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米国市場:4/24週の振返りと5/1週の予定

市場概況

 今週のS&P500指数は、4169.48と前週比+0.87%で終了しました。NASDAQは12,226.58と前週比+1.28%で終了しています。
 月間成績は、ダウとS&P500は若干の上昇を見せ4月の月末を迎えましたが、NASDAQはほぼ先月末と変わらずの横ばいとなりました。ラッセル2000は1.9%下落しています。
 4つの市場指標の年初来の上昇率を比較すると、S&P500は8.6%、ダウとラッセルは小幅な上昇にとどまっているなか、NASDAQは16.8%上昇しております。これは、特にアップル(AAPL)とマイクロソフト(MSFT)のような大手ハイテク企業が年初来大きく株価を伸ばしている結果であり、これらが主役であったことは指数にも反映されていると思います。アップルを除き大手ハイテクの決算発表を終えていますが、市場予測よりも悪くなかったという結果となっており、今後もこのペースが続くのかという点については疑問が残ります。
 5月は「Sell in MAY」という格言があるように、5月は調整しやすい時期ともいわれていますが、今は、VIX指数も下落し続けております。VIX指数は、市場の自己満足を示唆する傾向があるため、もしかしたら大きくは下げずに横ばいが続くと考えています。
 ただ、ファースト・リパブリック銀行(FRC)の動向や、来週は経済指標やFOMC、さらに決算発表が目白押しであることを考慮すると、判断はもう少し待ったほうがよいと思います。4月のS&P500のPERは、2023年のEPS予想値220.86ドルの18.9倍と10年平均よりも高い状態で、2022年と比較してほとんど変化がしていません。5月に入って、FOMC結果を受けての金利政策に対する見通し、企業決算などが一定出そろったうえで判断しても遅くはないかもしれません。

米国経済

4/25(火):S&Pケースシラー住宅価格、新築住宅販売件数
 S&Pケースシラー住宅価格(20都市)前年比は、0.36%と予想-0.05%を上回りました。
 新築住宅販売件数は68.3万件と予想63.5万件を上回りました。前回修正値は、62.3万件(修正前:64万件)でした。
4/26(水):耐久財受注、卸売在庫
 耐久財受注は前月比+3.2%と予想+0.8を上回りました。前回修正値は‐0.3%(修正前:‐0.1%)でした。
4/27(木):個人消費(前期比年率)、新規失業保険申請件数
 個人消費は、3.7%
 新規失業保険申請件数は、23万件と予想24.9万件を下回りました。前回修正値は24.6万件(修正前24.5万件)でした。
4/28(金):個人所得(前月比)、PCEコアデフレータ
 個人所得は+0.3%と予想0.1%を上回りました。前回値は0.3%でした。
 個人支出は±0.0%と予想‐0.2%を上回りました。前回修正値は0.1%(修正前:0.2%)でした。
 PCEコアデフレータ(前年比)は、4.6%と予想4.5%を上回りました。前回修正値は4.7%(修正前:4.6%)でした。

株式

 S&P500の構成企業のうち53%が2023年第1四半期の決算報告を4月28日金曜日までに報告を終えています。ほぼ半分の企業が決算発表を終えていますが、アナリスト予想との比較においては、2021年第4四半期以来最高のパフォーマンスとなっています。ポジティブなEPSサプライズを報告した企業の数とこれらの業績サプライズの大きさの両方が、10年平均を上回っている状況です。
 実際の数字で確認すると、決算発表を終えた企業のうち、79%が予想を上回るEPSの実績を報告しており、これは5年平均の77%、10年平均の73%を上回っています。企業全体では、予想を6.9%上回る利益を報告しており、これは5年平均の8.4%を下回るものの、10年平均の6.4%を上回る結果となっています。この結果、第1四半期のブレンド(報告済み企業の実績と未報告企業の推定結果を組み合わせたもの)の減益率は、先週の減益率-6.3%、第1四半期末(3月31日)の減益率-6.7%に対し、本日は-3.7%となりました。情報技術、消費者裁量、エネルギー、工業、通信サービスの各セクターを筆頭に、複数のセクターの企業が報告したポジティブな業績サプライズが、先週の指数全体の減益幅の縮小に最も大きく貢献しました。とはいえ、まだ現役予想となっており、-3.7%が当四半期の実際の下落率であれば、同指数が2四半期連続で減益を記録することになります。
 売上高については、S&P500企業の74%が売上高予想を上回って報告しており、これは5年平均の69%および10年平均の63%を上回っています。全体として、企業は予想を2.1%上回る収益を報告しており、これは5年平均の2.0%を上回り、10年平均の1.3%を上回っています。第1四半期の混合収益成長率は、先週末の収益成長率2.1%、第1四半期末(3月31日)の収益成長率1.9%に対し、金曜日時点では、2.9%となりました。
 複数のセクターの企業(消費者裁量、工業、エネルギー、ヘルスケアセクターを筆頭に)が報告したポジティブな収益サプライズが、先週における指数全体の成長率の上昇に最も大きく貢献しました。2.9%が当四半期の実際の成長率であれば、同指数が報告した収益成長率としては2020年第3四半期(-1.1%)以来の低さを記録することになります。
 今後の見通しとして、アナリストは2023年後半は売上の伸びを予想しています。2023年第2四半期については、アナリストは-5.0%の減益を予測しています。2023年第3四半期と第4四半期については、アナリストはそれぞれ1.7%と8.8%の増益を予想しています。2023年CY全体では、アナリストは1.2%の利益成長を予測しています。
12ヵ月先のPERは18.1であり、5年平均(18.5)を下回るが、10年平均(17.3)を上回る。また、第1四半期末(3月31日)時点の予想PER18.1倍と同程度です。
今後1週間、S&P500構成企業のうち、162社(うちダウ30種構成企業1社)が第1四半期の決算を発表する予定です。

来週の主な決算発表(予定)

5/1(月):
<寄付き前>
<引け後>Arista Networks (ANET), Diamondback Energy (FANG), NXP Semiconductors (NXPI), Stryker (SYK), Vertex (VRTX), ZoomInfo Technologies (ZI),
5/2(火):
<寄付き前>BP (BP), DuPont de Nemours (DD), Marriott (MAR), Pfizer (PFE), Uber (UBER)
<引け後>Advanced Micro Devices (AMD), Ford Motor (F), Match Group (MTCH), Paycom Software (PAYC), Simon Property Group (SPG), Starbucks  (SBUX)
5/3(水):
<寄付き前>Barrick Gold (GOLD), Bunge (BG), CVS (CVS), Driven Brands (DRVN), Estee Lauder (EL), Kraft Heinz (KHC), Zillow (Z),
<引け後>Etsy (ETSY), Qualcomm (QCOM), 
5/4(木):
<寄付き前>Datadog (DDOG), Ferrari (RACE), Five9 (FIVN), Hyatt (H), Intercontinental Exchange (ICE), Kellogg (K), Martin Marietta Materials (MLM), Moderna (MRNA), Regeneron Pharmaceuticals (REGN), Royal Caribbean Cruises (RCL), Zoetis (ZTS),
<引け後>Apple (AAPL), Atlassian (TEAM), Azek (AZEK), BILL Holdings (BILL), 
Block (SQ), Booking (BKNG), Coinbase (COIN), DoorDash (DASH), DraftKings  (DKNG), Dropbox (DBX), Fortinet (FTNT), LYFT (LYFT), Mettler-Toledo (MTD),
Microchip Technology (MCHP), Shopify (SHOP),
5/5(金):
<寄付き前>Magna International (MGA), Warner Bros Discovery (WBD), 

米国の主な経済指標

5/1(月):ISM製造業景気指数
5/2(火):製造業新規受注(前月比)、耐久財受注(前月比)(確報)
5/3(水):ADP雇用者数(前月比)、ISM非製造業景気指数、FOMC
5/4(木):新規失業保険申請件数
5/5(金):失業率、非農業部門雇用者数(NFP)(前月比)

今週の着目点

 今週は、5月度の取引となります。特に経済指標の発表、FOMC等が予定されており、忙しい1週間となります。月初めの経済指標は、S&Pグローバル(SPGI)とサプライマネジメント協会(ISM)による米国の4月PMIデータ、そして中国、日本、ユーロ圏のPMIデータから始まります。今週発表された2023年第1四半期GDPは1.1%とコンセンサスの2.0%を下回り、12月期の2.6%と比較して急激な減速が指摘されてもいますので、経済状況を知るためにPMIレポートを引き続き確認しておきたいと思います。特に経済方向性と、状況を推し量るものとして、新規受注がもどっているのか、インフレが緩和しているか、あるいは持続的な粘着性を保っているかの兆候を示すコメントをしっかりと見ておく必要があります。ついでは、4月の雇用統計が発表されます。この統計では、4月の雇用創出数、前年比賃金上昇率、失業率の方向性の3項目は特に注目です。失業保険申請件数は、19年水準に戻りつつあるので、失業率も少しずつ悪化してくると思います。
 5月3日にFOMCがあります。この会合において、市場は0.25%の利上げを織り込んでいるものと思います。その証拠に、CME Fed Watch Toolにおいても85.2%が利上げを予想していることから0.25%の利上げが発表されても市場に大きな反応はないと思います。ただ、先週発表された、コア消費者物価指数や個人消費など、若干予想を上回るインフレデータが相次いで発表されたことを受け、5月で金利の上昇が打ち止めにならないのではないかという不安も一部から出てきており、記者会見でのパウエルFRB議長のコメントをしっかりと確認しておくべきと思います。FRBは、以前より金利を長期的に据え置くという方針を打ち出しており、従来の方針を繰り返すことになると予想はしますが、その通りになるかは確認しておきたいです。
 CMEのFedWatchツールでは、いまだに2023年末までに2回程度の利下げを行うと予想が多く、まだFRBの方針とにギャップがあります。今回の会合でFRBが従来より示している方針に変更がなく、市場が金利予想を調整することになれば、一定のギクシャクはあるかもしれません。

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