米国市場:11/13週の振返りと11/20週の予定
市場概況
先週のS&P500指数は、4,514.02と前週比+ 2.24%で終了しました。NASDAQは14,125.48と前週比+2.37%で終了しました。
先週の株価は、14日火曜日に発表された消費者物価指数(CPI)が3.2%と予想3.3%を下回ったこと、そしてコアCPIも4.0%と予想4.1%を下回ったことが確認されると、大きく値を上げました。同日に連邦政府のつなぎ予算案が可決し24年1月19日までは現行の水準での予算執行ができるようになりました。15日には小売売上高が発表されましたが、こちらも-0.1%と予想-0.4%を上回ったことから、ジリジリと上げる展開が続きました。ただ、中身を見ると自動車販売や家具の販売が全体の押し下げ要因となっており、消費者は高額商品の買い物を敬遠していることがわかります。LVMH等の決算でもわかりますが、消費者は節約傾向にあるようです。住宅価格、住宅ローンも高止まりが続いており、消費者が手を出せない状況になりつつあるように見受けられており、諦めの状況が消費者に広がると住宅関連などの高額商品のセクターは苦しくなって来ると思います。これがクリスマス商戦に対してどのような形で影響してくるのかは引き続き観察していく必要があるかなと思います。
全米ガソリン価格も下落傾向が続いており、CPIの結果からインフレに対するプレッシャーは確実に和らいでいることが確認されました。市場はすでに利上げが終了したとみなしており、CMEFed Watch Toolは23年12月、24年1月は利上げがなく現状維持が100%となっています。24年5月には0.25%の利下げ確率が60%となっており、来年の前半後期には利下げがあると見ているようです。FRBは利上げを終了したという宣言はしないでしょうから、今後は、彼らが目標としているインフレ率2%にどのように近づいていくのかを引き続き観察することで利下げの時期を計っていくことになると思います。また、利上げが止まったことで、金利差の拡大が要因の一つとなって続いてきたドル高も今後は状況が反転すると考えられます。現在水準からドル安傾向となれば、世界で展開している米国企業業績にとってはプラス要因になるかなと見ています。
15日には、バイデン大統領と習近平主席の会談がサンフランシスコでお紺われましたが、「大きなサプライズはない」と市場が予測しておりそれと一致したため、市場にはほとんど影響を与えませんでした。
経済指標からは、経済が減速しているのか、加速しているのかはっきりしないことから、ゴルディロックス相場という声も聞こえてきており、市場は加熱もしてなければ冷え込んでもいないという状況で米国市場が強い1月まではいい条件になっている気がします。
今週出てきたニュースフローはすべてよいニュースで株価に採ってはプラスの材料となっています。これらのニュースは全て株価に織り込まれたことから、これ以上のニュースは出てきにくく、CNNのFear&Graead指数も「貪欲」に入ってきていることから市場はいったん一服をはさんだ後、サンタラリーにつながっていくのではないかなと思います。
市場は、マグニフィセント・セブンは10月末から10%以上上げるなど、堅調な決算を背景にして引き上げています。小型株中心のラッセル2000は1,750.73と前週比5.42%の展開となり、小型株に注目が集まっていることが示されています。
今週の木曜日は感謝祭のため、23日はお休み、24日も短縮での開場となるため出来高としては少ないと予想されます。出来高が少ないときには株価は一方向に大きく振れやすいため、そのことにも留意しつつ観測を続けていく必要があるかなと思います。
株式
S&P500種指数は第3四半期決算のこの時期、好業績サプライズの件数とその規模が10年平均を上回っています。S&P 500種指数は11月17日時点で、第3四半期の収益を前年同期比でプラスになっており、2022年第3四半期以来初めて前年同期比で増益となりました。
全体として、S&P 500構成企業のうち94%が2023年第3四半期の決算発表を終えています。このうち82%の企業が予想EPSを上回る決算を発表しており、これは5年平均の77%、10年平均の74%を上回っています。仮に82%が今四半期の最終的な数字であれば、S&P500構成銘柄のうちEPSのポジティブ・サプライズを報告した企業の割合は2021年第3四半期(82%)以来最高となります。企業全体では、予想を7.1%上回る業績を報告しており、これは5年平均の8.5%を下回るものの、10年平均の6.6%を上回っています。
その結果、同指数は本日、第3四半期末と比較して増益となっています。ブレンデッド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定を合算したもの)の第3四半期の増益率は4.3%となっております。今年の第3四半期末(9月30日)の増益率の予想は-0.3%であった。仮に4.3%が当四半期の実際の増益率であれば、同指数が報告する前年同期比の増益率は2022年第3四半期以来となります。
11セクター中8セクターが前年同期比増益を発表しており、通信サービス、一般消費財、金融セクターが牽引している。一方、前年同期比で減益となったセクターは3つあり エネルギー、素材、ヘルスケアとなっています。
売上高に関しては、S&P500構成企業の62%が予想売上高を上回ったと発表しており、これは5年平均の68%、10年平均の64%を下回っています。仮に62%が今四半期の最終的な数字であれば、S&P500構成企業のうち収益がプラスとなるサプライズを報告した企業の割合は2020年第1四半期(56%)以来最低となります。企業全体では、売上高は予想を0.7%上回っており、5年平均の2.0%、10年平均の1.3%を下回っています。仮に0.7%が当四半期の最終数字となった場合、当インデックスが報告した収益のサプライズ率は2020年第1四半期(0.9%)以来最低となります。
第3四半期の混合増収率は、第3四半期末(9月30日)時点の増収率1.6%に対し、現在は2.4%となっている。仮に2.4%が第3四半期の実際の増収率であれば、11四半期連続の増収となる。前年同期比で増収となった(または増収となった)セクターは8つあり、不動産、一般消費財、通信サービスがその筆頭となっています。一方、前年同期比で減収となったのは、エネルギー・セクターを中心に3セクターでした。
今後の見通しとして、アナリストは2023年第4四半期の利益成長率(前年同期比)を2.9%と予想しており、これは9月30日時点の予想8.0%を大きく下回っています。CY2023については、アナリストは(前年比)0.6%の増益を予想しており、9月30日時点の予想0.8%を下回っています。CY2024については、アナリストは(前年比)11.6%の増益を予想しており、9月30日時点の予想12.2%を下回っています。
12ヵ月予想PERは18.6で、5年平均(18.8)を下回るっていますが、10年平均(17.6)を上回る。第3四半期末(9月30日)の予想PER17.8も上回っています。(Source Fact Set)
来週の主な決算発表(予定)
11/20(月):
<寄付き前>
<引け後> Agilent (A), Zoom Video (ZM)
11/21(火):
<寄付き前>Abercrombie & Fitch (ANF), Analog Devices (ADI), Best Buy (BBY), Dick's Sporting Goods (DKS), Dycom (DY), Hibbett (HIBB), Jacobs Engineering (J), Kohl's (KSS), Lowe's (LOW), Medtronic (MDT).
<引け後>Guess? (GES), HP Inc. (HPQ), Jack in the Box (JACK), Nordstrom (JWN), Nvidia (NVDA), Urban Outfitters (URBN)
11/22(水):
<寄付き前>Deere & Co. (DE)
11/23(木):感謝祭のため休場
11/24(金):半休場
<寄付き前>-
米国の主な経済指標
11/20(月):
11/21(火):
11/22(水):中古住宅販売件数、耐久財受注、新規失業保険申請件数
11/23(木):感謝祭
11/24(金):
今週の着目点
上述しましたが、木曜日は感謝祭の祝日で米国株式市場は休場となり、金曜日も短縮されての取引となります。このため、今週は取引日が少ない週です。一般的に、水曜日の午後から休日の移動の準備等のため、取引量が減少する傾向があります。
また、24日金曜日は「ブラック・フライデー」として知られ、11月27日のサイバーマンデーで終わる連休のショッピング期間となります。過去に比べてセール時期が早くなるなど、実店舗におけるインパクトは落ちてきたとはいえ今後を占う上でも引続きこの結果は確認しておきたいです。
今週は、経済指標の発表はほとんどなく、S&P500指数を構成する企業の決算発表は終わっています。今週も小売の企業が決算発表をしますので、消費者動向についてもう少し詳細に確認するとともに、これまでのニュースフローのよかったNVDAの決算発表にも注目です。
17日の金曜日に、OpenAIのCEOであったサム・アルトマンが解任されるというニュースが出てきています。AIの今後の動き方に係わる大きなニュースだと思いますので、今後のニュースフローにも注目していきたいです。
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