愛しのクローンベビー【詩】

二才で死んだのは
あれは本当の我が子ではありません
死ぬはずがないのです
もっと生きているべきなのです
わたしは認めません
ええ　認めませんとも
そうです
生きていました
培養器の片隅で細胞の一片になっても
我が子は逞しく生きて

ほら　今わたしが抱いているのがそうです
これこそ我が子
わたしの愛おしい息子
死を超越した世界から
還ってきたのです
黄泉がえり？
ええ　何とでも仰ってください
取り替える前のあの子とそっくりの
その瞳
笑顔
睫の一本だって違うものですか
ああ　なんて愛くるしい笑顔
失われてからのこの一年半
本当に長かった
でもようやく還ってきたのね

大丈夫よ
たとえまた追い詰められて
あなたの柔らかな喉を締め上げることがあっても
あなたはまた還ってこれるの
安心して今はお眠りなさいな

いつだって起こしてあげるから