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【AIR】地方はエネルギー自給剥奪×クルマ社会設計で衰退した〜域外収支で考える地方経済のあり方〜

さて、東日本大震災後に少しずつ進む電力事業の規制緩和ですが、今度は配電に関するライセンス制が設けられるようです。今までは大きなリージョナルグリッド、つまりは東北電力、東京電力といった単位で作られた仕組みで発送電を一括化することで最も効率化するという路線だったわけですが、これをもう少し小さな単位に修正していくというスタンスになろうとしています。

とはいえ実はこれは別に新しい話ではありません。

実は地方分散していたエネルギーモデル

明治から戦時統制までの間とかは普通に電力事業は全国各地に分散して存在していたのです。M&Aで5大電力会社とかが大都市圏を掌握するように戦時統制直前にはなっていますが、それでも各地に地域内での水力、火力といったものでの発電は多様に存在していました。そして各家庭とかも薪などを活用して熱源をとっていたわけで、エネルギー産業は地域内産業として十分に成立していたのです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/日本の電力会社一覧_(戦前)

しかし戦時統制で電力会社は統合、戦後も議論はあったものの発送電を一体化し、地域別電力会社制度へとシフトしていくことになります。このあたりは松永安左エ門の本を読むのが良いです。日本電力事業創世紀から戦後のGHQによる地域別電力会社へのシフトまでを手掛け、生き抜いた人物です。ま、戦前からアメリカ(というかモルガン商会)とのつながりが深い人だったので、戦時中は隠居。戦後に引っ張り出されて、日本がまぁ金がなかったけど、成長のためには産業エネルギーが不可欠という視点から今の仕組みを作ったわけです。

そう、今のエネルギーシステムは国全体が戦争に負けてズタボロになっている状態から産業による復興を目指す上でのエネルギー問題と向き合う上で最適解を求めて作られた仕組みなわけです。

今回のマイクログリッドについても、記事の事例とかにも一部出てきますが、ニュータウンや工業団地やショッピングモールとかでは複数の棟をつなげてマイクログリッドを作っているものはそれなりにあります。これは単に地域内での電力融通というよりは、個別で受電すると低圧受電になってしまうものの、皆で集まれば特別高圧受電とかの単価の低い電気を受電できるから合同するといった具合だったりしていました。

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