AIは制作スタッフから仕事を奪うのか
「実写でやりましょうよ!」
AIを手掛けていると、撮影スタッフからいい顔をされないことがあります。
私自身も基本的には実写での撮影がメインで、撮影や音楽、美術、キャスト、編集など日頃お世話になっている方々はたくさんいますし、最近も「どうやってロケを成立させるか」みんなで頭を悩ませたりもしています。Youtubeの対談なんかもやっていて、どれもこれもすごく楽しいです。
AIをやっているのは「実写がイヤだから」とか「AIが大好きだから」ではなく「この流れは不可逆的かつ次の潮流になるので、将来生き残るためにはやらざるを得ない。やるなら早めにやった方がいい」と考えているからに過ぎません。
しかし、AIで広告を制作したり、登壇したりする機会が増えてきたため、こちらについて自分の考えを述べたいと思います。
結論:AIが仕事を「奪うパターン」と「奪わないパターン」がある
何か言ってるようで何も言ってないですね。笑
今日は後者「奪わないパターン」についてお話しします。
先日、ピザハットさんのキャンペーンで、動画広告をDO/AIチームで手掛けました。(AIピザ、めちゃくちゃ美味しいのでぜひお試しください!)
上記の映像を実写でやろうとすると、ご存知のようにしっかりとお金がかかります。実写+CGでやる場合、撮影チーム、照明チーム、クッキングチーム、スタジオスタッフ、CGチーム、ポスプロなど様々なスタッフが関わることになります。
「ほら、奪ってるじゃん」と思われる方もいらっしゃると思いますが、実はそうではないのです。
広告はそもそもかけられる予算が決まっている
広告はそもそもかけられる予算が決まっています。広告プランナーは基本的に「決まった予算の中で何をやるのか」考えます。
動画制作費が予算に見合わない場合、そもそも動画での施策という発想になりません。(もちろん予算を削ってやれなくもないですが、人件費もろくに払えないし、仕上がりも微妙になってしまい、みんな不幸になります。)
今や、認知や売上を上げるために、あらゆる施策を考える時代です。AIがなかったら、例えばSNSを使ったキャンペーンだったり、チラシのキャンペーンだったりと、動画以外の施策となっていたはずです。
奪ったのは他の施策
つまり奪ったのは動画の仕事ではなく、他の施策の仕事。こう考えると、制作チームから仕事を奪っていないと言えます。
このケースではAIがあったからこそ、この企画を動画化できたと言えるのではないでしょうか。
いずれはAIで?
では次回から「次からはAIでお願いします」となるのでしょうか?企業規模や広告予算など、ケースバイケースですが、CMや新商品の動画などは、すぐにはAIでの制作にならないと思います。
ピザの場合「美味しそうに見えない」「商品と全く同じにするのが大変」など様々な課題があり、そこを突き詰めるのであれば、撮影した方が今は間違いないと思います。ティザー広告、かつ、代理店さんやクライアントの皆様からの理解があったからこそ成立した企画です。
しかし技術の進歩は不可逆的なので、「AIで制作する」その分岐点が必ずやってきます。
ただそれまでに時間はまだ十分にあると思います。恐怖を覚えた人は、AIを使いこなす側に回れば良いだけです。その分岐点で「奪われた」と叫んでいる人は「対策をしてこなかった」と叫んでいるのと同じだと言えます。
「AIが仕事を奪うのではなく、AIを使いこなす人たちによって淘汰される」これに尽きると思います。
で、前者の事例は?
冒頭にお話しした、既に「AIが仕事を奪った」パターンはどういう事例となるのか。こちらに関しては、もうすぐローンチする案件がありますので、その際にお知らせしたいと思います。(大人の事情でできなかったらすいません。泣)