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Continue関連企画 case.1|西尾佳織(鳥公園) “暗闇があるから一人になれる”


Continue最初の関連企画として、鳥公園の西尾佳織さんによる企画「暗闇があるから1人になれる」を行いました。

この企画はコロナ禍のなか、4月からおよそ2ヶ月以上にわたって長く閉ざされていた劇場に、最初にお客様をおよびする企画となりました。

多くの人が、これまで当たり前に通っていた劇場に入ることができなくなり、改めて劇場とはどういう場所だったのか。そんなことを考えるようになったと思います。その問いに、本企画は向き合う時間を与えてくれたように思います。

以下、HPに記載していた本企画の紹介文です。

以前、ヴィパッサナーという原始仏教の瞑想法の合宿に行って、10日間誰とも喋らず、読み書きもせず過ごしたことがあります。それだけ長く喋れなかったらつらいかなと思ったのですが、意外とすごく快適で、癒されました。人は社会的動物で、でもときどき社会から離れたいんだと思いました。

劇場に行くのも、似たところがあるかもしれません。そこには人がたくさんいますが、人の中へ、一人になりに行っているような気がします。ロンリネスを恐れながら、ソリチュードを求めています。

上演が再開されるまで、まだもう少しかかります。それまでの間、劇場の暗闇の中で一人になれる時間を用意してみようと思いました。

本企画は、ひと枠につき定員1名。
ただただ真っ暗な劇場なかで、一人っきりで過ごす。
これまでの劇場の使い方としてはかなり異例の、しかし今だからこそできる贅沢な企画になりました。

当日は残念ながら、埼玉在住の西尾さんに会場にお越しいただくことは出来ませんでしたが、その代わりに終演後のロビーにてメッセージを掲載しました。

劇場の暗闇の中で過ごす時間はいかがでしたか?
よろしければ、この時間を通しての体験についてお聞かせください。
また、劇場へのご寄付をいただけますと大変嬉しく存じます。

劇場で演劇作品を上演することが出来なくなっている状況の中で、これは「演劇の危機」なのか、「演劇活動の危機」なのか、「演劇活動を営んで生きている人の危機」なのか、「演劇業界の危機」なのか……などともやもや考えています。
「演劇の危機」と「演劇業界の危機」は、つながってはいるけれど別のものだと私自身は感じていて、この状況を「演劇の危機」と言われると、演劇ってそんなに小さなものかなあ?と思う部分があります。

でも私という人間は抽象ではなく一個の具体で、その私は、このTHEATRE E9 KYOTOという劇場に生き続けてほしいと思いました。
個々の演劇作品は、人間の声や身体、視線、音、光、という細かな具体の総合から成っていて、それを受け止める劇場という空間も具体で、それはそこを日々運営する人々の具体的な仕事の手つきや態度で守られています。
これからも一個一個のことなる作品が生まれていくこの劇場を、共に支えていただけますと幸いです。

西尾佳織


劇場内での時間を過ごした後のお客さんたちは、それぞれに感想を書き残してくれました。

劇場のなかで流れていた時間そのものを共有することは出来ませんが、そこでどのように過ごし、何を感じ、何を思ったのか、体験した方の感想をここでご紹介いたします。


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アンケートc


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※5名の来場者のうち3名様より掲載にご協力いただきました


–––– 本企画をおえて
当たり前と思っていたものが、当たり前でなくなった時、私たちは今一度その意味や価値を見つけることが出来るようになったと思います。
凄まじいスピードで、多くのものがオンラインに移行し、わたしたちは身体ごとどこかへ行くこと、そこへ自分自身をおくこと、そこで何かを受け取ること。そんなことが一気に少なくなりました。
劇場という場所が持つ意味も、価値も、人それぞれに違うけれど、確かに私たちがここ来ることによって得られるものがある。まずはそれを噛み締めることができたことが、劇場再開の一歩となりました。

写真/新良太
テキスト/福森美紗子(THEATRE E9 KYOTO)


Continue関連企画 case.1|西尾佳織(鳥公園) “暗闇があるから一人になれる”
- 公演情報 -
日時 6月17日(水) 12:00/14:00/16:00/18:00/20:00
公演時間 10分間/30分間/1時間(申込み時に選択)
定員 各回1名
料金  無料
主催・企画制作 西尾佳織(鳥公園)、THEATRE E9 KYOTO
公演詳細ページ https://askyoto.or.jp/e9/ticket/20200617


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