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サマーダボス2023

中国 天津で開かれた世界経済フォーラム「Annual Meeting for New Champions 2023」(6月27日〜29日)に参加。


世界経済フォーラム 公式サイトより


世界経済フォーラムは、冬にスイス(ダボス)で開かれる年次総会(通称「ダボス会議」)と、夏に中国で開かれる「Annual Meeting for New Champions」(通称「サマーダボス」)の年2回の開催が恒例となっている。サマーダボスは、2007 年から天津と大連で交互に開催されてきた。コロナによる開催中止の期間を経て、今年で14回目の開催となる。

中国と依存関係にある世界の多くの企業や社会、国にとって、中国との友好的な交流なくしては、経済発展やそれに付随した安定した暮らしは望めない。政治的背景や国家思想、社会のビジョンの違いを超えたタイアップや協調の機会を生む場としても、サマーダボスは重要な役割を担ってきた。

中国にとっても、世界の投資を呼び込む機会となっていて、国を挙げて開催を国内外にPRしている。中国が実現しつつあるテック管理社会の様子は圧倒的で、その善し悪しは別にして、日本とは比べようもないほどに社会実装のスピードは早い。会場は、中国のテック企業が最先端技術をアピールする場ともなっている。

米中関係が緊張状態にある今、サマーダボスは、政治的対立構造から離れて対話をし得る一つの機会ではあるものの、参加者は近隣アジア地域や、中国にとって重要な貿易相手国でもあるアフリカ諸国の方が多くを占めており、米国からの参加は少数に限られているようでもあった。

4年振りの開催となる今回のテーマは"Entrepreneurship: The Driving Force of the Global Economy"(起業家精神:世界経済の原動力)。あえて、政治体制から最も離れたところに焦点を当てて集まることが、大事な要素でもあるのだろう。

公式のミーティングでは、テック産業をめぐる市場の動向や見通しについて議論されることが多いなか、私自身は今回も、袈裟を着て会場周辺を歩いていると、壇上では語られない「わがごと」の問いや語らいに出逢ったりする。

世界経済フォーラム 公式サイトより

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