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米国市場:8/7週の振返りと8/14週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、4464.05と前週比-0.31%で終了しました。NASDAQは13,644.85と前週比-1.90%で終了しました。
 先週は大きなニュースは特になく、S&P500は日々小幅に値を下げる展開が続きました。夏枯れ相場の様相を呈してました。
 経済指標はCPI、PPIが発表され、しつこいインフレの兆候が示されています。この結果から、FRBが引き続き利上げを継続する可能性が高まってきました。例えば、7月のコアCPIは前年同月比4.7%と、引き続き高い状況が続いています。PPIからはサービス部門のインフレが大きな要因となっていることが明らかになっています。
 CMEのFedWatchツールに大きな変動はみられませんでしたが、10年債利回りは4.17%近辺で週を終えています。先々週から4%を超えた状況が続いており、長期金利の上昇が止まっていません。この利回りの上昇は、経済が予想以上に底堅いことを示していると考えています。市場は24年の3月、5月には利下げがある可能性をまだ見ていますが、現状から推測すると11月にもう一度利上げの可能性も高く、そこからしばらく金利を動かさないというしなりを考えると利下げは早くても次年度の後半になると考えています。ただ前回のFOMCでパウエル議長がデータドリブンということを強調しており、次回のFOMCまでにあと1回経済データを確認することができることから9月の結果確認してから再考します。
 金利上昇はハイパーグロース株が冴えない展開となります。これに加え、AI関連銘柄もバイデン大統領による、半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、AIに関する米国の対中投資を規制する新たな大統領令によって弱含んでいます。この件に関する詳細は数日中に明らかになると予想されます。また、エヌビディア(NVDA)が8月23日に四半期決算を発表する際の注目すべきトピックの一つとなると思います。また、AAPホールディングスのアプライド・マテリアルズが今週発表する四半期決算の動向にも注目していきたいです。これまでのところ、AI関連以外の半導体は鳴かず飛ばずの状態となっています。
 WTIの原油先物も7週連続で値を上げてきています。原油の需要の復活と考えてよく、世界経済が正常化へ向かっているよいシグナルだと思います。世界経済の復活が本物だとするとS&P500の下方修正も23年2Qで終わりとなり、3Q以降は回復が始まります。

来週の主な決算発表(予定)

8/14(月):
<寄付き前>monday.com (MNDY)
<引け後>Navitas Semiconductor (NVTS)
8/15(火):
<寄付き前>Cardinal Health (CAH), Home Depot (HD)
<引け後>Agilent (A), Dlocal (DLO).
8/16(水):
<寄付き前>Brinker (EAT), Target (TGT), TJX Companies (TJX)
<引け後> Cisco (CSCO), Wolfspeed (WOLF)
8/17(木):
<寄付き前>Lumentum (LITE), Tapestry (TPR), Walmart (WMT)
<引け後>Applied Materials (AMAT), Farfetch (FTCH), Ross Stores (ROST)
8/18(金):
<寄付き前>Buckle (BKE), Deere & Co. (DE), Estee Lauder (EL)

米国の主な経済指標

8/14(月):
8/15(火):小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景気指、
8/16(水):住宅建築許可・着工件数、設備稼働率、鉱工業生産指数
8/17(木):新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数
8/18(金):

今週の着目点

 今週は、小売売上高、鉱工業生産、住宅着工件数などが発表され、過去の経済状況を確認する上でも大事な経済指標が出てきます。実質賃金の伸びが引き続き強いことが示され、先週発表されたCPI、PPI等からまだ引き続きインフレは落ち着きつつあるが引続き観察が必要であることが確認されました。7月の小売売上高は消費者が消費ムードにあるかどうかを確認できると思います。7月の小売売上高を評価する際には、アマゾン(AMZN)の2023年プライムデー・イベントや、ウォルマート(WMT)、ターゲット(TGT)、ベストバイ(BBY)などが競合することも意識してみてみたいです。小売売上高のその他の項目は、消費者が外食を続けているのか、それとも家庭での食事へシフトしつつあるのかなど消費者がどこでお金を使っているのか確認していきます。
 住宅市場の乗数効果を考慮すると、7月の住宅着工件数は、アトランタ連銀の今四半期GDP予測値(4.1%)の下方修正につながる可能性があります。今月初めにS&PグローバルとISMが発表した製造業PMIを踏まえると、7月鉱工業生産は製造業経済にとってサプライズはないはずだが、猛暑を考えると、公共事業の数値が上昇傾向になる可能性もあります。


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