【書評】ニーチェはこう考えた/石川輝吉 ちくまプリマー新書

ニーチェの哲学とは、一言でいうと、うじうじした「小さな人間のための哲学」。
どうしたら、うじうじとした人間は元気を出すことができるか?という問いに答えようとしていると著者の石川輝吉さんはいう。

この本はニーチェの著作の解説や永遠回帰・ルサンチマンなどの説明だけでなく、ニーチェの人生を詳しく説明してくれている。

ニーチェの人生には3つの時期があると説明されている。

第一期:
ショーペンハウアーとワーグナーという神への崇拝の時期
著作「悲劇の誕生」「反時代的考察」

第二期:
ショーペンハウアーとワーグナーへの崇拝が壊れた時期
著作「人間的、あまりに人間的」「曙光」「悦ばしき知識」

第三期:
生の肯定を目指したい、人間が元気になる哲学を提出しよう、という時期
著作「ツァラトゥストラはこう言った」「善悪の彼岸」「道徳の系譜」など

個人的にまとめると、
第一期・・・優秀な頭脳を持ち、希望に満ちあふれた時期
第二期・・・何もうまくいかず最悪の時期
第三期・・・第二期を乗り越え、再び希望を見出そうとしている時期

この最悪な時期を乗り越えたからこそ、ニーチェの言葉には力があるのだと思う。
ただ、発狂して死んでしまうという最後はとても残念。

原典を読むにしても、他の解説書を読むにしても、この背景を理解していると頭に入ってくるスピードが違う。

以前に紹介した「NHK「100分 de 名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ/西研 NHK出版」とともにニーチェをこれから学ぼうとしている人におすすめ。


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