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ビートルズ:Revolver(スーパーデラックスエディション) レビュー 前編

(最終書き込み日 2023/04/24)

2022年10月28日、ついにビートルズのアルバムRevolverのスーパーデラックス版(以下スーデラ版)が発売開始しましたね。私もハイレゾ版を購入し、リミックスからアウトテイク、シングル曲までずっと聴きっぱなしです。

改めて見ると、このジャケ相当変わってるよね(今更)

さて今回はこのスーパーデラックス版を、ディスク一枚ずつレビューしていきたいと思います。一曲ずつやってるとキリがないのですので、大雑把に感想や見解など、気になったトラックをピックアップしたり…まぁ自由にやります。

最後までお付き合いいただければ幸いです。
なお、本レビューは曲を聴きながら書いているためか言語が不明瞭な部分が見受けられる可能性があります(?)。あらかじめご了承ください。

あと多分、長いです。


Disc.1 オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス

AIの技術によってさらにセパレートされたトラックが、いかにこのアルバムをステレオで組み上げたのか?従来のステレオに置き換わることができるのか?最初に注目したのはこの2点でした。

4トラックをそのままLR定位させてミックスしたオリジナルミックスと比べ、細部までトラックを吟味して作られた雰囲気を感じますね。過剰なソリッドさが和らいだというか、個人的に今回のリミックスの雰囲気はかなり好きです。全体的に定位がかなり安定した為、安心して聴いていられます。定位を見渡すことで様々な音が散りばめられていることに気づけるようになったのはいい点だと思います。シェイカーやパーカッション系も左右チャンネルでまとまりを感じます。

AIの性質上、再現性の低い逆回転音をどうやって学習させて抽出するのか、不安に思っていましたが、かなりの鮮度を保っていたことに驚きです。
特にTomorrow Never Knowsは、逆回転音とボーカルと楽器それぞれのバランスが良くなっていると思います。しかしこの点は好みかもしれませんね。リミックス版には、オリジナルステレオ版のような逆回転音のエッジというか、パンチ力が損なわれているようにも感じました。
ただ左右移動するようになりましたが、目が回るようなこの曲の雰囲気にとても合ってるようにも思えます。
うーん。一長一短w

Got To Get You Into My Lifeのイントロというよりもこのホーンアレンジは、ほぼ全てのファンが待望だったのではないでしょうか?僕も圧倒されてしまいました。モノラル版の持つ、正面から飛んでくる感じがステレオでも感じれるようになっていてびっくりです。

TaxmanとI Want To Tell Youの、楽器の定位が細かく左右に散らばったのは本当に嬉しいですね。才能が爆破し始めているジョージハリスンのトラックをこうやって安定した定位で聴くと、改めてすげぇ曲だなと再確認させられます。もちろんLove You Toもね。Taxmanに関してはポールの力が強いですが、その話はまぁさておき…


さて、ビートルズのアルバムはステレオ版とモノラル版でトラックのアレンジがほんの少し異なる場合が多いことで有名ですが、Revolverも例外ではありません。Taxmanのリミックスが先行公開された際、リミックスはステレオ版を元に制作されるということは、個人的にはある程度予測していました。

しかし…
Yellow Submarineを聴いてびっくりしました。

↓2022 Mix版

曲のいっちゃん最初、リンゴが”In the town…"と歌い出す部分。
ここで、頭からアコギの音が「ジャンジャーン」と2回鳴っていますよね。

これ、実はモノラル版特有のアレンジだったんです。
オリジナルステレオ版は、"In the…"の部分で鳴っている1回目の「ジャン」音が入っておらず、2回目の「ジャーン」だけなのです。

↓オリジナルステレオ版(冒頭アコギ音1回)

↓オリジナルモノラル版(冒頭アコギ音2回)


これ聴いて真っ先に「なんじゃそりゃ」と口にしてしまったのはここだけの秘密です。同じようなことが言えるトラックは他にありそうですかね?ぜひ教えてほしいです。

実はこの辺からだいぶ書き込む時期が後になり、その間にニューミックスをかなり聴き込みました。そして感想ですが、
やっぱりこの辺の時期のジョンの曲にはモノラルが合うし、ジョージとポールの曲はステレオが合うよなぁ。
っということでした。

Doctor Robertとかも、ステレオで聴くとかなりエッジが効いててかつ分離性が良いのでかなりかっこいいな…と思うんですよ。ただその後にモノラル版を聴くと、「え、モノラルいいじゃん!!」ってなっちゃうんですよ。
なんか悲しいんだけど、結果的にこのニューステレオはオリジナルモノラル版の完成度の高さと価値を改めて表面化させる存在になったと思いましたね。それだけRevolverというアルバムはモノラルとして完成されてるんですよ。
モノボックスCDと比較すると、微妙に音質の傾向が違う気がするので、それは後ほど取り上げまし。

従来のステレオに置き換えることはできるかという点ですが、これはクリアしてると思います。まだオリジナルステレオを聴いたことがない人は、まずオリジナルを聴いてからの方がいいと思います。定位が悪くても、一応オリジナルですからね。

Disc.2-3 セッションズ(ステレオ&モノ)

ビートルズのデラックスボックスといえばの、アウトテイク集ですね。

スーデラ発売を追うごとにアウトテイク数が少なくなっている気がするのは気のせいか…?
特にディスク2枚も使うのにアウトテイクが一曲しか入ってない曲があるのは…それはどうなの??って思います。例えばTaxmanのテイク11がまともな定位で聴けるのはいいけど、そもそもアンソロジーで既出なんだからもう少し別テイクを入れてくれてもいいんじゃないかな…と思いましたね。まぁそもそもテイク10まではリズム録りだったみたいだから地味なんだろうけど、そういう事じゃないんだよな。まさか残ってないって可能性もあるのかな。
だったらディスク増やして欲しいし、ぶっちゃけこの物量でフィジカルのスーデラが21000円は高いんじゃないかな。
ちなみに海外サイトでスーデラのハイレゾは約8000円。クーポン等使えばもっと安くなるので、物理フォーマットにこだわりが無いならサブスク配信でもハイレゾ版の購入でいいと思います。

気になったトラック

・Tomorrow Never Knows (Mono Mix RM 11)
リボルバーモノラルLPの、当時プレスされた中でも極初期のマト番に収録されていたバージョンですね。細かい違いはそこそこあるものの、後半部分のレズリースピーカーから録ったジョンの声が、のちに差し替えられるバージョンのものより大きくミックスされているのが印象的ですね。多分編集者もそれに気付いたのか、途中から音量絞ってますよねこれ。面白い。

・Got To Get You Into My Life (Second Version / Unnumbered Mix)
アルバムバージョンはブラス隊がかっ飛ばしてますが、これはそれよりもかなりソリッドな仕上がりですね。これはこれでいいかも。海外アーティストって、やっぱりコーラス上手いよなぁ。

・Love You To (Take 1)
この曲、元々題名がGranny Smithという題名だったんですね。Granny Smithとはどうやらりんごの品種名だそう。知らんかったな。いかにもテイク1、デモって感じがする。よくそこからアルバムバージョンまで持っていったな…

・Love You To (Take 7)
テイク7はテイク6をリダクションしたテイクみいで、アルバムではこのテイクが採用されました。(ビートルズのテイクカウント方法ってかなり特殊だと思う)。これはそのノーカット版。つまりフェードアウトしないバージョンです。ただこのバージョン、ジョージがオーバーダブしたハモリが入ってますね。最終的にはカットされましたが、まぁ正解だったかな…


・Rain (Take 5 / Actual Speed)
この曲が、元々速いテンポでレコーディングされたものをスロー再生させた。ということは知ってたんですよ。ただ、ここまで速いとは思わなかったですねw 曲内でかなり顕著にテンポが下がっていきますが、それはこのオリジナルスピードのバージョンでもかなり分かりやすいです。
これをスローにしたバージョンが次のトラックですが、それにはジョンのオーバーダブしたボーカルが入ってますね。このオーバーダブしたボーカルは最終的に使われず、ADTが採用されたんですね。

・And Your Bird Can Sing (First Verison / Take 2)
この疾走感あるバージョン、堪らんですね〜!下手したら、現時点だとアルバムバージョンよりもたくさん聴いてるかもです。アンソロジーにも収録された、ジョンとポールが爆笑しながらオーバーダブセッションで、バックグラウンドで流れてるテイクですね。改めて定位良く(まぁそこまで良くはないんだけど…w)聴いてみると、魅力に気付かされますね。


というわけで前半はここまで。後半ではディスク4から後を取り上げます。
この記事を書き始めてから約半年…就職活動であったり、新しい生活のための準備であったり…何かとバタついていた半年でした。
なんとか新生活も慣れてきたところで、これまで滞っていた記事の執筆をのらりくらりと再開していこうかと思います。

どこまで需要があるかは分かりませんが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

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