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新ことわざで遊ぶ辞典「無知の恥」

無知の恥【むちのち】

【意味】
 よく読もう「無知の知」ではない。あれは,「知らないということを自覚することが真理に到達する第一歩である」というような意味だ。ちなみに安西先生は,「下手糞の上級者への道のりは己が下手さを知りて一歩目」と言ってる。何?安西先生を知らない?無知め!
 「無知の恥」は「無知であることは恥ずかしい」ということ。
 自分の無知を指摘されて恥ずかしい思いをしたことは,誰にでもあることだろう。大勢の前で簡単な漢字を読み間違えて,赤っ恥とか。
 だが,無知は恥ずかしいだけではない,無知はおそろしい。たとえば医師や看護師のような,命を預かる職業人に無知は許されない,とはよく聞く話だ。たしかに,医療ミスの言い訳で「知らなかったんです」と言われて,納得する遺族はいない。
 このように,場合によっては,無知は人を殺す。故に無知はおそろしい。
 同じように鞭もおそろしい。叩かれたら痛いが,痛いだけじゃない。場合によっては,痛いを通り越して遺体になる。

 生命を預かるような職業にとって,無知であることは許されないこと。
 一方で,公共の電波に発言を乗せるような場合も,知らなかったでは本当は済まされないだろう。なぜなら,その言葉に触れた人間の「心を殺す」ことがあるかも知れないからだ。
 たとえば,今さらだが,先日の某番組での失言問題などがそれだ。
 アイヌ民族の人々を侮辱するような,なぞかけをお笑い芸人がしてしまった。このニュースにふれて,このなぞかけのつまらなさにまず驚いた。なぞかけって,普通はその意外性に驚き感心するものだ。例えば,ねづっちのなぞかけは,ほんとうに上手いよね。だが,今回のなぞかけは本当にひどかった。内容が,小学生でももうちょっとましなもの作るだろうというレベル。プロのなぞかけで,感心できなかったの初めてだよ。ということで,これも恥ずかしいが,この稚拙な言葉遊びは,さらにアイヌの人々の心を傷つけてしまうような内容でもあった。

 こんな過疎地のような記事で,なんの無知を晒そうと何の影響も与えることはないだろう。それでも使う言葉の意味に使い方に間違いはないだろうかと Google 先生に聞きまくる。それは,無知を晒すことが恥ずかしいからだ。それなのに,全国ネットで自分の無知を晒すようなことをしたらと思うと本当に恐ろしい。おそらく発言した当人もその発言を見過ごしたスタッフも消えてなくなりたいと思うほどに恥ずかしいと思っているだろう。というかそうであってほしい。
 何を知らないといって恥を知らない,恥を恥とも思わないことほど,みっともないことはないと思う。言うでしょう?「この,恥知らず!」って。
 無知を知ることが,成長のためのスタートラインだとしたら,そのスタートの原動力が,無知を恥ずかしいと思う気持ちだと思うんだよね。恥ずかしい思いしたくないと思えばこそ,調べ物もするし成長もするよな。
 そういう心境に至らない奴はどうしたらいいかって?
 そういうやつは,尻を叩いて進ませるしかないでしょ。無恥には鞭をってことで。(目には目を、歯には歯を、無恥には鞭をってね)

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