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Dubai Future Forum 参加報告1

Dubai Future Forum 主催者からの招待で、同フォーラムに参加している。会場は、その名も「Museum of the Future」だ。昨年、ドバイの中心部に完成したばかりの施設で、とてもユニークな形をした建築になっている。

Museum of the Future

なぜここにいるかといえば、今年の夏にオンラインで開かれた、未来を考える50人の世界会議(のようなタイトルだった)に誘われて、「未来」はもちろんのこと特に自分の専門分野ではないながらも、グッド・アンセスター(よき祖先)の視点からそれなりに活発に議論に参加したのが、一つのきっかけではある。


また、もう少し遡れば、今年の春にスイスで開かれたダボス会議に参加したときに、Dubai Future Foundationの代表に挨拶をしたのも、ご縁だろう。そして、そもそもなぜ挨拶をしたかと言えば、ドバイの隣の都市であるアブダビに、「Abrahamic Family House」という、アブラハム系の3つの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)が共存して対話をするという、とても興味深い施設が建設中で、2023年に完成予定だというので、なんとかそこにアクセスしてみたいというのが一番の願いなのだが、それはなかなか実現していない。(考えてみれば、ここは「アラブ首長国連邦」だから、ドバイとアブダビは同じ国とはいえ、隣接するライバル都市だから、うまくいかないという話もある。作戦を考えねば)

深夜の到着でドバイ空港からホテルへの移動中、雲ひとつない夜の空に満月が光っていた。夜中は渋滞はないながらも、ドバイという都市は未だ世界の余ったお金を吸い込む建設投資の楼閣として機能しているのだろう、何もなかった砂漠によくもこんなに建物を建てたなというくらい、都市開発が進められており、進行中の建設現場をたくさん通り過ぎていく。高速道路で隣を走るマイクロバスの締め切ったカーテンの中にインド人と思われる男性たちの顔がチラッと見えて、こちらに来る前に観たばかりの、ドバイの建設現場で苦しむインド人の強制労働のyoutube映像が脳内で再生された。遠くには、世界一の高層ビル、ブルジュ・ドバイが見える。

空港で「あなたもFuture Forumに参加するのか」と声をかけてきたのが、Richard Hsuという中国人だ。日本にもよく来るらしく、話してみると共通の知人もたくさんいて、世界は狭いなと思った。さらには、「何かで見たんだけど、日本で、お寺にティールームを開いた、インドのMBAを持っている僧侶がいるらしいね」と言われて、「多分、それは、私です」という話になり、とても驚いていた。たくさんのご縁が重なって、今後、良い友だちになれそうだ。

到着初日は、参加者登録を済ませて、夕食会からスタート。このForum自体、今回が初めての開催で、来年からも継続的に開いていこうとしているらしいけれど、何しろ初めてのことだから、運営面で色々とトラブルも発生するのではないかと思ったけれど、見ているとそれは杞憂だったようだ。運営事務局と参加者のコミュニケーション、ホテルと会場の人の動線、動画の撮影や配信の仕組みなど、なかなかのクオリティで回している。というのも、運営面でかなり世界経済フォーラムのチームからのサポートが入っているから、ということのようだった。

とはいえ、いくつか問題もあった。まず、Museumのエレベーターが、とにかく遅いこと。と言っても、もちろん数台あるうちの全てが最新のものなので、小型のエレベーターは速いのだが、一台、未来を体験するアトラクションとして作られた巨大なエレベーターは、エレベーター内にプロジェクションマッピングが施されているなど、「遊園地の乗り物」的な位置付けだから、遅いことは仕方がない。しかし、今回のように、大勢の人を運ぶための業務用エレベーターとして使うには、不向きだ。遅すぎて、みんなセッションに遅刻してしまった。

また、Day1の終了後に催された「Heritage Tour」という、ドバイ市内の歴史的なスポットをガイドしてくれるという2時間半のツアーは、マイクロバスで出発したは良いものの、渋滞が酷すぎてバスがまったく進まず、挙句の果てにはタイヤがパンクし(Flat Tireという英語を初めてリアルで使った)、ホテルまで歩いて帰った。ちょうどこの時期、ドバイではGITEX Globalという大きなカンファレンス・イベントが開かれていて、世界中から10万人ほどの人が訪れているということもあるのだろうか。人が急に集まりすぎた都市に共通の課題を、ドバイも抱えているように感じた。

(参加報告 Day 1、Day2 へ続く)

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