見出し画像

米国市場:2/27週の振返りと3/6週の予定

市場概況

 先週は、2月の締めと、3月の始まりとなりました。2月のS&P500指数は-2.6%の下落となりましたが、3月の最初の3日間では、1.9%の強い上昇を見せました。Nasdaqの指数をみると2月は-1.11%の下落で終わりましたが、3月は2.04%と反発しています。この上昇の要因の一つとして、10年債利回りが一端のピークを付けたのではないかということが考えられます。3月2日の木曜日に4.091%を高値を付けましたが、週末は4%を下回った水準の低下で終了しています。前週比をみてもほぼ変わらない水準となっており、先週がが金利上昇のピークであれば今後は株価にとってはプラスになるはずです。10年債利回りが今後どのような動きをしていくかはわかりませんが、FRB金利上昇が最終局面であるということを考えると、しばらくもんだ後、少しずつ下に向かう可能性が高いと想います。
 先週は、2月のISM製造業指数と2月のISMサービス業指数が発表されましたが、その結果を市場は受け入れているように見受けられます。インフレ圧力は、どちらの指数でも1月に弱まっていることを示すようなことはありませんでした。
 FRB高官の発言もあり、リストファー・ウォラー理事は2日、雇用や個人消費の好調が続いた場合、インフレの進行を防ぐために当初の想定を上回る水準まで政策金利を引き上げる必要があるとの見解を示しています。結果、CME FedWatch Toolでも6月まで利上げが継続する可能性があるとみる関係者が増えてきています。現状では、5.25%~5.5%まで利上げがあるという見方されているようです。今週は2月の雇用統計、そして今後発表される2月の消費者物価指数と生産者物価指数によっては、上げ幅が強まる可能性もあるため、引き続き注意深く観察しておく必要があると思います。

米国経済

2/27(月):耐久財受注(前月比)
 耐久財受注は-4.5%と予想-3.9%を下回りました。前回修正値は5.1%(修正前:5.6%)でした。
2/28(火):S&Pケースシラー住宅価格
 S&Pケースシラー住宅価格は、4.65%と予想4.75%を下回りました。前回修正値は6.76%(修正前6.77%)でした。
3/1(水):ISM製造業景気指数
 ISM製造業景気指数は47.7と予想47.8を下回りました。前回値は47.4でした。新規受注は47と先月の42.5より回復しています。また価格も上昇し、51.3でした。企業コメントも、回復傾向にある内容が多くなってきていますが、業界によってまちまちのようです。
3/2(木):新規失業保険申請件数
 新規失業保険申請件数は19万件と予想19.4万件を下回りました。前回値は19.2万件でした。
3/3(金):ISM非製造業景気指数
 ISM非製造業景気指数は、55.1と予想54.6を上回りました。前回値は55.2でした。こちらは、新規受注、価格ともに強い数値でした。コメントからもインフレプレッシャーに対するコメントが多く出ています。

株式

 23年第1決算シーズンは終わりに向かっており、S&P500に属する企業の99%が、これまでに2022年第4四半期の決算発表を終えています。このうち、69%の企業が予想を上回るEPSの実績を報告しており、5年平均の77%、10年平均の73%を下回っています。企業全体では、予想を1.3%上回るEPSとなっており、これも5年平均の8.6%、10年平均の6.4%を下回っている状況です。仮に1.3%が当四半期の実際のサプライズ率であった場合、2008年以降、当指標が報告したサプライズ率の中で2番目に低い数値となります。
 第4四半期の混合業績(発表済みの企業の実績と未発表の企業の推定業績を合算したもの)は、第4四半期末(12月31日)時点のEPSが-3.3%であるのに対し、先週末時点では-4.6%となりました。同指数は、2020年第3四半期(-5.7%)以来、初めて2022年第4四半期(-4.6%)の前年同期比の減益となる見込みです。
 第4四半期の決算期におけるS&P企業の売上は、収益よりもポジティブな結果となりました。S&P500企業の65%が実際の収益を予想を上回って報告しており、これは5年平均の69%を下回っていますが、10年平均の63%は上回っています。企業全体では、予想を1.7%上回る結果を報告しており、これは5年平均の1.9%を下回りますが、10年平均の1.3%は上回る状況です。
 第4四半期のブレンド収益成長率は、第4四半期末(12月31日)時点の収益成長率3.9%に対し、先週末時点では5.3%でした。2022年第4四半期の収益成長率(5.3%)は、2020年第4四半期(3.2%)以降、同指標が報告する収益成長率の最低値を記録することになります。
 今後、アナリストは2023年上半期の収益は減少するが、2023年下半期は収益が増加すると予想しています。
 2023年第1四半期と第2四半期については、アナリストはそれぞれれ-5.9%、-3.8%の減益を予想しています。2023年第3四半期と第4四半期については、アナリストはそれぞれ2.9%と9.6%の増益を予想しています。2023年CY全体では、アナリストは2.1%の利益成長を予測しています。これらの予想も先週末時点より引き下げられています。
 フォワード12ヶ月PERは17.5で、5年平均(18.5)を下回りますが、10年平均(17.2)を上回っています。

来週の主な決算発表(予定)

3/6(月):
<寄付き前>Ciena (CIEN)
<引け後>Guidewire Software Inc (GWRE), Trip.com Group (TCOM),
3/7(火):
<寄付き前>Dick's Sporting Goods (DKS), Sea (SE), Thor Industries (THO)
<引け後>Casey's General Stores (CASY), Crowdstrike Holdings (CRWD),
3/8(水):
<寄付き前>Campbell Soup (CPB), United Natural Foods (UNFI), Vertex (VERX)
<引け後>Asana (ASAN), Duckhorn Portfolio (NAPA), Mongodb (MDB)
3/9(木):
<寄付き前>BJ's Wholesale (BJ)
<引け後>Docusign Inc (DOCU), El Pollo Loco (LOCO), Gap (GPS), Ulta Beauty (ULTA)
3/10(金):
<寄付き前>Buckle (BKE)

米国の主な経済指標

3/6(月):耐久財受注(確報)
3/7(火):
3/8(水):ADP雇用者数(前月比)
3/9(木):新規失業保険申請件数
3/10(金):失業率、非農業部門雇用者数(NFP)

今週の着目点

 今週は経済指標の発表も多くなく、大体の企業は決算を終えているため大きな動きはない週となりそうです。
 水曜日には、2月のADP雇用統計が発表され、月内に創出された雇用の量を確認していきたいです。また、過去数ヶ月のADP雇用統計と比較し、賃金データが冷え込んでいるのか、それとも他のインフレデータと同様、予想以上に堅調に推移しているのかを確認することになります。
 週末の2月の雇用統計では、1月と12月に比べた2月の雇用創出数、失業率の動向、そしてもちろん、賃金インフレ圧力が冷めたかどうかを確認するための賃金データが焦点になると思われます。
 この結果が出そろうことでまた、CME FedWatch Toolが3月のFRB金融政策決定会合に向けて示す内容がさらに動くことが予想されます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?