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藤井風「花mv」死神風と魂風に救い上げられるわたしたち

ちょっと!金髪長め、素肌にスーツのビジュが良すぎて、けしからん色気が放出されてるんですけど!

共演ロバさんのポップなmvどころか、死生観詰め込んだmvで、奥深さに恐れ入りそうなんですけど!

落ち着くために、以下、まじめに考察的なものを投下します。
風さん、かっこよすぎ、やば。

オープニング

“死神風”が引く、花いっぱいの棺(ひつぎ)。
砂漠をゆく車は、華やかな棺を乗せ、旗をたなびかせて走る。
ハンドルを握る死神は、歌を口ずさむ。
死の陰鬱な空気など、どこにもまとっていない。

車が停まったのは、砂漠の中に空いた穴に続く坂道の前。
そこを下っていくのは、死を迎えたはずの“魂風”だ。

軽やかに棺から飛び出し、踊るように歩いてゆく。死後の世界に続くであろう道を。

けれども、ちっとも怖くない。
たどり着いたのは、自由に、伸びやかに、動ける世界だ。

空に手を伸ばし、大地と一体になり、胸いっぱいに空気を吸って、笑顔になれる場所だ。

そう、死は終わりでもなく、無になるのでもなかった。
何になろうか、誰を生きようかな、と選べるステージに移っただけだった。

反転する世界

一方の死神風は、モノクロの遺影の中。
世界が反転している。
死神風が死に包囲され、魂風が生き生きと自由に舞う世界に変わった。

視点を変えれば、生も死も一瞬で裏返る。
枯れている花と、咲いている花は実は同じで、何も違わなかった。
生と死は表裏一体で、最初からすべてを内包していた。

死への賛歌でも生への執着でもなく、あるがままに

炎を囲んで踊る魂風は、なんて素敵な笑顔をしているのだろう。
肉体から自由になった、解放感に浸っているのだろうか。
生を振り返り、「ああ、楽しかった」と思い出しているのだろうか。

死神風も、額縁の中で不敵に、穏やかに微笑んでいる。
どちらも、とても満足気だ。

ぶれないメッセージ

風さんが伝えたいことは、最初から全くぶれていない。
「帰ろう」に託したメッセージと、何も変わっていない。

死は怖いものじゃないよ。
むしろ、自由になれるのかもしれないよ。
幸せを感じられるかもしれないよ。
生と死は溶け合って存在しているんだよ。
だって、どちらも一つの魂だから。
死しても、魂は消えたりしないから。
「わたし」は、消えたりしないから。


花という作品に、また、わたしたちは救い上げられている。



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