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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? …
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2020年7月の記事一覧

今、線路は途絶え、僕らは荒野に放り出された

アフターコロナの世界について、ここ2ヶ月ほどで20名を超える多様な識者の方のお話に触れてきた。 世界がどこに向かうのか、向かうべきかについて、すでにはっきりしていることばかりのようにも思える。識者の方々から得た言葉の断片を編集して文章にまとめたので、以下ご参考いただければ幸い。 まとめに入る前に、自分なりに思ったことをひとつだけ、記しておきたい。アフターコロナの世界、すでにはっきりしていることが実際に実現されるために、決定的に重要なことがある。それは、この世界の今を生きる

しぜんとじねん

このところ、人間と自然との関わりについて考える機会が多かった。 某環境研究所の先生との、病原菌と社会に関する対話の場。メディアにもよく登場する著名な先生だ(だからどうということもないけど、参考情報として)。 2006年頃、正体不明の病原菌が蔓延して、世界中の両生類が大量に死ぬ問題が起こった。それが日本に上陸して両生類に害を与えるのを防ぐべく研究を進めたところ、意外なことに日本のカエルはその病原菌に対してビクともしないことがわかった。調査の結果、その病原菌は、元々日本から出

辺境の人

「ノーベル経済学賞に最も近い先生」とも評されていた経済学の大家、故・宇沢弘文先生。 時代がやっと追いついてきたのか、宇沢先生の提唱されたコンセプト「社会的共通資本」は以前にも増して注目される場面が増えているように感じる。スティグリッツが「宇沢先生の思想は30年後に理解される」と言ったそうだが、その時がコロナで早まったのかもしれない。 その宇沢先生を父に持ち、「社会的共通資本」の考え方を世に広める医師、占部まりさん。ここ数年、親しくおつきあいさせていただいているが、先日久し

オンライン法要の隠れた本命

友人とメッセンジャーでたまたま「お経」の話題になり、そうしたら「実は、明日が亡き父の七回忌の命日なんです。でも、お墓が遠方にあってコロナだから行けなくて」と。 「ちょうどマイクも買ったところだし、僕でよければお経をあげさせてもらいましょうか? リモートで、音声だけでよければ」

一音説法

前回の投稿から少し時間が空いたのは、音響機材の研究をしていたのもある。 オンラインでの講演やミーティングが増え、スピーカー(ヘッドフォン)越しに音声をやりとりする機会がずいぶん増えた。とりあえず気軽にできるやり方として、MacbookにiPhone付属のヘッドフォンをつなぎ、ミーティングに利用するzoomアプリのレコーディング機能を使って録音。そんな感じで、今まではそんなに音質にこだわっていなかった。 でも、「テンプルモーニングラジオ」「ウェルビーイングってなんだろう?」

Z世代と宗教〜メンテナンス志向、中道志向

Z世代に関するQuartzの記事。 今日の10代の若者やヤングアダルトは、スマートフォンのない生活を経験したことがありません。彼らは画面を通して世界中の仲間、影響を受けた人、ブランドとつながって成長してきました。そのため、企業との関係性が以前の世代とは全く異なるものになっています。コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、米国だけでも推定1,500億ドルの消費力があり、企業は、今日の若い消費者にリーチするために、従来の文化的な門番に頼ることはできなくな