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米国市場:8/21週の振返りと8/28週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4405.71と前週比+0.82%で終了しました。NASDAQは13,590.65と前週比+2.26%で終了しました。
 先週の株価は、先々週末に比べて若干持ち直していますが、7月末の高値から比較するとS&P500指数は、約4%下落し、ナスダックも5%以上下落しています。ダウとラッセル2000指数の下落は、7月の上昇分を帳消しにし、7月月初の水準とほぼ同じになっています。10年債利回りは4.239%と、今週初めにつけた直近の高値4.34%から下落して、週を終えています。悲観的になりがちですが、夏休み相場という印象を受ける以外は大きな変化点は見当たりませんでした。
 先週は、ジャクソンホールでパウエルFRB議長のスピーチがありました。スピーチの中身としては、これまでのFOMCでの発言を繰り返しているように思えました。データに基づいて今後の動き方を判断するという点は変わっておらず、無難にイベントを乗り切ったイメージです。ただ、このスピーチを受けて、市場に若干の変化が発生してきています。市場はパウエル議長の発言後の、10年債利回りはちょっとした乱高下はありましたが先々週の高値圏を維持しています。さらに、FedWatch Toolでは11月の追加利上げの確率は1週間前の33%から49.5%に上昇し、FRBが利上げを見送る確率は1週間前の63%超から41%に低下しました。
 25日金曜日のパウエル議長の発言や態度からは、11月にもう1回引き締めをやるかどうかについてはわかりませんでした。ただ、上述もしていますが、次の政策を決定する際にはそれまでに提示されているデータによって、今後を決めることは再度繰り返していました。そのことから、今後に発表される経済データには引き続き注目しておく必要があります。今週には、8月雇用統計、ADPの8月雇用上方、8月製造業PMI、来週は8月サービス業PMI、FRBベージュブック、8月消費者物価指数(CPI)およびPPIデータなどの統計データが発表されます。これらのデータから経済の力強さ、インフレのペース、そしてFRBが次にどんな手を打ちそうなのかについての知見が得られると思います。おそらく、これらのデータが発表されるたびに市場は若干の反応はあると思いますが、より多くのデータが発表されるにつれて、より方向性が明確になってくると思います。
 アトランタ連銀のGDPNowモデルは、7月下旬の3.5%や2023年第2四半期の当初の2.4%から、今四半期は5.9%に修正されています。アメリカの経済が好調であることを示唆するような内容となっております。そうなれば、8月最後の数日間を、そして取引量が少ないと思われるレイバー・デー後の数日間は、状況の把握に注力しながら過ごすことになると思います。過去の例では、レイバー・デー明けは相場が崩れることが多く、9月、10月と苦しい時期が続くことが多いです。そんな中でも、今後のデータや経営陣のコメント、業績見通しについて、鋭く観察する必要があります。ここ最近の状況を踏まえると、事業の地理的な強さと弱さ、ドルが予想されたほど役に立つかどうか、インフレ圧力は後退しているかどうか、さらなる価格決定措置が正当化されるかどうか、などに関心を持つ必要があるかなと思います。これらの内容が出そろってくると、S&P500の業績予想も動いてくると思います。
 FactSet Earnings Insight レポートは8月4日以降、発表されておらず、9月1日には再び週間で掲載される予定です。その中で、小売企業の業績ガイダンスがほぼ散々だったことを受け、S&P 500種構成企業の2023年下半期のコンセンサスEPS予想が、絶対値で、また上半期との相対値で、どの程度に変化しているのかを再確認したいです。このアップデートに基づき、S&P 500種指数が割高か、割安か、あるいは相応の値付けがされているかどうかは判断できると思います。
 個別銘柄ではNVIDIAが水曜日によい決算を出していました。アフターでは上がりましたが次の日はもとに戻ってしまい、ハイテクの動きに水を差す形となっています。

来週の主な決算発表(予定)

8/28(月):
<寄付き前>
<引け後> Heico (HEI)
8/29(火):
<寄付き前>Best Buy (BBY), JM Smucker (SJM)
<引け後> Ambarella (AMBA), Box (BOX), HP (HPQ), Hewlett Packard Enterprises (HPE), PVH (PVH).
8/30(水):
<寄付き前>Brown-Forman (BF.B)
<引け後>Chewy (CHWY), CrowdStrike (CRWD), Five Below (FIVE), Okta (OKTA), Salesforce (CRM), Victoria's Secret (VSCO).
8/31(木):
<寄付き前>Campbell Soup (CPB), Ciena (CIEN), Dollar General (DG), Hormel Foods (HRL), Ollie's Bargain Outlet (OLLI),
<引け後>Broadcom (AVGO), Calavo Growers (CVGW), Dell (DELL), lululemon Athletica (LULU), SentinelOne (S), VMWare (VMW).
9/1(金):
<寄付き前>-

米国の主な経済指標

8/28(月):
8/29(火):S&Pケースシラー住宅価格(20都市)
8/30(水):ADP雇用者数、実質GDP(前期比年率)
8/31(木):個人所得・支出、PCEコアデフレータ、新規失業保険申請件数
9/1(金):失業率、ISM製造業景気指数

今週の着目点

 今週、来週は、アトランタ連銀のGDPNowモデルが示唆するように、経済が好調かどうかを明らかにする経済データが出てきます。今週は8月の失業率が発表されますので、8月の雇用創出と賃金プレッシャーの変化が確認できます。労働市場の逼迫度がインフレにどのように影響するのか考えてみたいです。
 また、個人所得・支出統計が発表され、FRBが好んで使う7月PCE価格指数も発表されます。
 決算は、先週の小売企業の決算発表でS&P500種株価指数構成銘柄のほとんどが決算発表を終えたことになります。今後も小型株の決算発表は続きますが、手掛かりになる内容に乏しくなるため、不安感から一つのニュースで市場は大きく動くことがあると思います。アノマリー的なものと理解して、静かに観察に徹したいと思います。


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