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世界の動きと、ヒューマン・コンポスティングという選択肢
今から6年前、金沢21世紀美術館で「DeathLAB:死を民主化せよ」(期間:2018年7月7日-2019年3月24日)が開催された。建築家のカーラ・マリア・ロススタインは、2013年に米国コロンビア大学大学院に「DeathLAB(死の研究所)」を創設。宗教や民族を超えた新たな葬送について、建築、宗教学、地球環境工学、生物学といった多分野から横断的に研究し、死の扱い方について、人々の意識を足元から掘り起こすような問いを投げかけた。
今、新たな死の引き受け方は、世界各地で沸いている。
潜在的にあったニーズに応えるように、ヒューマン・コンポスティングを含め、新たな葬送を形にしようという動きは各地で広がりを見せている。国土の7割が森林と言われる日本であっても、林業の衰退や管理者の高齢化によって放置森は広がっている。こうした生命の源から湧き出るような循環葬をめぐる取り組みは、結果として、昨今の無縁墓や放置林といった、社会システムで拾いきれない問題にダイレクトに応えている。
アンチテーゼから、既成概念がほどかれてゆく