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米国市場:7/31週の振返りと8/7週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4,478.03と前週比-2.27%で終了しました。NASDAQは13,909.24と前週比-2.85%で終了しました。
 先週の株価は、7月末までジリジリと上げてきた雰囲気から一転しました。水曜日の動きから、これまで大きな下げがなかった分動揺してアタフタした動きになった感じを受けています。8月は、夏休み相場としてウダウダした展開が多いことからあまり心配はしていません。今年のトレンドはまだまだ継続しており、その中で休憩中とのシグナルと見ています。
 先週は経済指標と四半期決算が目白押しで、その結果からいろいろなことがわかってきました。当初は軟着陸説を裏付けるような数字や分析もありました。例えばバンク・オブ・アメリカは、ウォール街の大手銀行として初めて、景気後退の予測を公式に撤回しています。金曜日に発表された雇用統計やADPの7月雇用者数報告など、今週発表されたいくつかのデータでは、賃金上昇圧力にはほとんど進展が見られませんでした。このため、FRBとしてもまた、インフレ退治のためのFFレートの引き上げをせざるを得なくなり、おおよそ11月にもう一度金利を引き上げる可能性が高くなってきました。また、WTI原油価格も6週連続で上昇しており、関連企業には朗報となっていますがこの上昇は、ガソリン価格の上昇につながり、インフレのさらなる進展を阻害する可能性が高くなってきています。また、チームスターズとUPSの動向に続き、全米自動車労組とデトロイトのビッグスリーの交渉も、賃金やその他のインフレ要因に影響を及ぼす可能性があります。
 四半期業績に関しては、今期の業績見通しを下方修正する企業が増加しました。これに加え、ドルが反発しドル高になっており、10年債利回りが4%を超えて週を終えたことも、今週の主要株価指数の重荷となりました。最終日はプラスで週を終えられるかと思われましたが、終盤に売りが優勢となり、結局冒頭でも述べたように、S&P500種指数は2.27%安、ナスダックも2.85%安で週を終えました。
 個別銘柄では、アップル(AAPL)、Amazon(AMZN)などの大手企業が決算を発表しています。アップルは3期連続の減収になりかつ、ハードの売れ行きが芳しくなくないなかったです。唯一、サービスが好調であることが救いでした。Amazonは、決算後大きく跳ねましたが、稼ぎ頭のAWS(Amazon Web Service)の売上性成長率が10%台とマイクロソフト、Googleに比べて成長率が落ちてきている点、また、営業利益率も下がっている点から今後の展開はあまりよくない展開となると思います。今年の指数を牽引してきた銘柄に若干息切れが見える展開となってきていますので、他の出遅れ銘柄の動きを見て今後の動きを確認していきたいと思います。

株式

 S&P500種株価指数構成銘柄のうち84%が2023年第2四半期の決算を発表しています。このうち79%が予想EPSを上回り、5年平均の77%、10年平均の73%を上回りました。これは5年平均で77%、10年平均で73%を上回っている状況です。平均して予想EPSの7.2%を上回っていますが、これは5年平均の8.4%を下回るが、10年平均の6.4%を上回っている状況です。しかし、同指数は2020年第3四半期以降で最大の前年同期比減益となっています。
 この1週間は、複数のセクター(消費財、ヘルスケア、情報技術セクターが牽引)の企業による好業績サプライズが、この期間の指数全体の減益幅を縮小させています。その結果、同指数は本日、先週末比および四半期末比では第2四半期を上回った状況となっています。ブレンド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合算)した第2四半期の前年同期比減益率は、先週の-7.4%、第2四半期末(6月30日)の-7.0%に対し、8月4日金曜日時点では-5.2%となりました。仮に-5.2%が今四半期の実際の減益幅であれば、同指標が報告する前年同期比の減益幅としては、2020年第3四半期(-5.7%)以来最大となります。また、同指数が前年同期比で減益となるのは3四半期連続となります。
 11セクター中8セクターが前年同期比で増益となり、消費者裁量セクターと通信サービスセクターが牽引しました。一方、前年同期比で減益となったのは3セクター: エネルギー、素材、ヘルスケアとなっています。
 売上高に関しては、S&P500構成企業のうち、65%が予想売上高を上回ったと報告しており、これは5年平均の69%を下回っていますが、10年平均の63%を上回っています。売上高は、アナリスト予想を1.6%上回っており、これは5年平均の2.0%を下回りますが、10年平均の1.3%を上回っています。この結果、同指数は本日、先週末比および四半期末比での第2四半期の結果は改善しています。第2四半期の混合(前年同期比)増収率は、先週の増収率0.1%、第2四半期末(6月30日)の減収率-0.4%に対し、8月4日金曜日時点では0.6%となっています。仮に0.6%が今四半期の実際の成長率であった場合、同指標が報告した前年同期比増収率は2020年第3四半期(-1.1%)以来最低となります。
 前年同期比で増収となったのは7セクターで、消費者裁量セクターと金融セクターが牽引しましたた。一方、前年同期比で収益が減少したセクターは、エネルギー・セクターと素材セクターを筆頭に4セクターとなっています。
 今後の見通しとしては、アナリストは2023年下半期は増益を予想しています。2023年第3四半期は0.2%、第4四半期は7.6%の増益を予想しています。CY2023全体では、アナリストは0.8%の利益成長を予測している。
 来週はS&P500種構成企業34社(ダウ30種構成企業1社を含む)の第2四半期決算発表が予定されています。(Source:FactSet)

来週の主な決算発表(予定)

8/7(月):
<寄付き前>Freshpet (FRPT), Gogo (GOGO), Henry Schein (HSIC), Tyson Foods (TSN)
<引け後>International Flavors & Fragrances (IFF), Lucid Group (LCID), Palantir Technologies (PLTR), Paramount Global (PARA), Skyworks (SWKS)
8/8(火):
<寄付き前>Datadog (DDOG), Eli Lilly (LLY), Global Foundries (GFS), Restaurant Brands International (QSR), Sealed Air (SEE), Under Armour (UAA), UPS (UPS)
<引け後> Akami (AKAM), Dutch Bros (BROS), Insulet (PODD), Inter Parfums (IPAR), Lyft (LYFT), Marqeta (MQ),  Take-Two (TTWO), Twilo (TWLO), Upsatart (UPST).
8/9(水):
<寄付き前>GoodRx (GDRX), Jack in the Box (JACK), Roblox (RBLX), Wendy's (WEN)
<引け後>Alarm.com (ALRM), Plug Power (PLUG), The Trade Desk (TTD), Walt Disney (DIS), Wynn Resorts (WYNN).
8/10(木):
<寄付き前>CyberArk (CYBR), Hanesbrands (HBI), Ralph Lauren (RL), Utz Brands (UTZ)
<引け後>indie Semiconductor (INDI)
8/11(金):
<寄付き前>

米国の主な経済指標

8/7(月):-
8/8(火):-
8/9(水):-
8/10(木):消費者物価指数(CPI)、新規失業保険申請件数
8/11(金):生産者物価指数(PPI)、ミシガン大学消費者信頼感指数(速報)

今週の着目点

 米国経済の好調さが見受けられる統計データが出されており、ソフトランディング説が市場でよく聞くようになりました。一方で、賃金インフレが続いておりFRBのインフレ抑制策が効いていないのではないかという可能性も示唆されています。今週は、6月消費者信用報告書やNBIF中小企業景況指数など、重要な経済データがいくつか発表されます。5月の消費者信用報告書では、消費者クレジットカードの借入額が1兆ドルを超えたが、銀行がクレジットカードを含む与信を引き締めているため、消費者がどの程度、より高額な借入を受け入れているかが注目されます。NFIB中小企業景況感指数では、回答者が必要な熟練労働者を確保しやすくなっているかどうかが注目されます。
 週後半には、7月の消費者物価指数と生産者物価指数によるインフレ率が発表される。市場関係者、そしてFRBは、6月の結果に続き、コアCPIがどのような値を示すかに関心が集まると思います。もう一段の下落があれば、FRBが追加利上げを実施する可能性は低いという市場の見方が強まるとは思いますが、エネルギー価格の上昇、賃金インフレが留まらないという事象がどのように反映されるかは注目していきたいです。このデータに先立ち、また金曜の7月雇用統計の後、アトランタ連銀のボスティック総裁は、米雇用の増加は秩序だった形で減速しており、インフレ緩和のために追加利上げの必要はないかもしれないと述べては居ます。7月の消費者物価指数が発表された後は、パウエル議長からどのような発言があるかに注目していきたいです。
 先週でS&P500の企業の構成銘柄のほとんどの企業が決算を終えています。従って、決算を手掛かりに市場が動くということは少なくなってきそうです。また、本格的な夏休み相場に突入し、出来高も少ない相場となれば、8月は若干下げてくると見ています。出遅れている銘柄が何か10月以降に向けて仕込んでいきたいです。


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