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百年目の大回想〜山下清展 at SOMPO美術館

生誕100年を記念して、今夏、新宿のSOMPO美術館で大規模な山下清の回顧展が開催されている。

生誕100年 山下清展ー百年目の大回想(公式サイト)

山下清というと、けっこうな昔、テレビドラマや映画なんかで誇張、歪曲された「素朴、清廉、牧歌的」なイメージがいまだに根強いが、けっしてそんなことはない(好きでよく見てたけど、あれはあれで別物ということで)。

施設でいじめにあっていたときも、やられっぱなしではなく、しっかりやり返したり、なかなかにバイオレンスな性質もあわせもっていたとか。

本展覧会は、そうしたこれまでのイメージを刷新し、実際の彼の人生、画業を「正当」にとらえなおすいい機会になっている。

山下清展
百年目の大回想
SOMPO美術館

作品数はかなりのもので、幼いころからの画力、表現力の変化や成長もリアルにみられてすばらしい。

山下清といえば「貼り絵」でよく知られているけれど、鉛筆画や油彩、陶磁器(絵付け)、ペン画などの作品もあって、彼の芸術家としての人生をそれらの面からも多角的にうかがい知ることができる。

余談だけれども、本展覧会の最後に(なぜか)ゴッホ(ひまわり)、東郷青児(望郷)、グランマ・モーゼス(さあ、ボートに乗りに行こう)の三点の原画も観ることができる。

山下清の作品は写真撮影禁止だけれど、上記の三点は撮影可。

しかし、この文脈で唐突に、最後に、こうした作品が出てきても、正直なところ印象はびみょう。

いくら評価の高い名画たちとはいえ。

山下清展それ自体はとてもよくできていたのでおすすめ。とにかく作品点数とテクスト(解説)が多いので、合間合間に置かれているソファなんかに座って、じっくり腰をすえて楽しむのがよいね。


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