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SmartHRで初めて「セールス」→「PMM」に社内異動してみました

こんにちは。SmartHRでプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)をやっている栗栖です。
昨年7月にセールスからPMMに社内異動しました。弊社としては初の試みでしたので、どなたかの参考になるかもと思い、異動前後での学びを率直に共有します。

セールス時代

主に従業員規模が2000名までの企業さま向けのセールスとして、プレイヤー/マネジメントの両ポジションを経験しました。基本的に予算は達成していました。
新しいことや難しいことにチャレンジするのが好きで、自発的にアウトバウンドセールス専属チームを立ち上げて受注率を5倍以上引き上げたりしておりました。

セールスの時に書いたnote:

PMM異動のきっかけ

SmartHRで定期的に行われる「キャリア会議」で、当時PMMの責任者だった佐々木さんに偶然見つけてもらい、声をかけられたのがきっかけでした。
私としてはPMMという職種は想像もしていなかったのですが、新機能企画やグループ会社のクロスセル支援などを通してお客様に新たな価値を提供することで、競合他社との差別化が難しくなってきている現状を変えられるチャンスかもしれないと思い、異動を決めました。

異動前の準備

とはいえこれまでのキャリアはセールスとして過ごしてきたものが大半で、企画職の経験はほぼありません。もちろんPMMがなんなのかもよくわかっていません。ということで異動前にキャッチアップを進めました。

◼︎読んだ本
INSPIREDEMPOWERELOVEDBUILD価格支配力とマーケティング顧客起点の経営プロダクトリサーチ・ルールズなど

◼︎社内ドキュメント
セルフオンボーディングシート、PMMノウハウ系一通り、定例MTGの議事録過去6ヶ月分など

なお、読み漁った結果として全てを理解しきれたか、そもそも内容を覚えているかどうかは…お察しください。

当初苦戦したポイント

想定していた自分の強みは、みんな当たり前に持っていた

セールスからの異動ということで「自分は誰よりも現場感を持っているはずだから開発サイドに色々教えてあーげよっ」ぐらいのノリでスタートしたものの、まずこれが間違っていました。
自分の担当プロダクトごとに、プロダクトマネージャー(PM)とペアを組むことが多いのですが、PMのビジネス解像度がやたら高い。1しかない情報から10理解する能力が高い。自分の知っていることは大体PMも知っている。PMから求められる情報が思いのほか深くて自分も分かっておらず判断の役に立たない。。
あれ、自分の介在価値ってどこでどう出していけばいいんだっけ…というのが最初のカルチャーショックでした。そして同時に、こういう人たちと一緒に仕事ができるのは刺激的で面白いとも思いました。

マルチタスク地獄

セールスでは売上目標を達成することにフルベットできていましたが、PMMになるとそうもいきません。
私が異動当初に担当していたのは以下の3つで、それぞれ課題、目標、時間軸、関係する人、必要なスキルや知識が全く違いました。

・SmartHRのグループ会社であるAIRVISAのクロスセル支援
・課金体系改善プロジェクト
・グループ企業向けの機能企画(他PMMからの引き継ぎ)

各所から連絡が来て受け身の雑務をこなしているだけだとあっという間に1日が終わり、先を見越した攻めのアプローチがなかなかできませんでした。受注のようなわかりやすいアウトカムが何1つないまま1~2ヶ月が経過し、当時は焦りしかありませんでした。

全社に影響する意思決定への恐怖

セールスでは個人やチームの予算に対する意思決定が中心で影響範囲がそこまで広くなかったのですが、PMMになっていきなり全社に影響しうる意思決定に携わることになりました。
特に難しかったのが課金体系改善プロジェクトで、これは弊社でも未着手の領域であり、完全無欠の正解がおそらくなく、そして万が一しくじってしまうと全社の売上に対して大きなマイナスインパクトを及ぼしうるものでした。そんなプロジェクトに対して、ビジネスサイド唯一の推進者として私が立っており、何から取り組んでどう判断したらいいのか混迷を極めていました。

どう乗り越えたか

①情報を拾いまくって現状を理解し、社内でその問題に1番詳しい人になる

当時ペアを組んでいたPMの疋田さんより「持っている情報の量が意思決定の質にも影響しうる」という言葉をもらったことが1つの打開策になりました。
例えば先述の課金体系改善プロジェクトに関して、今の課金体系によってお客様への提案にどんな影響があるのか、実際の商談で何が問題になっているのかを理解するために、過去1年分の失注案件全てに目を通しました。途中で発狂するかと思いましたが、刑事ドラマでよくある「事件解決の糸口を掴むために署に眠っていた古いファイルを洗いざらいひっくり返して過去捜査の見落としを執念で探すシーン」に自分を重ねてなんとか乗り切りました。

②中期的な視点を持つ

セールスでは半期ごとの予算を追っていたので短いサイクルで物事を考える癖がついていたのですが、現状〜半年先の範囲だけで優先度を判断してしまうと意思決定を誤るリスクがありました。
これに対して、例えば5年後のあるべき姿から逆算して今を捉えることで「その課題に今着手すべきなのか、もしそうだとしてどういった方向で解くべきなのか」を判断しやすくなりました。
そのためにも、全社の方針や中期事業計画を正しく理解し、自分に落とし込むことが必要でした。これは偶然なのですが、労務領域における中期の売上目標を策定するボールがPMの塚本さんから不意打ちで飛んできてうっかり受け取ってしまったことで、(相当頭を悩ませ時間が溶けましたが)結果的に視座が上がったのは本当に良かったなぁと思っています。感謝。

③各月の目標を明確に立ててやり切る

マネージャーの重松さんがオススメしていた書籍「AMP IT UP」に影響されて目標の立て方を変えました。担当プロダクトごとに最優先事項を書き出して(それ以外は容赦なく切り捨て)、各月での目標にブレイクダウン&明文化して、毎週振り返りを実施することで、日々の雑務に振り回されることなくこちらから仕掛けることができるようになっていきました。
(うーん、当たり前すぎる話ですね。でもなぜか異動当初はやってなかったんです。信じられない)
また、マルチタスクへの対策としては、シンプルにマルチタスクを諦めました。一度に取り組むことは1つと決めて、その日決めたところまで進捗してから次のタスクに移るやり方が自分には合っていました。

④組織に足りないピースを補う

「現場感がある」だけだと強みを発揮できないことがわかって腰が引けていたのですが、複数の担当プロダクトで現状↔︎中期の視点を行き来する中で、組織に欠けているピースが徐々に見えていきました。その1つが、Go To Marketのラストワンマイルである「イネーブルメント」でした。
なおかつこの領域は自身のセールス経験も活きるところでもあり、クイックに新たなオンボーディングプログラムを企画し、実行に移しました。異動後早めにアウトプットを出せたことで少しだけ肩の荷が下りた気がします。

その他にもセールス向けに情報を展開する上で工夫できるポイントはたくさんありました。

  • よくある機能紹介資料ではなく、4つの不「不信・不要・不適・不急」を意識して、セールスがそのまますぐに使える提案資料を作成する

  • 知識や経験がなくてもセールスが臆せず提案できるように「切り返し集」を完備する

  • プロダクトがない状態でも戦えるように、リリース予定の情報を早めに公開したり、社内で都市伝説化していた「工夫で乗り切る運用案」を整理して誰でもリスクなく提案できるよう整える

  • セールスが欲しい情報を元に社内展開する

    • 機能ではなく、課題とキーメッセージ、解決することの価値、ユーザーの喜ぶデモすべきポイント、懸念への打ち返し、提案に必要なヒアリング方法

振り返って思うのは、「現場感がある」だけでは無意味で、それを活かして「実行する」ことこそが重要なのかなと感じます。

おわりに

PMMとセールスでは職種が違うので、学び直す必要は当然ありましたが、セールスの経験が全く活きなかったかと言われるとそうではありません。やはり売れるものへの嗅覚と、実際にどう売っているのかが分かるのは強みの1つで、弊社PMMの役割である「何が売れるのかを考えて、どう売るかに責任を持つ」と直結しています。

現在セールス職として課せられた売上目標を追うだけでなく、自ら新しい取り組みを仕掛けて成果を出されている方であれば、PMMとしてもさらに広いフィールドで活躍できるのではないかと思っています。

PMMに求められるスキルや経験は良くも悪くも固定されていないので、逆に敷居が高く感じてしまう面もあるかもしれませんが、ぜひお気軽にご応募ください。皆さまとお話しできるのを楽しみにしています!


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