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茶の場所


点前座は煎茶にとってとても大切です。入れるお茶によって点前座が異なります。古くは湯の温度とお茶葉の関係が点前座の設計にそのまま表れていたと思います。

手順よく淹れるということは一口でいってあるべきものがあるべき場所にあるということ。そして茶を淹れるとき必ず必要な「間」がこともなく収まるようにできています。

煎茶道という家元のある世界で編み出された点前座の設えの原型は中国からはいった喫茶法だと思います。江戸時代茶人たちは競ってもてなしの茶を構想しました。点前はその時代に家元がそれぞれに工夫したものです。一煎の茶を丁寧においしく淹れて出すという目的が昇華したものだったのでしょう。

仏教と関係の深い茶ですので仏教的な要素も残されています。当時日本に入ってきたのは中国の緑茶です。現在まで受け継がれた日本の煎茶道には古い時代の中国の緑茶の喫茶法が色濃く残っています。古い緑茶文化圏の典型的な形態が今も日本で保存されているのです。

湯を中心に考えるとわかりやすいと思います。現代では電気湯沸かしポットなど便利なものがありますので毎日のお茶は手軽に淹れることができると思います。電気ポットをつかったテーブルセットを考える時も茶にとって何度の湯が必要かを念頭に置くことをお勧めします。

場合によっては湯冷ましの用意も必要でしょうし、常に沸かし直すことができるようにしておくことも考えます。煮水器・土瓶・ポット・ボウフラ・銀瓶・何を使うにも火をどのように扱うかがポイントになるでしょう。

道具の配置はそれだけで論理的です。道具の取り合わせはシンプルなところから始めることをお勧めします。必要なものを必要な場所に収めて設えを整えるのが点前座の基本です。花は中国茶・煎茶・茶の湯のそれぞれに伝統があります。茶と花は切り離して考えることは難しいでしょう。

毎日のお茶にはお盆が便利です。お盆一枚を点前座にみたててシンプルに美しい設えを試みてみましょう。工夫をして行く内にやがて自分らしい設えにたどり着くと思います。日々の茶はそこから初めていいのだと思います。

日常の茶でも花は大切です。私にとって茶の花は素直に小ぶりが好みですが、お席によって自在にアレンジしてみたいと思います。茶の花の基本は花粉に気を付けること、茶よりも控えめに、点前座後ろ・脇・前とあるうちどこにあるべきか考えること。茶の湯の盆点前のときも床があるかのように、または床としたい処に、バランスよく生けてみたいものです。

1枚のお盆から、1輪の花だけでもひと時日常を脇におきた、小さな茶の空間を作り出すことは可能です。ふ~っと息を吐ききって少しだけ背をのばし自分のお茶を淹れてください。