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AI動画制作 - クライアントワークって実際にどんな感じなの?

こちらの投稿から早7ヶ月。

AIで制作した動画をFacebookやInstagramに投稿していたところ、多くの反響があり、お仕事や講師のオファーをいただきました。

今回はお仕事の話、クライアントワークについてお話しいたします。

アートワークとクライアントワークは全く別物

当然のことですが、「自分の頭の中の創造をカタチにすること」と「多くの人々が描くものを一つにまとめ上げること」は全くの別物です。

AIでは画像や動画を容易に生成することが可能ですが、それゆえに新たな困難に直面しました。この点について、大きく2つのお話を、クライアントワークで動画生成を検討されている方々にお伝えできればと思います。

手探りで進めた制作進行

まだ前例のない制作だったため、進め方も手探りでした。さまざまな考えを重ねた結果、次のような大きな流れで進めることにしました。

  1. 普段より多くの枚数の画像を生成

  2. そこからいいと思う画像をチームでセレクトしクライアントに提案

  3. OKいただいたものを動画化

  4. 動画化した素材を編集して完パケる

この進め方でトライしてみました。ちなみに現在のDO/AIサービスにおいても同じ流れを採用しており、ワークフローの基本となっています。

DO/AIのワークフロー 2024年6月時点

黎明期ならではの2つの困難

巷には多くのAI作品が溢れていますが、クライアントワークにおいてはまだまだ黎明期です。そのため、以下の2つの困難に直面しました。どちらも「AIだからパパッとできる」という皆が描く認識から生まれたものでした。

ちなみに、Midjourneyなどで画像を作ること自体は簡単です。ものの数十秒で生成できてしまいます。しかし、他人が思い描くものを生成することや、映像の流れを考慮してそれに合うものを作ることは非常に難しい作業です。1カットに対して数十枚から数百枚の画像生成が必要となる場合もあります。

構図や表情、ライティングなどを狙って生成するのは非常に難しい

なぜこの表現なのか?

1つ目の困難は、黎明期ゆえに「AIを使う」という手法自体が目的になってしまうケースです。

最近、「時代はAIだから、AIで動画を制作してみたい」というお話をよく耳にします。それ自体は大歓迎なのですが、AIはCGや撮影と同じように動画制作における手法の一つに過ぎません。AIを使うこと自体が動画制作の目的になってしまうと、生成された画像や動画が「なぜこの表現なのか」誰も判断することができません。

制作する上でのWhat to say(何を伝えるのか)をきちんと検証せぬまま進めてしまった結果、完成後に「やっぱり違う」「なぜこの表現なのか社内で説明できない」という話になり、一から作り直す羽目になることもありました。

さらに、「パパッとできる」というイメージがあるため、納期やスケジュールが驚くほど短く設定されることも多く、それに応えるために徹夜することもありました。

孤独との戦い

もう一つの困難は「孤独」でした。

先ほどからお話ししているように「AIはパパッとできる」ものですが、実際には1カットに対して200〜500枚の画像を生成することが多く、その大変さは現在でも浸透していません。発注側に対して「こんなに大変なんだよ」とアピールするわけにもいかず、誰にも分かち合えない気持ちを抱えたまま制作を続けることになりました。

「実際にはものすごく工数がかかる」「それを周囲が理解していない」「納期も短い」おまけに「他にできる人がいない」

この四重苦は、メンタル的に非常に辛いものでした。

2つの困難が新規事業立ち上げの礎に

しかし、この困難があったからこそ、それに立ち向かう術を考え始めることができました。「なぜこの表現なのか?」という困難は「AIを用いたコンセプト生成」を生み出すきっかけに。「孤独」という困難はチームビルディング体制を整えるきっかけとなりました。

「AIを用いたコンセプト生成」「チームビルディング」へ

現在のDO/AIサービスでは、動画や画像の生成だけでなく、その元となるコンセプトやコピーもAIで生成しています。当然ですが、広告代理店や制作会社での経験を積んだクリエイティブコンダクター*が、それを鵜呑みにすることなく吟味し、アレンジした上で発注主へ提案を行います。さらに、そのコンセプトを基に、生成AIと親和性のある企画をプランニングしていきます。

*クリエイティブコンダクター・・・広告や映像制作のプロフェッショナルであり、生成AIに精通したプランナー・ディレクター。広告主とAIクリエイターとの架け橋となり、プロジェクト全体のクリエイティブを統括します。

製品情報やターゲット情報を入れることで、訴求テーマやコピーを生成

また有名なAI動画クリエイターと提携し、クリエイティブコンダクターをトップとしたチーム体制を敷くことで、高度な表現や高いクリエイティビティを実現しています。

生成センスに長けたクリエイター陣とのチーム体制

上記のように、AIならではの大変な体験があったからこそ、この礎を築くことができたと感じています。さらに詳しいお話をお聞きになりたい方は、ぜひこちらのフォームからお問い合わせください。

次回は、新規事業の立ち上げについて詳しくお話しさせていただきます。


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