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夏の風物詩"怪談"

つい数日前のことです。
私は最近、Uber Eatsで配達をしているのですが、
その配達をしている時のことでした。

Uber Eatsの配達の流れとしては

注文が配達員に届く

配達物を受け取りに店舗へ向かう

配達先のお客様の所へ配達し完了

という、言うまでもない流れなのですが、
この配達の流れの『お客様の所へ配達する』時の話です。

時間は夕方で薄暗くなってきた頃でした。
私はいつも通り安全運転で確実に届けられるように配達していました。

配達先は勿論いつも色々な場所、今回も初めて向かう場所で、
その配達先の建物は10階以上はあるような高いマンションでした。

周りは車通りが少なく、暗くなり始めているせいか
人の気配もあまりありませんでした。
しかし、夕方以降の配達ではよくある景色なので、
いつも通り自転車を邪魔にならない場所に止め、
配達先の階へ行こうとエレベーターを探し始めました。

丁度エレベーターを見つけた時に対面から住人と思われる
お爺さんが現れ、同じエレベーターに乗ることになったのです。

お爺さんは私に話しかけてきました。

「配達か?」

この時代、お爺さんもUber Eatsのことを理解しているようで、
デカすぎるバッグを見て配達員だということが分かったようでした。

私はとりあえず「はい」とだけ答えるとお爺さんは

「ってことは...時給制なんか?」と質問してきました。

Uber Eatsは完全出来高制なので時給制とは違います。
配達したらした分だけ稼げるシステムです。なので私は

「いえ、出来高制ですね。」

と普通な受け答えをしました。

そういうとお爺さんは「暑いのに大変やな」と言葉をかけてくれました。
そして「稼ぎはあんまりなんか?」とまたも質問してきたので、
「まあその時々ですね」と受け答えしました。


確かに夏場に自転車を漕ぎ続けるのは大変です。稼ぎもそんなにです。
ですが、私はお客様に直接感謝してもらえるこの仕事に、
やりがいを感じています。
大変だとか稼ぎだとかより、楽しい、喜んで貰えて嬉しい、
そう思っていつも配達をしていました。

そのことを私はお爺さんに伝えたかった。なので

「確かに大変ですよ。
    でも、それ以上に楽しんでやってるんで!」

とイケメンしか言ってはいけないようなクサイ言葉を放ち、
お爺さんの方へと目を向けました。



お爺さん「・・・。」





いやいやいや!?えっ!?無視するの!?!?
さっきまでメチャクチャ普通に質問して話してたくない!?
メチャクチャキメて喋っちゃったよ!!!恥ずかし!!!

その流れで無視するの!?
いやクソ狭いエレベーターの中で気まず!!!!
Uberのバッグデカイから余計エレベーター内狭い!!!!

やめて!!そんな真顔で立つの!!!
なんであの言葉の後にそんな表情殺せるの!?
昔教科書に載ってた伊能忠敬みたいな顔になってるから!!
もっと表情筋使って!!!!気まずいから!!!
長い長い!!エレベータークッソ長い!!!全然到着せん!!!




その後目的階に到着し「アッ、スマセン...」と一言残して私は降りた。

あれは本当に現実だったのか?

それとも夏の暑さが招いた一時の幻惑だったのか?

私はその答えを未だ得ていない。

普段気にしない『無意識』な部分を意識し、気になったことを日々追求していきます。