蓄電池を使ったら電気代は安くなるのか

たまたまネットでみた広告で、電力取引価格に連動した電気料金プランというものがあることを知りました。

電力取引価格とは、JEPX(日本卸電力取引所)で取引されている電気料金単価で30分ごとに変わる電気料金となります。基本料金は0円で、(30分ごとの電気料金単価+電気電気の託送料+サービス料)×電気使用量(kWh)+再生可能エネルギー発電促進賦課金+容量拠出負担金相当額+税といったような内容です。※燃料調整費はかからないようです。

安いのか高いのか、上記だけではわからないと思いますが、例えば、東京の場合は7/12(金)雨模様の一日でしたが、深夜1:00~7:00くらいまでは約12円/kWh、みんなが働いたり動いている時間帯の昼時間帯(8:00~22:00)の電気代平均14.25円/kWh。
対して、7/9(火)暑い日でしたが、こちらは深夜1:00~7:00くらいまでは約14円/kWh、昼時間帯(8:00~22:00)の電気代平均27.53円/kWhと電気の需要によって変動しているのがわかると思います。
※サニックス社のスポット市場価格が見やすいです。

電気電気の託送料+サービス料は電力会社によっても変わりますが、約15円/kWhとなっており、そこに、容量拠出負担金相当額1.35円/kWh+再生可能エネルギー発電促進賦課金3.49円/kWhを合計すると、上記、30分ごとの電気料金単価に加えて、+19.84円/kWh必要ということがわかります。
※電力会社によっては、ここの託送料や容量拠出負担金等の情報が分かりづらいです。

長くなりましたが、結局安くなるのか高くなるのか考えると、JEPXの取引価格が比較的安い夜間に蓄電池に充電すれば、14+19.84=33.84円/kWhということになります。これでは普通の電気代と変わらないのではということになります。
注目したいのは、晴れの日、休日(土/日)のJEPX価格です。
工場は休みですし、メガソーラーはガンガン発電しているといった条件の場合、7/13(土)8:00~12:00まで2円/kWhという料金単価です。
その場合、2+19.84=21.84円/kWhという破格の安さになるのです。
このゴールデンタイムに蓄電池に充電できればということを考えてみます。
ソーラーパネルが屋根の上に載っている場合も、同じように蓄電池への充電が開始されると思いますが、今回はソーラーが屋根に載っていない場合を考えます。

蓄電池への入力電流は、例えばテスラのパワーウォールの場合、系統からの充電は3.3kWとのことで、100Vでの充電であれば約30A、200Vであれば最大15Aで充電できるということになります。容量は13.5kWhなので、8:00~12:00の4時間で充電できる容量は、理論上は13.2kWhとなり、満タンまで充電できることになります(実際は損失が発生するため、満タンにはならない)。パワーウォールは複数台増設できるため、1台増設したとして、バッテリーの合計容量は27kWh。入力電流を200V15Aに50A契約で2台同時に充電することができます。土日にこのやり方で蓄電池を満タンにして、平日は夜間に充電して、昼間は蓄電池からの電力供給で乗り切ることができるか。シミュレーション結果は下記のとおりです。

月~金 夜間33.84円/kWh×15kWh(充電量が1日で減った分を充電)
    =508円×22日間=11176円
土、日 昼間21.84円/kWh×15kWh
    =328円×8日間=2621円
1か月の電気代=13797円+税=15177円となりました。ん-あまり安くない。使用している電力量=450kWhとしての計算結果です。

東京電力の電気代を計算すると、1559円(50A契約基本料金)+3576円(~120kWhまで)+6552円(~300kWhまで)+6073円(300kWhを超える分)+再エネ賦課金(3.49円×450kW)1571円+燃料調整費7月(▲5.8円×450kWh)▲2610
=16721円 ※政府激変緩和措置▲1.5円(24/7月)は入れていません。

電気代も複雑すぎて、簡単には計算できない時代ですね。

結果として、蓄電池を導入して、電気料金のプランもうま~く使うと、通常よりは安くなることが判りましたが、劇的に安くなるといった結果にはなりませんでした。むしろ、蓄電池を導入する費用がペイできません。

やはり蓄電池は、自宅ソーラーとの親和性が高いと改めて思いました。現在の電気代は上述の450kWhで16721円だとすると、16721÷450=37.15円/kWhとなります。1kWhあたり、40円に近い電気代なのです。今のFIT価格(2024年度)は16円/kWhとなっていますが、電気を作って、蓄電を前提とした運用を考えれば、悪くない選択肢だと思いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?