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着物リフォームの歴史(基礎編)

シリーズ連載にあたって

着物リフォームの大流行も、その主導者であった女性たちが去り、あるいは家から出にくくなり、数年前に終焉を迎えた感があります。主導者となった方々はおおよそ昭和初年から20年までに生まれた方(すなわち太平洋戦争前)です。ここではこの大ブームの始まりから終わりについて分析するとともに、「着物を」「リフォームすること」についての考察を行いたいと思います。

着物リフォームとともに30年

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老舗のキャッチコピーのようなサブタイトルです。筆者がなぜこの項目について語るのかと言えば、リフォームにかかわった歴史=リフォームを見てきた歴史であると思うからです。そもそも筆者の古物業者としてのスタートは1980年代です。このように長くこの業界にいることになります。その間に上記画像のような展示企画を行っています。京都人らしく「他にもっとご存知の方が多いかもしれない」と思いながら、その歴史を振り返り、客観的に記述する資格はあると思うのです。

このシリーズではその概要をご紹介するとともに、着物リフォームブームの始まりである1980年頃から、終焉を迎えた2010年頃までを振り返ってご紹介したいと思います。年代について正確でないのは、まだリフォームが生き残っている地域があるためです。また、「着物リフォームブーム時代」という用語は、「着物をリフォームすることで生計を立てることができた時代」「多くの顧客が購買をし、出費をした時代」と定義付けたいと思います。

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どんなものが素材とされたか

着物リフォームブーム時代の一番人気は、大島紬でした。そもそも大島紬は軽くて暖かい着物ということで人気があったのです。また、繊細な織が入って高級感があります。購買の顧客も当時の年齢として、40代から70代であったので、派手過ぎず、高級感があるということで人気がありました。筆者の見た中では、大島紬のコートが30万円というものもありました。当然、業者の間では大島紬が高騰しました。

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銘仙などもアクセントとして使用されています。その他、喪服の黒地着物や留袖も素材となりました。逆に利用されず、人気がなかったのはお召や厚手の紬です。業者間の競りなどにおける価格も、この「リフォーム服製造者」という顧客のニーズに合わせて変動しました。

着物リフォームというマーケットの創設

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リフォームされた洋服はどうなったかというと、このように展示会で販売されたり、個人間で販売されたりしました。流行当時はまだネット販売がなかったので、通販による販売は少なかったのです。縫えない人はこうした製品を買い、手持ちの着物のリフォームを委託したりしました。

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こうして2000年を超えてもなお、着物リフォームは存続していたのです。これらの一連の画像は筆者が2010年に開催した「着物リフォーム展」の模様です。マーケットや販売の主導者の分析は次回以降に譲るとして、これらの画像からその熱気を感じとっていただければと思います。

似内惠子(一般社団法人昭和きもの愛好会理事)
(この原稿の著作権は昭和きもの愛好会に属します。無断転載を禁じます)

【関連記事】 着物リフォームの歴史その1・いつ?(When)
https://note.com/showakimono/n/nd9a7952aefe4/

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