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米国市場:6/12週の振返りと6/19週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4409.59と前週比+2.58で終了しました。NASDAQは13689.57と前週比+3.25%で終了しました。
 先週も株式市場は好調でした。S&P 500種株価指数は約2.6%上昇し、今年中に追加利上げを実施するというFRBの最新経済見通しを受け流す結果となっています。FRBが発表した最新の経済予測では、この数四半期にわたって言われ続けてきた景気後退が回避されたことが、その打撃を和らげていると判断しているようです。ただ、9%台まで上昇したインフレを「一過性」のものとして判断していたのもFRBであるため、慎重に判断が必要かと思います。
 FEDWatchToolによると今後の利上げの可能性は、7月に0.25%の利上げがもう一度来ると予想はされています。ですが、次回のFOMCまでに発表される経済指標がFRBが目標とするインフレターゲットの2.0%についてどのような推移を示しているかということによって決まると思います。7月末までは、今後発表される経済指標で右往左往することになると思います。原油価格は80ドルより下で推移していますが、平均時給は引き続き伸びています。このことから、今後はインフレ率の大きな下落はすぐに見られないと思います。そのため、FRBもしばらく今の水準を保つのではないかと予想していますが、経済指標をしっかり確認して裏付けをとっていきたいです。
 直近の見方は上述の通りですが、少し先を見据えて考えると2023年後半から2024年にかけては、利上げの終了が近くまた今後は景気刺激策だされてくることから、この結果として株式にとってのプラス材料となる可能性が高いと考えています。FRBも2024年に利下げを実施するとの見解を示しており、これらの条件が揃えば、市場は今後数四半期に渡って上昇を続けることになりそうです。上記のような組み合わせの条件が実現するかどうかを確認するために、引き続きFRBの動向には注目していきたいです。
 中長期的な見通しは改善しつつありますが、短期的にはやや泡沫的で、S&P500の株価収益率は2023年の予想一株利益の19.5倍近くに達しており、買われすぎなシグナルを出してきています。このため、今後の短期的な上昇幅は限定的となる可能性が高く、逆に何かのショックで失望・懸念売りが発生することを念頭に置いておいた方がよいかもしれません。6月中旬から始まる決算前に、投資家向けのカンファレンスが開催されます。23年の下期の売上や、利益の上振れの可能性に関する企業からのコメントを傾聴して短期的な上振れの幅を見極めて行く必要があると思います。
 6月連休後は、連休前にラリーがあり、また買われすぎのシグナルも出ていることからある程度の利益確定売りがあると考えています。市場は少し軟調にはなるとは思いますが、パニックになる理由ではなく、むしろ新しい銘柄を探したり、既存の銘柄に追加したりする機会と前向きにとらえてよいかと思います。

米国経済

6/12(月):
6/13(火):消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数(CPI)は、前年比+4.0%と予想4.2%を下回りました。前回値は+4.9%でした。
 この数字は、インフレが収まったといえるほどの数字とはなっていませんが、利上げをあと1回、あるいはなしにするかもしれない程度には急速に冷え込んでいることを改めて示す内容だったと思います。2年以上続いた高インフレは、当初の一過性という予想からするとはるかに鈍化が緩やかでした。FRBの目標よりも引き続き高い状況ですが、この要因の一つとしては、CPIの支出項目の約3分の1を占める住居費が上昇し続けていることにあります。る。5月は前年同月比8%伸びていました。ただ、CPIの家賃は最新の動向より遅れているため、この伸びも落ち着いてくると思われます。

6/14(水):FOMC、生産者物価指数(PPI)
FOMCでは、フェデラルファンドレートを5~5.25%で据え置くことを決定しました。利上げの見送りは昨年1月の連邦公開市場委員会(FOMC)以来となります。0.5ポイントの利上げを年内に行う見通しも示されていますが、データ次第ということになります。ドットチャートでは、2024年末時点の金利が4.5~4.75%になると予想していました。
生産者物価指数(PPI)は前年比+1.1%と予想1.5%を下回りました。前回値は2.3%でした。
6/15(木):小売売上高、新規失業保険申請件数、設備稼働率、鉱工業生産指数
 小売売上高は、前月比+0.3%と予想‐0.1%を上回りました。前回値は、+0.4%でした。
百貨店やスポーツ用品店、家具店をはじめとして、売上高の増加は広範囲にわたりました。大幅減を記録したのはガソリンスタンドで、前月比で2.6%の減少でした。これは、夏のドライブシーズンが近づくにつれ通常は上昇する燃料価格が下落したのを受けたものでした。
 新規失業保険申請件数は、26.2万件と予想25.1万件を上回りました。前回修正値は、26.2万件(修正前:26.1万件)と上方修正されました。
 設備稼働率は、79.6%と予想79.7%を下回りました。前回修正値は79.8%(修正前:79.7%)と上方修正されました。
 鉱工業生産指数は、‐0.2%と予想+0.2%を下回りました。前回修正値は‐0.2%(修正前:-0.1%)と下方修正されました。  
6/16(金):

来週の主な決算発表(予定)

6/19(月):ジューンティーンス(祝日休場)
6/20(火):
<寄付き前>
<引け後>FedEx (FDX), La-Z-Boy (LZB)
6/21(水):
<寄付き前>Patterson (PDCO), Winnebago (WGO)
<引け後>KB Home (KBH)
6/22(木):
<寄付き前> Accenture (ACN), Darden Restaurants (DRI), FactSet (FDS),
<引け後>Smith & Wesson Brands (SWBI)
6/23(金):
<寄付き前>CarMax (KMX)

米国の主な経済指標

6/19(月):ジューンティーンス(祝日休場)
6/20(火):住宅建築許可件数・着工件数
6/21(水):
6/22(木):新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数
6/23(金):

今週の着目点

 今週は、住宅関連の経済指標の発表や、いくつかの企業の決算発表があります。これだけをみるとやや静かな週となりそうですが、FRB高官の講演が複数回予定されているだけでなく、投資家向けのカンファレンスコールも多数開催されるため、いろいろな憶測が飛び交う週となりそうです。
 経済指標では、5月の住宅市場の動向について、住宅着工件数、建築許可件数、中古住宅販売件数が発表されます。CPIの支出項目の大きなウェイトを占めている住居費にも関連してきますのでこのトレンドについてフォローしていきます。
 四半期決算では、フェデックス(FDX)が予定されており、世界経済全体と特定の地域について何を示唆するのかに注目します。ダーデン・レストランツ(DRI)の決算発表では、賃金圧力と食費に関するコメントに注目です。追加の価格設定アクションプランも注目しておくと面白いです。


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