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米国市場:7/10週の振返りと7/17週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4505.42と前週比+2.42で終了しました。NASDAQは14,113.7と前週比+3.32%で終了しました。
 先週の株価は、サマーラリーフェーズのような力強い上昇となりました。先週は、主要なインフレデータの最新情報が発表され、第2四半期決算シーズンが本格的に始まりました。 6月のCPI(消費者物価指数)と6月のPPI(生産者物価指数)はいずれも市場予想を下回る結果となり、市場を驚かせました。ただ、インフレ退治に向けたFRBの取り組みが進展していることをはっきりと示唆した結果になりました。この結果、FRBは今月7月の政策会合で利上げを行う可能性は高いが、おそらく年内に2回目の利上げを行う必要はないかもしれないという見方を市場は強めたと思います。
 ただし、FRBは利上げ中止を宣言する前に、インフレ圧力の低下がさらに確認できることを待っているように考えています。FRBの高官が相次いで2回の利上げが必要と発言したことは、考慮しておく必要があると思います。確かに、これまでCPIの数字は順調に下落してきていますが、住宅価格、サービス価格の延びはまだ抑えきれておらず、インフレとの戦いに勝利を確認するまでは金利を据え置くという中銀のコメントを考慮すると、しばらくは利下げが行われないのではないかと考えています。
 今週のインフレデータの結果を受けて、S&P 500指数は急騰し、指数が抵抗線のラインに達しています。この水準を超えて来ると一気に行く可能性はありますが、これまでピッチが早かったことを考えるとしばらく水平飛行、もしくは、若干下げて、またあがってくるのではないかと考えています。市場の雰囲気を理解するうえでも、どのように推移するかは観察していきます。 先週は、銀行系の企業の決算が発表されています。JPモルガン・チェース(JPM)とウェルズ・ファーゴ(WFC)の銀行収益が予想を上回ったことは、今週のバンク・オブ・アメリカ(BAC)の結果に先駆けてプラス材料とみられます。ユナイテッドヘルス(UNH)も素晴らしい決算を出しており、株価も素直に反応していました。ペプシコ(PEP)の値上げは、2022年の価格設定が売上と利益を押し上げていくと思います。
 今週は企業の発表件数が大幅に増加するため、売上に対する見通しがより良くなり、それが2023年下半期の予想や株式市場の次の動きにどのような影響を与える可能性があるかが分かり始めると思います。
 また先週、7月12日にFRBはBeige Bookを発表しています。この報告書は、経済活動が5月末から6月にかけてわずかに増加したに過ぎず、低成長が続くと予想されていると示していました。6 月の NFIB 中小企業指数によると、雇用市場は依然として逼迫しており、雇用を行っている中小企業は引き続き適格な従業員を見つけるのに苦労しています。 これは、中古車やその他の消費者物価指数の構成要素の価格が上昇しているにもかかわらず、賃金圧力は依然として残る可能性が高いことを示唆しています。
 米国にとって重要な経済原動力である消費者関連のため、賃金の伸びからインフレを差し引いた実質賃金の伸びが現れるかどうかに注目しています。 もし、賃金上昇がインフレを上回ることになれば、個人消費が予想よりも持ちこたえる可能性があることを示唆することになります。月平均400ドルの学生ローン返済の影響については引き続き観察しておく必要があります。
 コナグラ(CAG)が今週、消費者は値下げ商品を購入しているだけでなく食事を完全に抜いているというコメントは、少なくとも一部の消費者が他の消費者ほど状況がよくないことを示唆していると思います。 また、アマゾン(AMZN)は今年のプライムデーで米国の新売上記録を樹立したが、コメントを見ると人々は割引商品を好んで購入したことが伺えました。 この急増は、当四半期の他の支出を前倒しした可能性があるかどうかも確認が必要です。
 今後、数週間にわたって企業の決算発表が続きます。カンファレンスコールの経営陣の解説やその他のデータから、経済状況の現在地が見えてくると思います。これらから、引続き好調な相場が続きそうなのか、しっかり観ていきたいです。

米国経済

7/10(月):
7/11(火):
7/12(水):消費者物価指数(CPI)
 6月消費者物価指数は、3.0%と予想3.1%を下回りました。前回値は4.0%でした。前月比では、0.2%と予想0.3%を下回りました。コアCPIは4.8%と予想5.0%を下回りました。
 インフレもだいぶ落ち着いてきました。前月比が0.2%が続くようであれば、さらに下がります。
7/13(木):生産者物価指数(PPI)、新規失業保険申請件数
 6月生産者物価指数は、2.4%と予想2.5%を下回りました。前回値は2.6%(修正前:2.8%)と下方修正されました。生産者物価指数コアは0.1%と予想0.2%を下回りました。
 新規失業保険申請件数は、23.7万件と予想24.9万件を下回りました。前回値は24.9万件(修正前:24.8万件)を上方修正されました。
7/14(金):ミシガン大学消費者信頼感指数
 ミシガン大学消費者信頼感指数は、72.6と予想65.4を上回りました。前回値は64.4でした。
 

株式

 先週までにS&P 500 企業のうち6%が2023年第2四半期の決算を発表しています。 これらの企業のうち、80% が予想を上回る EPS を発表しています。これは 5 年平均の 77% 、10 年平均の 73% を上回っています。また、これらの企業の発表は予想を8.8%上回る利益となっており、これは5年平均の8.4%を上回り、10年平均の6.4%を上回っています。先週は、好調なスタートを切っています。しかし、同指数は依然として、2020年第2四半期以来最大の前年比の利益減少となることを予想しています。
 第 2 四半期の混合(すでに決算発表済み企業の結果と発表前の企業の推定結果を組み合わせた)収益減少率は、先週は -7.4% でしたが、本日は -7.1% となっています。 第2四半期末(6月30日)時点では-7.0%でした。金融セクターの企業が報告した予想外の好決算が、過去1週間の指数全体の減益幅を縮小しています。仮に、-7.1%が当四半期の実際の利益となる場合、2020年第2四半期(-31.6%)以来最大の収益減少となります。 また、同指数の構成企業が利益の減少を報告するのは3四半期連続となります。
 売上に関しては、S&P 500 企業の 63% が予想を上回る売上を発表しました。これは 5 年間の平均である 69% を下回っていますが、10 年間の平均である 63% と同じでした。また、これらの企業は予想を 1.6% 上回るを売上を発表しています。これは、5 年間の平均である 2.0% を下回っていますが、10 年間の平均である 1.3% を上回っています。
第 2 四半期の混合売上減少率は、先週の売上減少率が-0.3%、第 2 四半期終了時 (6 月 30 日) の売上減少率が -0.4%だったのに対し、先週辞典の売上減少率は -0.4%となっています。仮に、-0.4%が今期の実際の減少であるとすれば、同指数が2020年第3四半期(-1.1%)以来初めて前年比での売上減少となります。
 今後については、アナリストは依然として 2023 年下半期の利益成長を予想しています。アナリストは、2023 年第 3 四半期と 2023 年第 4 四半期について、それぞれ 0.1% と 7.6% の利益成長を予測しています。 アナリストは、2023 年通期の利益成長率を 0.6% と予測しています。
 今週は、S&P 500 採用企業 60 社 (ダウ 30 構成銘柄 5 社を含む) が第 2 四半期の決算を発表する予定です。


来週の主な決算発表(予定)

7/17(月):
7/18(火):
<寄付き前>Bank of America (BAC), BNY Mellon (BK), Charles Schwab (SCHW), Lockheed Martin (LMT), Morgan Stanley (MS), Novartis AG (NVS), PNC (PNC), Synchrony Financial (SYF)
<引け後>Interactive Brokers (IKBR), JB Hunt (JBHT), Omnicom (OMC)
7/19(水):
<寄付き前>ASML (ASML), Baker Hughes (BKR), Citizens Financial (CFG), Elevance Health (ELV), Goldman Sachs (GS), Halliburton (HAL), Liberty Energy (LBRT), Nasdaq (NDAQ), Northern Trust  (NTRS).
<引け後>Alcoa (AA), Crown Castle (CCI), Discover Financial Services (DFS), IBM (IBM), Las Vegas Sands (LVS), Netflix (NFLX), Steel Dynamics (STLD), Tesla (TSLA), United Airlines (UAL)
7/20(木):
<寄付き前>Abbott Laboratories (ABT), American Airlines (AAL), D.R. Horton (DHI), Fifth Third Bancorp (FITB), Freeport-McMoRan (FCX),  Johnson & Johnson (JNJ), Marsh & McLennan Companies  (MMC), Nokia (NOK), Philip Morris International (PM), SAP SE (SAP), Taiwan Semiconductor (TSM)
<引け後>Capital One Financial Corp. (COF), CSX (CSX), Intuitive Surgical (ISRG), PPG Industries (PPG), Valmont (VMI)
7/21(金):
<寄付き前>American Express (AXP), AutoNation (AN), Regions Financial (RF), Schlumberger (SLB).

米国の主な経済指標

7/17(月):ニューヨーク連銀製造業景気指数
7/18(火):小売売上高、設備稼働率、鉱工業生産指数
7/19(水):住宅建築許可件数・着工件数、
7/20(木):フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数、中古住宅販売件数
7/21(金):

今週の着目点

 今週から、FRBがブラックアウト期間に入ります。現時点で市場は25ベーシスポイントの値上げされると織り込んでおり、FRB高官のこれまでの発言と大きな差異はない状況となっています。このため、次回の金融政策会合が7月27日に開催されるまでに焦点となるのは、第2半期の決算になると思います。
 それでも、重要な経済データとして、6 月の小売売上高と 6 月の住宅着工件数および建設許可データは、6月の小売売上高レポートは、アマゾン(AMZN)、チポトレ(CMG)、マスターカード(MA)を含むいくつかの株式の6月四半期の予想を再検討するために使用できる最後のデータを提供しますし、消費が鈍っていないかの確認も引き続き見ておく必要があります。6月の住宅着工件数レポートは、5月の驚くほど好調なレポートが一時的なものだったのか、それともさらなる何かの始まりなのかを見極めることになります。住宅市場の市況によっては、コアCPIの数値にも影響してきますので先月の状況が続くか注目しています。
 先週のJPM、WFCなどが好決算を発表してます。この流れが今後も続けられるのか、もしくは一過性のものとなってしまうのかにも注目しています。


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