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築地市場最後の日

明日午前の競りを持って83年の歴史に幕を閉じる。
83年前といえば職業野球の開幕(現プロ野球)や歴史の授業で教わる二・二六事件、白バイが導入されたのもこの年からで、柴犬が天然記念物に指定されたらしい。

あまり大きくはない紙面の撮影だった。
現在ではTVで見ない日はないほどの女性タレント(モデル)さんだけど、当時はまだ某雑誌の専属が決まった直後で、これからという頃だった。

それが初めての築地だった。

その次は当時付き合っていた彼女と海鮮の食べ歩きをした。
初めての時は市場が休みの日で誰も人がいない中だったので、人がいる市場はこれが初めてだった。

マグロのたたきの食べ過ぎで、それから1年ほど、魚の匂いを嗅ぐだけで吐き気がした。幸いにも知らない間にまた魚を食べることができるようになり、今日の夕食も無性に寿司が食べたくなり、満足するほどたいらげた。

築地の思い出といえば、これだけだ。このたった2回だけ。
築地市場が明日終わっても、明後日終わっても、ぼくの生活にさしたる変化はない。

ただ、83年間という時間の中で、その場所が人生だった人がいる。
その人にとって、その場所がなくなるということはどういう思いなんだろうか?

明日で俺の仕事はお終いだ。
とインタヴューされていた80代の男性の言葉が耳に残る。

彼はもう豊洲では買い付けをしないという。
築地こそが人生の全てだった彼はどんな気持ちなんだろうか?

ぼく(あなた)の中でそれがその場所に存在して当たり前のもの。
それがなくなるのは、大切な人の別れのようなものだろうか。

明日の営業は大変だろうな。
築地は今忙しく最後の競りに向け動いている。

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