした。
 住宅着工件数は145万件と予想133万件を上回りました。前回修正値は132.1万件(修正前:130.9万件)でした。
 新規失業保険申請件数は、19.2万件と予想20.5万件を下回りました。前回修正値は21.2万件(修正前:21.1万件)でした。

3/17(金):設備稼働率、鉱工業生産指数、ミシガン大学消費者信頼感指数
 設備稼働率は78%と予想78.5%を下回りました。前回修正値は78%(修正前:78.3%)でした。
 鉱工業生産指数は0%と予想0.5%を下回りました。前回修正値は0.3%(修正前:0.0%)でした。
 ミシガン大学消費者信頼感指数は63.4と予想68を下回りました。前回修正値は67でした。

株式

来週の主な決算発表(予定)

3/20(月):
<寄付き前>PDD (PDD)
3/21(火):
<寄付き前>On Holding AG (ONON),
<引け後>Nike (NKE)
3/22(水):
<寄付き前>Chewy (CHWY),
3/23(木):
<寄付き前>Accenture (ACN), Darden Restaurants (DRI), Factset Research Systems (FDS), General Mills (GIS),
3/24(金):

米国の主な経済指標

3/20(月):
3/21(火):中古住宅販売件数
3/22(水):FOMC
3/23(木):新規失業保険申請件数、新規失業保険申請件数
3/24(金):耐久財受注

今週の着目点

 UBSのクレディスイスの買収合意を受けて、月曜日の銀行系の株価の動きには注目をしていきたいです。この取引で市場が納得したかどうかが現れると思います。また、引き続きファーストリパブリック銀行(FRC)の動きも同様だと思います。
 先日までの一連の銀行取引に関する新しい動きを確認して、水曜日のFOMCに注目していきたいです。このイベントが株式市場の次の展開を決めることになるとおもいます。
 過去の例からすると、金融危機後は株は大きく上がっていることから原則強気で見ていきたいです。今回の金融危機は、投資家の間でおきた取り付け騒ぎであり、一般の消費者にはあまり大きな影響を与えていません。このため、経済状況としては大部分はノーマルの状態に戻るだけであり、一部の業界においてリセッションが来るのではないかと考えてもいます。

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