見出し画像

米国市場:2/20週の振返りと2/27週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、前週比-2.67%の3970.04、Nasdaqは前週比-3.33%の11394.94で値を下げて終了しました。月曜日が祝日で市場が休みだったにもかかわらず、この4日間はボラの大きな4日になりました。21日(火)には、大量の出来高を伴って2%の下落を記録し弱気筋が動いたように思います。ただ、週半ばは株価は回復しようとしましたが、大量の売りに直面し24日(金)には、全指数で1%近くも下落しました。
 1月がかなり好調であったため、2月は調整になってしまったようです。このまま調整が続くと2022年と同じような展開になることも予想されるため、3月、4月は反転してくれることを期待しながら市場を観察していきたいです。
 先週は、1月の個人所得・支出が発表されましたがこの結果は、消費者についてだけでなく、予想を大きく上回るPCE価格指数とコアPCE価格指数が、示されたことで、インフレの低下に向けてのロードマップが長くなるものと考えられたことが市場にとっての打撃になったのではないかと考えます。今回のデータは、インフレの速度を示唆するうえで最新のものであり、FRBがインフレを再びコントロールするためにもっと努力する必要があることを示唆しているようにみえました。このデータに先立ち、CME FedWatch Toolは、FRBが3月の会合で25ベーシスポイント、その後の会合でさらに2回の利上げを行う可能性が76%であることを示すように変化しました。今回の1月PCEデータにより、3月会合での50ベーシスポイントの利上げの可能性も上昇し、まだまだ不安心理が続きそうです。また、消費者の支出が所得の伸びを上回るペースであったため、消費者信用レベルの上昇に対する懸念が強まることも予想されます。
 次回のFOMCまでは、インフレの進捗度合いを示す経済指標の発表がいくつか残されており、これらの発表ごとに市場が一喜一憂する展開が続くと思います。ただ、全体としての下げ基調は変わっていないと思いますので、若干の揺れ戻しはあるものの、年末に向けて鎮静化していく方向でいまはみていてよいと思います。

米国経済

2/21(火):中古住宅販売件数
 中古住宅販売件数は、400万件と予想410万件を下回りました。前回値は403万件でした。前年同期比では、‐36.9%でした。中古住宅販売は底を付けつつあるようです。高価格帯の地域の値段は下がり、低価格帯の地域は値上がりしているとのことでした。
2/22(水):FOMC議事録
特に大きなサプライズはありませんでしたが、融政策スタンスが十分抑制的でないことが判明すれば、最近のインフレ圧力の緩和における進展に歯止めがかかる可能性があるとの見解を複数の参加者が示したということでした。インフレが鈍化していることが過去のデータでわかりつつも、これが持続すると確信するにはより多くの証拠が必要だという意見で一致した。一部のメンバーは、今回の会合で0.50%の利上げを続けるべきだとしたとも記載していました。
2/23(木):GDP、新規失業保険申請件数
 新規失業保険申請件数は19.2万件と予想19.9万件を下回りました。前回修正値は19.5万件(修正前19.4万件)でした。
2/24(金):個人所得・支出、PCEコアデフレータ、新築住宅販売件数
 個人所得は前月比+0.6%と予想+0.9%を下回りました。前回修正値は+0.3%(修正前0.2%)でした。個人支出は前月比+1.8%と予想+1.0% を上回りました。前回修正値は‐0.1%(修正前:-0.2%)でした。
 PCEデフレータは前年比+5.4%と予想+4.9%を上回りました。前回値修正値は+5.3%でした。
 新規住宅販売件数は67万件と予想61.8万件を上回りました。前回修正値は62.5万件(修正前:61.6万件)でした。

株式(ファクトセット)

 S&P500に属する企業の94%が、2月24日までに2022年第4四半期の決算を報告しています。このうち、予想を上回る実績EPSを発表している企業は68%と、先週末の68%と同率ですが、5年平均の77%、10年平均の73%を下回っている状況です。また決算発表した企業全体の利益のサプライズ率(アナリスト予想の利益との乖離率)は1.2%と、先週末の1.3%、5年平均の8.6%、10年平均の6.4%を下回っている状況です。仮に1.2%が今四半期の実際のサプライズ率となった場合、2008年以降で2番目に低い数値となります。
 第4四半期の混合型(発表済みの企業の実績と未発表の企業の推定結果を組み合わせたもの)の減益率は‐4.8%と、先週末の-4.7%、第4四半期末(12月31日)が-3.3%を下回っている状況です。同指数の減益幅が多少なりとも拡大したのは、通信サービスセクターの企業が報告したネガティブな業績サプライズが最大の要因でした。仮に-4.8%が今期の実際の減益率であれば、指数が前年同期比で減益となるのは2020年第3四半期(-5.7%)以来のこととなります。
 次に、売上実績を確認していくと、全体として、S&P 500種構成企業の66%が実際の収益を予想を上回っており、これは5年平均の69%を下回っていますが、10年平均の63%は上回っています。また、予想を1.9%上回る売上を報告しており、これは5年平均の1.9%と同じで、10年平均の1.3%を上回っています。その結果、第4四半期の混合収益成長率は5.4%と先週の成長率5.1%、第4四半期末(12月31日)の収益成長率3.9%を上回っています。5.4%が今期の実際の成長率となった場合、同指標が報告した収益成長率としては2020年第4四半期(3.2%)以来の低水準となります。
 今後の見通しとしては、引き続きアナリストは2023年上半期の収益は減少するが、下半期は収益が増加すると予想していますが、その幅は若干変動しています。2023年第1四半期と第2四半期については、アナリストはそれぞれ-5.7%と-3.7%の減益を予測しています。2023 年第 3 四半期と第 4 四半期については、アナリストはそれぞれ 3.0%と 9.7%の増益を予想しています。2023年通期では、アナリストは2.2%の増益を予測しています。
 フォワード12ヶ月PERは17.7で、5年平均(18.5)を下回るが、10年平均(17.2)は上回る。また、第4四半期末(12月31日)に記録したフォワードPER16.7を上回っています。

来週の主な決算発表(予定)

2/27(月):
<寄付き前>AES  (AES), Viatris (VTRS)
<引け後>Heico  (HEI), Occidental Petroleum (OXY), Workday Inc (WDAY), Zoom Video (ZM).
2/28(火):
<寄付き前>Autozone (AZO), J M Smucker (SJM), Marqeta (MQ), Olaplex  (OLPX), Target (TGT)
<引け後>Axon (AXON), Duolingo (DUOL), HP (HPQ), Rivian Automotive (RIVN), Ross Stores (ROST), Verisk (VRSK)
3/1(水):
<寄付き前>Dollar Tree (DLTR), Lowe's (LOW), Vistra (VST), Wendys (WEN)
<引け後>Box (BOX), Jazz Pharmaceuticals (JAZZ), Okta (OKTA), Plug Power (PLUG), Salesforce (CRM), Snowflake (SNOW), Splunk (SPLK), Veeva Systems (VEEV)
3/2(木):
<寄付き前>AerCap (AER), Anheuser-Busch Inbev SA (BUD), Best Buy (BBY), C3.ai (AI), Kroger (KR), Macy's M), Nordstrom (JWN),
<引け後>Broadcom (AVGO), Cooper Companies Inc (COO), Costco (COST),
Dell (DELL), Marvell (MRVL), Zscaler (ZS).
3/3(金):-

米国の主な経済指標

2/27(月):耐久財受注(速報)
2/28(火):卸売在庫(速報)、S&Pケースシラー住宅価格
3/1(水):ISM製造業景気指数
3/2(木):新規失業保険申請件数
3/3(金):ISM非製造業景気指数

今週の着目点

 今週は、2月の最終取引日となり、3月期の最初の週が始まるため、多くのイベントがあります。3月6日週以降に発表される、2月の雇用統計、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)に向けてその見通しを考えるうえでも、いくつかの重要な経済データが発表される予定です。サプライマネジメント協会(ISM)が発表する2月の製造業・非製造業PMIと、S&Pグローバル社(SPGI)が発表する2月の最終報告書です。
 これらの結果を踏まえて、そのデータが語る経済の見通しについて考える一方で、この結果と売上高との強い関連性についても考えていくとよいかもしれません。ファクトセットによるとS&P500構成企業の2024年期末の予想EPSは223.45まで下がってきており、EPS成長面での株価上昇への寄与はあまり期待できない見込みです。とはいえ18%がまだ決算発表を終えていませんので、この数字が上にいくか、下に行くかは、今後更新される結果で確認が必要です。
 先々週ぐらいまでは、FRBの利上げは3月で終了すると市場は予想していましたが、今は、6月まで継続されるとの見方に変わってきています。このため、23年末には利下げがあるとの市場予想から乖離が発生しているため、24年の利益成長率についても下がり始めています。2月24日末時点では249.14ドルとなっています。今後数週間に発表される経済指標や、3月に行われる企業の決算発表時のコメントによって、これらの数字が再考される可能性があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?