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ヤバい移住定住、正しい移住定住

さて、移住定住に関するニュースが相次いで出て話題になっていますね。

移住相談会に来る人数を稼ぐために、お金を配って動員していたということが問題になっています。まぁ様々な相談会って民間のものでも金券配ったりしているものは多数あるので、そこまで罪の意識があったのかなかったのか分からないですが、どちらにしても「相談者数」を目標にしているのであれば、まぁどこかがやりそうな話ではあります。

どちらにしても人口減少の限界点を超えている今の状態で、地方を一気に人口を獲得して成長させるというのは、30年前にやるならまだしも、今更やったところで正当な方法で実現するのは困難なのは言うまでもありません。

地方に必要なのは人口というよりは、稼ぐ人材であり、地方に新たな所得を作り出す人材です。少ない人口でも一定の稼ぎがあり、さらにそれが地域の外で需要のある生産物などあれば、一人あたり所得を高くして少人口でも生き抜くことは可能です。

しかし、そのような人々の所得構造を意識してやるのではなく、日本の人口政策の多くの目標は「交付金額の削減を防ぐこと」に位置づけられているといって間違いないです。つまり人が減ると自治体へ配られる交付金が削減されてしまうので困るということで、移住定住を進めているというのが正直なところ。

ただそれを言うと元も子もないということで、建前では東京一極集中を防ごうという話になるわけですかが、一極集中しているから実現できる税収をテコにして地方に金を配る論理を作っている交付金の基本構造とは矛盾をはらんでいると言えます。

結果、以下のように国の予算が切れたら移住定住センターも廃止になるという地域も出てきています。まぁつまりはすべて国の金頼み、という地方の経営実態が明るみに出ているだけで、それは移住者が増加化したらどの程度の税収増を期待するのか、というような狙いとかをちゃんと公表しながらやらないからと思うところ。

そもそも移住定住を促進するのに「センター」という箱がいるのかというのも甚だ疑問ではありますが、国の予算がこういうものに消えて、既存住民のサポートでもなく、かといって移住者の生活ベースが支えられるわけでもなというのはもやもやせざるを得ません。まぁ地元からすれば自分たちで全額出すほど必要な拠点でもなかったという話でもあるわけです。

相談者だ、移住者数だと単に「数でしか人をみない人口論」で地方を語ったところで、そこにかけた移住のコスト、定住後に必要な社会保障のコストとを勘案して地方が責任もって移住者のサポートをする気があるとは全く思えません。

そもそも移住定住促進事業がちゃんとした形で継続しないのは、皮肉なことに多くの定住者は自治体や規制産業たる金融機関、もしくは団体職員、そして多くの年金受給者で構成されているために地方への移住と定住に必要な生活設計のデザインが根本的にいい加減でもあるからと言えます。つまり民業に基づいて生活を設計するということができない人たちで、外から人をつれてきて起業して、就農して、もしくは地元の人でもやらないような仕事を「人手不足だから」とかいって押し付けるスタンスそのものにな問題があると言えます。

もう少し個別事象に基づき、ちゃんとした地元企業が少ないとしても雇用を少しずつ増やすことなどのほうが大切と思います。マクロでいきなり数字的に解決することではなく、積み上げて連鎖していって結果として解決していく事柄でもあり、雇用などは正直人口減少かつ高齢化というトレンドでは行政でどうにかなる話でもないわけです。

もう少し目先の相談者数とか、一過性の移住者数とかを追うのではない、地元の経済構造の変革など自分たちでできることをまずやって、その結果として人を受け入れていくというのが正当なやり方だと思うところです。

◯ 正当な結果としての移住定住の増加

先日も上天草の事業者の方と話をしていたわけですが、事業継承後に不採算事業を整理しつつ、地元九州の大手企業とも連携をして顧客数を着実に増やしつつ、従業員の就労環境改善に努めています。具体的にはもともとは社長のワンマン経営だったものを変えて中間管理職の従業員を設けて、ボーナスなどを成果にもどついて大きくプラスするなどして成果がしっかり自分に返ってくる構造を作っています。さらに観光業ではあるものの、閑散期を中心にできる限り長期での有給休暇を積極的にとるようにし、休日出勤などのプラス給与も手厚くするように変更して勤労意欲をプラス。従業員のデザインされた社宅を用意して新規就業者も集まるようになり、さらに海外への視察なども全従業員で行うなど求心力を高めています。

上天草には地元のホテルや飲食店も含めて業績のよい会社がちゃんとあって、結果として雇用数は少しずつ増加していっているわけですね。結果移住定住も増加しているわけです。けど、マクロでみれば人口は減るわけです。だけど地域産業は堅調に育っているわけです。

しっかり稼ぎを作り、それに対応して必要な人材を適切に集めていく。このサイクル以外こそ当たり前であり、普通の移住定住ではないのでしょうか、と思うところです。

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