マガジンのカバー画像

松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? …
¥2,000 / 月
運営しているクリエイター

2021年1月の記事一覧

坊さん、データサイエンティストになる。

シアターワークの実践家、小木戸利光さん。 ちょうど僕が神谷町光明寺でテンプルモーニングを始めた頃からの、親しい友人でもある。先週、彼のプライベート・ワークショップを受けに逗子へ行ってきた。晴天に恵まれ、Nestoをめぐる素晴らしい友人たちと一緒に、特別な時間を過ごした。ワークショップの内でも外でも偶然とは思えないような縁がたくさん重なって、一連の時間全体が何か、神がかっていたように感じる。 ワークショップの休憩時間(実際はその中にオンもオフもなく、まるごと人生の休憩時間の

ヒューマニティのその先へ

世界中がコロナ禍に見舞われる中、2020年7月に世界経済フォーラム(WEF)のクラウス・シュワブ会長とオンラインメディア「マンスリー・バロメーター」の創設者であるティエリ・マルレ博士が共著した『グレート・リセット』は、ポスト・コロナ社会を考える上での必読書の一つ。WEFの友人を通じてマルレさんにコンタクトを取ってみたら、すぐにメールでつながった。 コロナがもたらした変化の中には、悲しむべきものが多い一方で、幾らかの恩恵もある。自分にとっては、海外との距離が圧倒的に縮まったこ

遠くのブランド社寺より近くの地元社寺

未来の住職塾が2021年度で10年目に入る。旧プログラムが7期で一区切りし、NEXTへ進化してからの3期目を迎えるので、通算でいうと10期目ということになる。10年一区切りというが、2012年にスタートした時にはまさか10年も続けられるなんて、想像したくてもできなかったこと。今日まで長年一緒にやってきた戦友の松崎香織さんと遠藤卓也さん、そしてNEXTの講師をしてくださっている木村共宏さんに心から感謝したい。これまで関わってくれた塾生や講師ほか、数えきれないほどの人々にも、感謝

方便の開発

評論家の宇野常寛さんと、自身のオンラインサロン「PLANETS」で2時間ノンストップの対談おしゃべりをした。頭と言葉が高速回転しっぱなしの宇野さんと話していると、こちらもいつもよりエネルギーを使う。宇野さんと僕は、普段居る場所が近い面もあれば遠い面もあるので、話が噛み合うところもあれば噛み合わないところもあって、お互いの重なり合いを探り合ったり違いから学んだりする対話は、刺激的だ。 宇野さんと話すと毎回、オウム真理教の話が出てくる。宇野さんの問題意識として、地下鉄サリン事件

宗教でメシを食わないこと

今年に入っていろんなことが始まりつつある。テンプルモーニングラジオと連携している「音の巡礼」企画を2つ、最初にご案内させてください。 Temple Morning Radio Live! これは、テンプルモーニングラジオをいつも聴いてくださっている方々に、感謝の気持ちをこめて、パーソナリティの松本紹圭とリスナーの皆さんが交流できるようなオンラインの場をつくる企画。参加無料、どうぞご参加お待ちしてます。 オンライン連続講座「音の巡礼 山の巡礼 ~身延山編~」 これはサ

アルケミストは、宝のありかを知らない

あけましておめでとうございます。 という言葉を口にする違和感をこれほど強く感じた正月は未だかつてなかったかもしれない。何が明けたのか。何がめでたいのか。「去年は大変だったけど、こうしてなんとかお正月を迎えられて良かったね」なんて、それはそうかもしれないが、正月祝いに現を抜かす気分にはまったくなれない。 明けたといえば、戦地に向かう野営キャンプで開戦前夜の宴を終えて、夜明けを迎えたような感覚。 「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」 一休さんのこっちの