相続対策は準備が9割

流行りのタイトルにしてみました(笑)

 生前整理とセットなのが相続対策。自身の整理だけでなく家族のための財産承継が重要になります。特に相続対策は早くやればやるほど効果絶大。10年以上あれば核家族でも億単位で生前贈与が非課税範囲に収まる場合もあります。おススメは20年以上。平均寿命から逆算すると60代からがベストですが、早すぎても早すぎることはありません(最後の10年は平均健康寿命を終えているため、それでも実質10年しかありません)。また最後の3年以内は「持ち戻し期間」とされ、その間の贈与はすべて相続財産として計算しなければならないため、計算のみならず心理的にも負担となり、もちろん節税効果も限定的です。日本は世界にも稀に見る最高税率55%という相続税が高い国ですので計画的な生前贈与に勝る仕組みはありません。

 また「特例」という税制優遇の仕組みなどがいくつかありますが、注意して適用しないと逆効果になる場合も多々あります。決して専門家の提案通りに契約することの無いよう、自身でプランニングしてください。しっかりとメリット・デメリットを理解した上で判断することが重要です。直接利害のある(商品を売る)専門家は「利益相反」という宿命があります。「あなたのための提案」が本当にあなたにとってなるケースは正直少ないと感じる程です。そのためにも中長期視点でのプランニングありき、が最重要で、その上で必要なものを適宜比較しながら適用していく、という流れが「こんなはずじゃなかった」を最も遠ざけます。

 たとえば一時期ブームにもなった「教育資金の一括贈与」は負の側面ばかりを残したように思います。原因は多くの専門家がこの一括贈与を勧めたからなのですが、一部のレアケースで有効だった可能性はありますが殆どのケースで多くの誤解を生んだり「結局面倒さが増えただけ」という声もよく聞きます。まずこの一括贈与枠1500万円という金額が独り歩きしたこと、子の特例は「一括」贈与の枠であって、都度贈与(必要に応じて入学金や仕送りを支払う)であればそもそも全額非課税です。時期としてメリットがあるのは余命宣告など最後の3年以内の手続きと、認知症になる前の事前贈与が可能な点に限られます。前者も「そこまでして・・・」と考えられるケースもあるでしょうし、後者も(脳血管障害などの急に起こる場合はありますが)ある日突然認知症になる訳ではなくMCIなどの段階を踏む場合も多く、対策することは十分可能とも考えられます。せっかくの家族の絆「生前贈与」として先にまとめて渡してしまうことでその後の縁が切れたり、渡した後も口座を銀行に管理され支出するたびに書類の手続きが必要など、手間がかなりかかります。しかも残った場合は一般贈与扱いとなり贈与税が発生します。。。多くのケースでは都度贈与することで継続的な関係が生まれ、同じ額を贈与するのでも比較にならないほどのメリットがあるように感じます。と考えるとこの「教育費の一括贈与」が誰にとって最も有利な仕組みか、、、はすぐに分かるのではないでしょうか。

 このように、一見良く見えても実際適用してみて最後にツケを食らうのは自身です。そして専門家はそれを理解した上で最初に提案してきますので「情報の非対称性」がある以上、鵜呑みにすることがどれだけ怖い事かもまたお分かり頂けると思います。

 もちろん、これらほとんどの落とし穴は、事前に自身がプランニングすることで解決できます。そのためには金融のベース知識が必要ですが、国家資格「ファイナンシャル・プランニング技能士3級」を取得するつもりで学べば、数カ月あれば十分全体を理解頂けると思います(80代で合格されるかたも普通にいらっしゃいます)。その上で自身の全体的な方向性を考えた後に、必要に応じてその道の専門家から複数意見を伺いながら選択していけば良いのではないでしょうか。

 10人いれば10通りのプランが生まれます。自身の状況、そして家族との関係、どのように残すか、もしくは残さないのか等、価値観により人それぞれです。自身が守ってきた財産や関係は、他人に分かるものではないので、自身がしっかりと見届けていくことが重要と考えます。そしてしっかりとプランニングさえすれば相続対策は自然と生まれ、金額的にも結果最強の相続税対策にもなることは意外に知られていません(笑)


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