現代と江戸をまたぐ、縮小社会対応と共益経営の源流
地方活性化の話は主として1970年代以降一貫して我が国では行われてきました。
都市機能移転、社会資本整備、移住定住促進、さらに地方産業活性化に向けた支援策など多種多様な支援事業があらゆる分野で行われてきました。しかしながら、地方の衰退はそれによって構造的にとまることはありませんでした。
そして、今、日本は新たな局面に既に入りました。人口減少社会です。これは人口が減った危ないといった議論はある意味で間違いで、経済・財政問題と向き合わなくてはならないというメッセージであります。人口増減は結果であって、社会の繁栄・衰退の原因ではありません。
人口が増加しても公害問題や食糧問題などと悩まされます。事実日本はかつて「人口爆発」が問題となっていたわけですが、それを克服することで近代化を推進できてきました。一方で、人口が減少しても経済問題や財政問題と向き合わなくてはならなくなりますが、それもまた対応策を考えれば良いということでもあります。
(1) 求められる地方発信の「新常識」
人口減少社会では、人口増加を前提とした過去の常識が非常識になっていきます。そして、求められるのは、地方から作り上げていく新時代に対応した「新常識」です。
◯ 「人口減少社会型経済」の知恵は、地方から始まる
都市面積が拡大し、社会資本が充実し、公共サービスも拡充され、商業機能も高度化した。これらは人口増加、経済拡大、税収拡大期においては歓迎されるものでした。しかしながら、実際の足元をみれば、郊外化は固定資産税課税などの不均衡をさらに拡大し、かつては高い固定資産税を徴収できていた都市中心部は拡大した郊外によって衰退しています。
経済面でも郊外出店資本のほとんどは地域外資本であるため、一時的に投資効果はあるものの、雇用効果も極めて限定的で、さらに本社費や利益は域外に流出しています。つまり、地域内の所得を地域外に流出させる産業に商業も変わっています。
図・人口減少トレンドは増加対応政策・事業では対応できない(国交省資料などから著者作成)
社会資本・公共サービスの充実は、当然ながら財政負担に全て跳ね返ってきます。単年度会計である自治体は持続可能性を考慮することが極めて困難な組織です。もはや人口の増加、民間経済の拡大によって税収が自動的に拡大していく時代は終わりました。つまり、収入は減るものの、抱えてしまったインフラが大きく、その維持・更新ができなくなっています。特に日本の場合には、先のように財政投融資などを中心に地方開発などを推し進めているため、単純な公共事業費ではなかったりするため、将来的な債務問題などに翻ってくる可能性さえあります。
◯ 人口減少社会では、かつての常識が通用しない
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