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米国市場:2/6週の振返りと2/13週の予定

市場概況

 先週は、2月の節分をもって、いったん1月からのラリーは終了を告げるような動きでした。S&P500は4090.46と先週比-1.11%、NASDAQは11,718.12と先週比‐2.41%で引けて終了しました。年初来ではまだ、高い水準にありますが、金利の動きやテクニカルな部分などいくつかの要因によって、調整をむかえています。
 S&P500指数の2023年の1株当たり利益コンセンサスが、初めて2022年を下回りました。ロイターがまとめたデータによると、2023年のコンセンサスは2022年の219.78に対して219.68となりました。2023年の新しいコンセンサスは、2022年の219.78に対してまだそれほど低くはなっていませんが、S&P500 構成銘柄のうちまだ31%が決算発表を終えていない段階での状況です。残りの多くは小売業者です。先週もいくつかの小売り業者が在庫問題がある旨のコメントが出ています。
 S&P500指数は、今後の収益成長見通し、経済の前進速度、金利の動きをみると、2月は4,100-4,200の間でうろうろしていくように見受けられます。
 先週はは、Alphabet、Microsoftなどがさまざまな形でAIを使った検索などの製品を発表し、AI関連のニュースが多かったです。Microsoftは検索エンジンの市場シェアを拡大することで最も大きな利益を得る可能性があり、Googleの発表はいまいちでしたが、まだ巻き返してくる様子はあります。ただ、どちらもカニバリになることも考えられこの分野の全体のパイがすぐに大きく拡大する可能性は少ないとみています。アップルはあまり話題に上がっていませんでしたが、Appleのいくつかのサービスにはすでに人工知能の要素が組み込まれていることを明らかにしています。アップルもさらにAIを取り入れる計画で、時間が経てば "私たちが持つすべての製品、すべてのサービスに影響を与えるだろう "と述べています。

 株式市場は、2月3日に発表された強い労働市場の結果を受けて調整局面んに入りましたが、今週も14日にCPIの発表を控えており、この結果に注目をしていきたいと考えています。また、3月のFOMCまでに2月の雇用統計、CPIの発表があるため、これまでに市場が予想していた年内で金利が下げに転じるとの予想がどのように変化してくるかは引き続き観察しておきたいです。結果次第で23年年内の利下げの可能性がなくなると市場が判断し、一時的に調整するかもしれませんが、24年のどこかでは利下げに転じるとの予測は変わっていないため、株式としては上をみています。

米国経済


株式(FactSet)

 先週までにS&P500に属する企業のうち69%が、2月10日までに2022年第4四半期の決算発表を終えています。このうち69%の企業が予想を上回るEPSを発表しております。これは、先週末の70%、5年平均の77%、10年平均の73%を下回った状況となっています。
 また、サプライズ幅は1.1%と先週末の0.6%を上回ったものの、5年平均の8.6%、10年平均の6.4%を下回っています。仮に1.1%が今期の実際のサプライズ幅となった場合、同指標が報告するサプライズ率としては2008年以降で最も低い水準(2020年第1四半期とタイ記録)となります。
 第4四半期の混合型(発表済みの企業の実績と未発表の企業の推定結果を組み合わせたもの)の減益率は‐4.9%となっており、先週末が-5.4%、第4四半期末(12月31日)は-3.3%でした。仮に-4.9%が今期の実際の減少率であれば、指数が前年同期比で減益となるのは2020年第3四半期(-5.7%)以来となります。11セクターのうち4セクターが前年同期比で増益を報告しており、エネルギーと産業セクターが好調です。一方、通信サービス、素材、消費者裁量セクターなど7つのセクターが前年同期比で減益を報告しています。
 売上面では、S&P 500種構成企業の63%が予想を上回っており、これは5年平均の69%を下回っていますが、10年平均の63%と同じ値になっています。またサプライズ幅は、1.4%となっており、5年平均の1.9%を下回っていますが、10年平均の1.3%は上回っています。第4四半期の混合売上成長率は、4.6%と先週末の収益成長率4.3%および第4四半期末(12月31日)の収益成長率3.9%より上昇しています。4.6%が今期の実際の成長率であれば、2020年第4四半期(3.2%)以来、指数が報告した収益成長率の最低値となります。8つのセクターが収益の前年比伸び率を報告しており、エネルギー、消費者裁量、産業部門が好調です。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年上半期の収益は減少するが、2023年下半期は収益が増加すると予想しています。
 2023年第1四半期と第2四半期については、アナリストはそれぞれ-5.1%と-3.3%の収益減少を予想しています。2023 年第 3 四半期と第 4 四半期については、アナリストはそれぞれ 3.4%と 10.1%の増益を予想しています
 2023年通期では、アナリストは2.5%の増益を予測している。
フォワード12ヶ月PERは18.0と5年平均(18.5)を下回りますが、10年平均(17.2)は上回っています。
 今後1週間、S&P500種構成企業61社(うちダウ30種構成企業2社)が第4四半期の決算を発表する予定です。

来週の主な決算発表(予定)

2/13(月):
<寄付き前>Check Point Software (CHKP)
<引け後>Avis Budget (CAR),  Monday.Com (MNDY), Palantir (PLTR),
Solaredge (SEDG)
2/14(火):
<寄付き前>Coca-Cola (KO), Globalfoundries (GFS), Marriott (MAR),
Restaurant Brands (QSR)
<引け後>Airbnb (ABNB), Akamai (AKAM), Tripadvisor (TRIP), Upstart (UPST)
2/15(水):
<寄付き前>Analog Devices (ADI), Biogen (BIIB), Kraft Heinz (KHC), Martin Marietta (MLM), Roblox (RBLX), Royalty Pharma (RPRX), Trade Desk (TTD)
<引け後>
2/16(木):American Water (AWK), CF (CF), Cisco (CSCO), Roku (ROKU), Shopify (SHOP), Twilio (TWLO), Zillow (ZG),
<寄付き前>Crocs (CROX), Datadog (DDOG), Hasbro (HAS), Henry Schein (HSIC), Hyatt (H), Paramount Global (PARA), Pool (POOL), Toast (TOST),
Vulcan Materials Company (VMC), Zebra (ZBRA)
<引け後> Applied Materials (AMAT), Digital Realty Trust (DLR), Dropbox (DBX), HubSpot (HUBS), Star Bulk (SBLK)
2/17(金):
<寄付き前> AutoNation (AN), Deere (DE)

米国の主な経済指標

2/13(月):
2/14(火):消費者物価指数(CPI)
2/15(水):小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景気指数、設備稼働率、鉱工業生産指数
2/16(木):住宅建築許可件数、住宅着工件数、生産者物価指数(PPI)、フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数
2/17(金):

今週の着目点

 全体的に、決算発表はかなり低調です。今週も小売り企業が決算を発表しますが、先週にもいくつかの企業が在庫水準が高い旨のコメントがでており、低調な決算が引き続き発表されるものと予想されます。
 経済指標は、1月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)という2つのインフレ指標を含む経済指標が発表され、他にも現状を確認するうえで重要な指標がいくつも発表されます。パウエル議長が先週のエコノミッククラブでの討論会で、雇用情勢について「このプロセスにかなりの期間を要すると考える理由を示すものだ」旨の発言がありました。雇用統計は特にサービスセクターが強く、12月のCPIの前年比サービスインフレ率は、11月の7.2%に対して7.5%に達しています。1月のデータの結果いかんでFRBの動きに対して、市場が反応すると思います。また、1月のCPIもFRBの目標である2%とはまだ大きくかけ離れていることになると金利の低下も遠のくと思います。
 1月の小売売上高も発表されますので、消費が引き続き堅調か、12月にクレジットカードの負債が増えていることも言われていますのでこの結果を確認したいです。この結果で、AMZN、PEPなどの関連株の株価がどのような影響を受けるかも注目していきます。

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